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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第3章 竹取飛翔
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第35話 永夜編 不死と炎

──迷いの竹林 永遠亭周辺──


いきなり怒鳴り声がしたと思ったらお次は炎。一体何がどうなってんだよ。てかこれ竹林燃えない? 大丈夫?


「懲りずにまた来たのね、妹紅もこう


輝夜が少し呆れたような口調で言うが、見れば彼女は嬉しそうな表情を隠しきれていなかった。

輝夜の言葉を聞いてか否か、燃え盛る炎の中から人が現れる。


「輝夜、このおかしな月を作ったのはお前だろう」


まさに獲物を見つけた獅子のような表情で輝夜を睨みつける。獅子なんて見たことないけど。


「それはもう解決し」

「し・ず・か・に」


事情を説明しようと思った瞬間、目の前に現れた輝夜によって口を塞がれる。何がしたいんだこの姫様は。


「ん? そいつら誰だ?」


妹紅、と呼ばれたその女性の言葉に待ってましたと言わんばかりに輝夜が笑顔になる。


「バレちゃったなら仕方ないわね。この子たちは私があんたに送る予定だった刺客よ」


・・・いきなり何を言い出すんだこいつは。


「なるほどな、懲りてないのはお前もだったか。私が今まで刺客に殺されたことがあったか?」


「ふふ、この子たちは今までとは比べものにならないわよ?」


その言葉を聞いた途端に妹紅の表情が変わる。嫌な予感がするなー。


「面白いこと言うじゃねぇか。輝夜、お前を殺すより先に刺客からぶっ潰してやるよ!」


ほら言わんこっちゃない。

妹紅はかなり火がついてしまったようで、このまま見逃してもらうわけにはいかなそうだ。

なら


「おい霊」

「あんたらで勝手にやって、私は休んでるから」

「・・・・・・」


まぁ、分かってたよ。そうだよなお前そういうやつだもんなクソが。

仕方なく鬼化して妹紅に向き直る。


「!? ・・・なるほど、そいつ鬼か」


「半分、だけどな」


二人のそんな様子を輝夜はニマニマしながら見つめている。


「私は藤原妹紅ふじわらのもこう


「銀だ」


10間ほど離れているにも関わらず、彼女の熱を感じる。

速攻でケリつけないとヤバいかもな。


「行くぞ!! 不死・鳳翼天翔!!」


妹紅が炎で鳥のようなものを形作る。前に本で見た鳳凰のようでかなり大きい。避けきれるか。


「ふっ!」


横に跳び、竹を使ってさらに跳躍。妹紅目掛けて突っ込む。


「すばしっこいやつだな・・・!」


妹紅が避けようとするがそうはさせない。跳んだ勢いに任せて踵を下ろす。

彼女は腕で防ごうとするが、さすがに耐えきれなかったらしい。右腕が吹っ飛ぶ。


「あぐっ・・・クソッ・・・不滅・フェニックスの尾!」


妹紅が飛び退きながらスペルを放つ。

大量の炎弾が向かってくる。


「輝夜! 燃え移った時は頼む!」


「はいはい、自由にやっちゃってー」


許可が取れたので全力で避けまくる。ただ、如何せん数が多く多少の被弾は免れない。腕や足が何ヶ所か火傷する。

避けている最中に一瞬妹紅を見たが、腕が元通りになっていた。


(こいつも不老不死か・・・!)


なんとなく分かってはいたが、こうも不老不死がポンポン出てこられると価値が薄く感じてしまう。


「熱くなってきたじゃん・・・! 蓬莱・フジヤマヴォルケイノ!!」


さっきよりは幾分か薄いが再び炎弾がばら撒かれる。今度は全くといっていいほど規則性がない。


(一体どんな仕掛けが・・・)


疑いつつ炎弾を躱した時だった。

ばら撒かれた炎弾が一斉に爆発し始める。


「んなっ!?」


さすがに予想外だ。

なんとか直撃は免れたものの、爆風で吹っ飛ばされる。


「まだ立ち上がるか! いいぜ、私も本気で相手してやる!」


「今度は何だよこの炎上女が・・・!」


妹紅から炎となって魔力が漏れ出す。先ほどまでとは格が違うのはもはや見なくても分かる。


(さすがに避けるのは無理か・・・?)


「インペリシャブルシューティング!!」


妹紅が手をかざし、スペルを放とうとした時だった。


「さすがにそれはダメよ、妹紅」


輝夜が妹紅の手を掴みあげ、スペルをキャンセルさせる。

これは終わりでいいってことか?


「お疲れ様、もういいわよ銀」


「いだだだ! 放せよ輝夜!」


こちらを振り向き、笑顔で輝夜はそう言う。手首を締めあげられて悶絶する妹紅をガン無視しながら。


「はァァクッッソ疲れたわ」


「中々いい勝負だったじゃない」


「はいはいどーも」


いい勝負、ねぇ。相手が不老不死じゃなきゃそうかもしれないが、実際に不死だったんだからそうもいかない。正直かなり修行したつもりだったし、実際強くはなってたけど、それを遥かに凌ぐ強さのやつとか出てくると結構精神的にくるな。


「クソッ! 放せってば! あとはやく月を治せこのバカグヤ!」


「あら、そんな口のきき方でいいのかしら」


ちょっと気にしてたんだな。

言わせてもらえば子どもみたいなやり取りをする二人。それはその後しばらく終わることはなかった。


「あーもうあと残ってるよ」


手首を眺めながら涙目の妹紅が言う。


「それで許してあげたんだから感謝しなさーい」


そう言いながら輝夜はすでに月の魔法を解きはじめていた。


「あれ、今日はやけに素直じゃん」


「勘違いだって分かれば私だってちゃんとするわよ」


輝夜が魔法を解き終わったのか、こちらに向き直る。

何となく、嬉しそうな顔をしている気がした。


「間違いを正してくれてありがと。さすがにもうこんなことはしないわ」


「おう、そうしてくれると助かる」


今回は俺にもかなり反省点があった。もっと体力面も強化しなきゃな・・・。


「妹紅、送ってってあげなさいよ」


「はぁ・・・いいよ。私も勘違いして攻撃しちまったからな」


誤解は解けたからまぁいいのだが、ここはお言葉に甘えておこう。


「あの子も呼んできなさいよ」


「そういやそうだったな」


今まで完全に霊夢のこと忘れてたわ。言ったら殴られるから言わないけど。


「おーい霊夢ー。いるかー」


永遠亭に戻り、霊夢を探す。


彼女は縁側で月を眺めていた。


「霊夢、案内してくれるってよ」


俺の言葉に霊夢がゆっくりとこちらを向く。


「ん、分かったわ。さっさと帰りましょう」


(今・・・一瞬・・・)


「なに?」


あまり顔を見すぎたせいか、霊夢が聞いてくる。


「いや、なんでもない」


「あっそ」


あの一瞬、霊夢がどこか母親に似ている気がしたが、あえて言う必要もない。もう終わったことだ。


「帰ったらまずは睡眠だな」


そんなことを言いながら、俺は霊夢と一緒に博麗神社に帰るのだった。

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