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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第4章 幼心地の有頂天
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第46話 緋想編 魔法使いたちと天人

──紅魔館──


「黒幕ならもうどこかへ行ったけど」


「はぁぁ!? なんで止めとかないのよ!」


さらりと言ったレミリアに霊夢が怒りを露わにする。


「いや私には関係ないし……あ、でも今なら魔法の森にいるかもしれないわ」


「魔法の森ね……分かったわ」


そう言うと、霊夢は窓を開け放ち、そこからすぐに飛び立った。


「天人が素直にそこに行けば、だけどね」


レミリアのそんなセリフは、急いで行ってしまった霊夢に聞こえるはずはなかった。

──魔法の森──


鬱蒼とした森の中で、雨宿りをする魔法使いが2人。


「まさか魔理沙のほうにも異常気象が起こってるとはね……」


「どっちかといえば私よりアリスのほうがひどいと思うぜ?」


白黒の魔法使いと人形のような魔法使い。それぞれの天候は霧雨と雹。2人が出会ったことにより、霧雨が降る中に雹が混じるというなんとも面倒くさい天気が出来上がってしまった。


「アリスは雹だったから黒幕を探しに来たんだろ?」


「それもあるけど……もっと大きななにか。あの緋色の雲がなにかあると思って調査してたのよ」


アリスは木々の間から僅かに見える雲を指差す。


「緋色の雲? あーそんなのもあったなぁ」


まさに今知ったと言わんばかりの魔理沙は目を泳がせる。


「魔理沙、あんた上しか見てなかったでしょ」


「そ、そんなことないぜ。ちゃんとそれも考えてたよ。うん」


アリスの指摘に魔理沙は一瞬ビクッとしてから反論する。図星ね……。


「さ、さーて、いつまでもここにいるのもあれだし、そろそろ行こうぜ」


(あ、話変えた。)

そう思ったが、別に追求するのはやめたのだろう。魔理沙の話にアリスも乗っかる。


「んなこと言ったってあんた私の防御魔法の下にいなきゃいけないじゃない」


「アリスが私の箒に乗れば万事解決だぜ。いいだろ?」


そうやって手を合わせ、さらに上目遣いでお願いされてはさすがのアリスも断れない。


「はぁ……分かったわよ」


「いよっしゃー」


ため息をつきながらも渋々了解するのであった。




「全然いねーなー」


「魔理沙、まだ少ししか経ってないでしょうが。ちゃんと探してる?」


さっきからすぐにそう言う魔理沙にアリスが聞くが、彼女は答えなかった。探してないんだろうな……。


(でも本当にどこにいるのかしら……)


