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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
閑話 夢か現か幻想か
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第40話 花と大妖怪

──博麗神社周辺 森の中──


「ハッ!!」


意識を集中させ、拳を繰り出す。

目の前の大木が大きな音を立てて倒れる。


「くっそ……まだまだだな……」


衝撃は表面に大きな力が加わっただけで、ただ折ったのと同じだ。

美鈴の技はもっと相手の内部に影響を与えている。


「環境破壊とはいただけないわね」


不意に背後から声をかけられる。

振り向けば、そこにはひとりの女性が立っていた。持っているのは日傘……だろうか。


「あんた、何者だ?」


あれ、俺これ前も誰かに聞いた気がする。


風見幽香かざみゆうか。花を求めて歩き回るただの大妖怪よ」


幽香と名乗った女性はどこか不機嫌そうに答える。大妖怪ね、自分で言うほどに自信あるってことかな。


「ここ、秋特有の花が咲いてるから来たのに先客がいるとはね」


「そいつは悪かった」


確かに今見回してみれば、なんだか花がやたら多い気がする。

花か、全然気にしたことなかったな。


「で、あなたこそ何者なの」


幽香は日傘をこっちに向けてくる。

なんか魔力でも込められてそうだ。それにちょっと物騒だなこの人。


「俺は銀。博麗神社の居候だよ」


「博麗神社の……?」


何か思うことがあったのか、幽香は顎に手を当て、何か考えるような様子を見せる。


「あの……幽香……さん?」


「ん、あぁ、幽香でいいわ。それより銀、といったかしら」


なんだろう。彼女が次になにを言うか分かる気がする。


「あなた、私と手合わせしない? 断らせはしないけど」


やっぱり。いや、なぜかはわからんが彼女とはどこか親近感を覚えるような感じがしたからな。


「別にいいけど、なんで俺なんだ?」


ここは博麗神社の近くだし強い妖怪なんかそこら中に居るだろうに。


「いえ、以前あなたが吸血鬼を倒したって聞いてね。多少は強いんじゃないかと思って」


だから俺はレミリアに勝ててないんだって。そろそろ泣くぞ。

というか吸血鬼を倒したって聞いた上でそれを多少は強いって言うか……。

それはつまり


「随分腕に自信がおありで?」


「あら、今の会話で分からなかったの?」


わお、精神のほうもお強いようで。まぁさっきから隠す気のない殺気が彼女がただものではないと告げているが。


「場所は? ここでやるのか?」


「んなわけないでしょう。花が可哀想よ、確か近くに草原みたいなとこがあったからそこにしましょう」


「了解」


この人は花が好きなんだな。ま、人は見た目によらないってことかな。この人は目だけで何人か殺してそうだけどな。


そんなことを考えたのが分かったのか、彼女は振り返って睨みつけてきた。

だからその目が怖ぇんだって。




──草原地帯──


「さて、この辺でいいかしらね」


幽香が歩みを止め、こちらに向き直る。


「ルールは……そうね、相手に一発入れたら終了でどうかしら」


「俺は構わないよ」


ちょうど修行の途中経過を知るために誰かと手合わせしたかったところだ。一発入れたら終了なのは少々物足りない気がするが、まぁいいだろう。


「そうねぇ……ハンデになるか分からないけど、私の能力を教えてあげるわ」


ハンデ、ね。一体どこまで強気なんだか。まぁ全力を引き出せるよう努力するかな。


「私の能力は花を操る程度の能力。どんなものかは……ご想像に任せるわ」


「それじゃあ俺も能力は言わないとな」


「いいのよ、ただのハンデだし」


……ちょーっとムカつくなこの人。

いや確かにそれくらい力量差あるのかもしれないが、いくらなんでも舐めすぎでは。


「さぁ、さっさと始めましょう?」


「はいはい、お望み通りに」


拳を構え、鬼化する。

その様子に幽香が一瞬ではあるが目を見開いた。


「あなた鬼だったのね。これは楽しくなりそうだわ」


嗜虐的な笑みとともにそんなことを言う。


「期待に応えられるよう努力いたしますよっと」




2匹のバケモノの間を、一陣の風が吹き抜けた。


いかがだったでしょうか。

今回はアルティメットサディスティックモンスター風見の登場です。

ほどほどのSMに抑えたいですね……。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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