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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第5章 霊知の太陽信仰
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第52話 地獄と旧都

──地底──


一本道を歩いていると、紫のスキマが現れる。毎度のことすぎて驚く気すら起きないが、今回はマトモな用事のようだ。本人が真面目かどうかは別として。


「はいそこの4人止まってー」


「用件だけ手短に言いなさい」


「もう少し年上を敬うべきじゃない?」


出てきた紫への霊夢の第一声がそれだっただけに、多少なりともショックを受けたようだ。


「地上の間欠泉、地霊だけじゃなくて怨霊も出始めたの。なるべくはやくそれを止めないと」


──マズいことになる。

現在は異変を察知したパチュリーと紫が協力して結界を張り、怨霊たちを抑えているらしい。


「いや待て、なんで地底に怨霊がいるんだ? 文も旧地獄とか言ってたし、ここって元は何だったんだ?」


俺のその質問に、紫はなぜか少し微笑を浮かべる。


「ちゃんと成長してるようで結構。悪いけどもう戻るから、その話はそこの天狗にでも聞きなさい。頑張りなさいよ」


「え、あ、おい……ってもういないか」


……紫に初めて頑張れと言われた。

ちょっと顔がにやけてしまう。いや待て、今は異変解決中だ。平常心、平常心……。


大きく深呼吸をする俺を無視して霊夢は話を進める。


「文、話してくれるわよね?」


霊夢が文のほうへ視線を流す。


「ふっ……今回は私が語る者、というわけですか……」


「そういうのいいから」

「なぁ文ー早くしてくれよー」


カッコつけた文を、霊夢はバッサリと切り捨て、魔理沙はスルーしてゴネ始める。


「分かりました、話しますって」


魔理沙を引っペがしたあとに、コホン、と小さく咳払いして話し始める。


「さて、私も聞いただけなんですがね。まずはここが元々は地獄だった、というところから始まります」


かつて此処は地獄と呼ばれ、閻魔や鬼神が亡者を罰するそれはそれは恐ろしい所でした。ですがある日、閻魔の提案により地獄の縮小化が図られたのです。それによって、ここは地獄から切り離されることとなってしまいました。

ですがここで問題が1つ。


『ここにあった施設にいた亡者はどうなったんでしょうか』




「はいはいはい!」


そこで魔理沙が元気よく手を上げる。


「魔理沙さんどうぞ」


「そりゃもちろん『連れてった』だろ? それからも罰するしかないんだろうし」


魔理沙はずいぶん自信ありげに答える。


「銀さんはどうでしょう」


「右に同じ」


正直分からない。魔理沙の案が最もらしいので便乗しておこう。

そして文が霊夢に向き直る。


「霊夢さんは……分かったようですね」


考え込む様子もなく全てを察した様子の霊夢を見て、文はそう確信した。


「……そのまま放置した」


「正解です」


文は笑みを浮かべ、説明を続ける。




地獄にいた亡者はそこから連れていかれることはなく、施設跡で放置されたままなのです。

先ほど紫さんが言っていた怨霊というのは、おそらくその亡者の一部でしょうね。




「さて、ここが旧地獄と言われる理由はお話しましたが、あの都市についても話したほうがいいですかね」


文が見渡すと、全員が無言で頷く。


「了解しました。では」




昔々、鬼たちがまだ地上にいたころのお話。

鬼たちは人間たちと『力比べ』をして楽しんでいました。鬼が勝てば人間をさらうというルールをつけて。

ですがそんなもの人間は圧倒的に不利で、鬼に勝てるはずがありません。そうしていつからか、人間たちは卑劣な手段を使い始めるのです。内容は毒から不意打ちまで様々です。そうして少しづつ数を減らされた鬼は、そんな人間たちに嫌気がさし、地上から姿を消したのです。


『では、鬼たちはどこに行ったんでしょうか』




「…………そういうことか」


「えぇ、そうです」


俺が小さく呟いたのを耳ざとく聞きつけ、満足気に頷く。




『答えはこの旧地獄』


この場所に目をつけた鬼は、ここに社会を築いたのです。




「それがあそこに見える旧都、と呼ばれる場所ですね」


文が巨大都市を指さす。

なるほど、鬼の建築力というのも侮れないものだ。




ですが、こんな巨大都市に自分たちだけは少し寂しいと、鬼たちは自分たち以外にも地上で嫌われる妖怪たちを受け入れることにしたのです。

ですがその事に地上の妖怪たちは危険を感じ始めます。

理由は言うまでもないですが、地底の鬼や妖怪たちが一斉に反乱を起こしたら、……どうなるでしょうね?

そこで、妖怪の賢者と呼ばれる者達は、鬼たちに地下都市を作るのを認めるかわりに条件を出したのです。

それは『地底の怨霊を封じること』。そして地上の妖怪も『地下世界への不可侵』を約束したのです。ここに人間が含まれていない理由は、……まぁその当時の人間で空を飛べる者など博麗の巫女くらいしかいませんでしたからね。

こうして、鬼たちは地上との交流を断ち、新しい社会を楽園として楽しみながら営み続けることとなりました。




「という感じです」


文が手を打ち、話の終了を示す。

鬼がいないのにはそんな理由があったなんてな……。萃香なんかは奇特な方らしいな。


「あぁ、そういえば」


旧都も目前に迫ってから、思い出したように文が呟く。


「旧都にいくには橋を渡る必要があるんですよ」


少し先に、橋が見える。


「そしてその橋には番人がいるんです」


その橋の上に、人影が見える。


「その人は『橋姫』と呼ばれているんです」


その人影、金髪の少女がこちらに向き直り、


「…………妬ましいわね」


俺たちを見て、そう呟いた。

いかがだったでしょうか。

今回は説明パートですね。ちょっと情報量が多くなってしまった気もしますが、あまり重要でもないので適当に流しといてください。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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