アリスもそう考えた時だった。


「いたぁぁぁぁっ!!!」


大きな叫び声が2人を止めた。


「待ちなさいそこの人間と妖怪!」


その言葉に2人は全く同じタイミングで


「私は魔法使いだぜ」

「私は魔法使いよ」


と訂正する。


「どっちでもいいわよ! それよりあなたたち異変解決者よね!」


かなり興奮した様子で聞いてくる少女にたじたじになりながらもアリスが答える。


「確かにこの異変を解決しようとしてるけど……もしかしてあなたが黒幕なの?」


「そう! 正解よ! 私は比那名居てゴフッ、ぺっぺっ!」


あぁ……雹が口に入ったんだな……。

天子の様子を少し憐れむように2人は眺める。


「なんであんた雹なのよ!! 口に入ったじゃない!」


「そんなこと言われても……」


自分で気質を放出させたのに逆ギレするというなんとも言えない天子の行動に、アリスはもはや説明を諦めたようだ。


「まぁいいわ、私に勝ったらこの天気を直してあげる。だから戦いましょう!」


「いや、それよりまず話し合お……」


アリスは対話を試みようとしたが、天子が聞く耳を持っているはずがない。


「問答無用、要石・カナメファンネル!」


「魔理沙! 後ろに!」


天子がスペルを展開したのを見たアリスはすぐに魔理沙を背後に庇う。


「あっちがその気なら私もやってやるぜ」


防ぎきった瞬間にアリスの背後から飛び出し、天子に六角形の八卦炉を向ける。


「アリス、援護頼むぜ!」


「はいはい分かってるっての!」


「なにもさせないわよ!」


天子が魔理沙の動きを止めるため動こうとする。


「魔符・アーティクルサクリファイス!」


それを止めるため、アリスは天子に向かって数体の人形を飛ばす。


「くっ……!」


向かってくる人形を片っ端から剣で叩ききる。


「今よ魔理沙!」


「おう! マスター……スパーク!!」


魔理沙の八卦炉から高出力のレーザーが放たれる。


「甘いわね!」


だが天子はそれを、剣を高速回転させることによって、すべて防ぎきる。


「中々やるみたいだぜ……」


「ふふん、どーよ!」


「魔理沙、後退!」


瞬時にアリスが前に出て、12体の人形を突撃させる。


「戦躁・ドールズウォー!」


それぞれの人形が剣や槍を手に持ち、天子に切りかかる。


「こんな玩具じゃ私に傷はつけられないわ!」


「じゃあこれならどうだ!」


一瞬油断した天子に、魔理沙が突っ込む。


「彗星・ブレイジングスター!」


青いオーラを纏った魔理沙が天子へと高速で突進していく。


「うわっ!」


ギリギリで剣を構え、魔理沙の攻撃を防ぐ。そして彼女の攻撃が一瞬止まった時を狙い、大きく剣を振りかぶる。


「もらったぁ!」


だが、振り下ろされた剣は魔理沙に当たることはなかった。


「助かったぜアリス」


「最初からそのつもりだったでしょ」


見れば、アリスの人形が3体ほどで魔理沙を回収したようだ。


「あなたたち、チームワークはいいようね……」


そう呟くと、天子は手を掲げる。


「でも、これならどう! 天地開闢プレス!」


超巨大な要石が上空から2人に向かって降ってくる。


「……アリス、あいつの拘束と私のキャッチ頼んだ」


「ちょ、魔理沙! もう!」


それを見るなりアリスの静止も聞かずに魔理沙は要石の真下へ移動する。


「私の全力見せてやるぜ!」


先ほどのマスタースパークよりも、膨大な魔力を溜め始める。


「行くぜ、ファイナル……スパーク!!」


マスタースパークよりも一回りも二回りも大きいレーザーを放つ。


「うぇ!? 意外とやるじゃない」


それを見た天子は思わず賞賛してしまう。


「ぐ、う、う……」


そのスペルは要石を徐々に押し返し……そしてついにはした。


「くっ……」


だが、それを使ったことにより、魔力切れを起こした魔理沙が地面へと落ちていく。

それを見逃すほど天子は甘くなかった。


「今ので打ち止め? 残念ね!」


一気に魔理沙に近づき、トドメを刺そうとする。


「それはこっちのセリフ。もう少し思慮深いと思ってたわ」


唐突に聞こえてきたアリスの声に、天子の動きが一瞬止まる。


「この時のために練習したんだから! レベルティターニア!!」


2体の人形を巨大化させ、上空から天子に叩きつける。


「うわわ!!」


天子はそのまま地面に叩きつけられ、人形にのしかかられて動けなくなった。


「大丈夫? 魔理沙」


人形たちにキャッチさせた魔理沙を心配する。


「大丈夫だぜ。それより……」


アリスの肩を借りながらも、よろよろと天子のところまで歩いていく。


「天気、直してくれるんだよな?」


「…………ほら」


天子が小さく呟くと、2人の放出されていた気がおさまり、徐々に晴れ間が戻っていく。


「そろそろ重いから人形これどかしてくれない?」


「ダメに決まってるでしょうが。まだ何かあるかもしれないし」


天子が頼むが、もちろんアリスは許さない。だが魔理沙は


「まーまーいいじゃねぇか。私たちは直ったんだし」


「でも……」


「いいだろアリス」


なぜ魔理沙がここまで天子に優しいのか分からないが、そこまで言われたら断ることもできない。


「分かったわよ……戻って、上海」


アリスがそう言うと、上海人形が元の大きさに戻り、アリスのもとへと帰っていく。


「なんでどかしてくれたの?」


天子が魔理沙に聞く。


「んー……お前さ、霊夢と戦う気だろ」


魔理沙に考えていたことを見抜かれ、一瞬動揺する。


「なんでそれを……」


「なんとなく」


胸を張って言う魔理沙には、アリスだけでなく天子ですら呆れを覚える。


「まぁそういうことだから、霊夢があとはやってくれるだろうし、いいんじゃねぇかなーって」


「相変わらず適当ね……」


いつも尻拭いをさせられる霊夢にアリスは少し共感する。


「んじゃ私たちは帰るかー」


「……そうね」


そう言うとさっさと魔理沙とアリスは飛んでいってしまった。

そして、1人残された天子は、


「……面白いやつらもいるのね……」


自分にすら聞こえないような小さな呟きを残し、次の目的地へと向かうのだった。

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