第50話 地底編 プロローグ
──博麗神社──
神社が倒壊してから2週間。今ではすっかり元通りになり、すでに冬が始まって少ししたある日のこと。
「いやー最近ホント寒くなってきたなー」
もうすぐ雪でも降るんじゃないだろうか。めっちゃ寒い。暑いのよりはいいけど。
「そろそろコタツ出そうかしら」
居間でお茶をすする霊夢が小さく呟く。なんだコタツって。
そう思って霊夢に聞こうとした時だった。
突如大きな地響きがする。
「うわわまたかよ!?」
「またあの天人? だとしたら今度は本気で潰すわよ?」
だが、地響きの中心はどうやら神社の近くのようだ。天子がやったことなら、狙いを外すわけがない。
「とりあえず見に行ってみようぜ」
「そうね」
霊夢は湯呑みを置き、お祓い棒を手に取る。そして俺とともに地響きの原因を探りに行くのだった。
「これは……」
「なんだこの水、めっちゃ温かいぞ」
そこには、なんと間欠泉が湧き出ていた。しかも温泉水。
「これは……売れるわね!」
「は?」
突然目を輝かせてそう言う霊夢に、俺はなんて返せばよかったのだろうか。
「考えてもみなさい。これからどんどん寒くなるでしょう? そしたらあったまれる温泉を目指して人が来る。ついでに近くのうちの神社にも人が来てお賽銭がっぽがっぽよ」
「そう簡単にはいかねぇだろ……」
霊夢のあまりにも頭の悪い考えは、さすがの俺でも無理だと分かる。そして無理な理由はもう1つ。間欠泉の方に目を向ければ。
「お客さんは、地上だけじゃなかったみたいだしな」
そこには、大量の妖怪が湧き出ていた。ちょっと数多すぎ。
「………………温泉の夢が……」
悲しげにそう言いながらお祓い棒を構える。
「待て、霊夢。なんか様子がおかしくないか?」
そんな霊夢を制して、妖怪を見てみる。彼ら(?)はしきりに手を動かして、何かを伝えようとしているみたいだ。だが生憎と俺たちには妖怪の言葉は分からないし、彼らも人間の言葉は話せないようだ。
(どうしたもんかねぇ……)
そんな風に思っていると、空から声がする。
「あやや、スクープかと思って来てみれば何やらお困りの様子で?」
声の主は射命丸文、新聞記者だけあってさすがに早いな。
「いや、こいつらが何言ってるのか分かんなくてさ」
「申し訳ありませんが私にも分かりかねますねぇ……」
やっぱりダメか。なんかガウガウ言ってるし。
「なぁ霊夢、紫って起きてるかな」
「……これか異変だとすれば起きてるわね」
「はぁぁぁ……」
たぶん、起きているだろう。大きなため息を吐いて、彼女の名前を呼ぶ決心をする。
「ゆかあだだだ」
「起きてるわよ」
スキマから現れた手が、俺の頭を鷲掴みにする。痛いって。
「さてと、普通ならなんともないのだけど……これはマズいわね」
「な、何がマズいんだ?」
なんとか解放された俺が紫に聞く。
「銀は知らないと思うけど、地底の妖怪は地上に干渉しないって盟約を結んでたのよ。はるか昔にね」
そうだったのか。はるか昔、ね。いつの話なんだか。
「じゃあどうするんです?」
「そうね、霊夢、銀、鴉天狗は地底に行ってもらえないかしら。報酬は出すわ」
文の言葉に、紫は即決で事を進める。普段からこうならいいんだけどなー。
「でも……そうね、少し役不足だわ。もう一人くらい連れてきなさい」
「紫じゃダメなの?」
霊夢の言葉に、紫はまさかと目を見開く。
「ただでさえ寝てたのを起こされたのにやる気なんて起きるわけないじゃない」
「………………」
全員のジト目を一身に受けても彼女はどこ吹く風だ。
「とにかく、頼んだわよ」
そう言うと、紫はすぐにスキマを使って移動してしまった。せめてもう一人お前が連れてきやがれ。
「どうします? あと一人」
「そうねぇ……暇そうな奴なんていくらでもいるけど……」
「なんとなく誰が来るか分かった気がする」
俺がそう言った瞬間、よく知る大きな声がする。
「おーい霊夢ー。こんなとこにいたのか」
やっぱり魔理沙だった。まぁ人数は揃ったし事情を説明してこのまま地底に行くか。
「なるほどな。そんでここから行けると」
地霊たちもすでに地底に戻っていた。俺たちももう行ったほうがいいだろう。
「地底……どんな場所なんだろうな」
「さっさと終わらせて温泉入りたい……」
「これはスクープの予感がしますねぇ」
「なんかお宝でもあるかな」
目的は地霊たちが出てきた原因の追求。
こうして、俺たちの異変解決が(また)始まった。
今回から地底に参ります。
さぁパルスィが出てきますよ皆さん! 楽しみですねぇ!
それはさておきまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。




