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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第3章 竹取飛翔
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第26話 永夜編 苦手と蟲

──人里 外れ──


「なぁ霊夢、紫は竹林って言ってたけど場所は分かるのか?」


今更ながら、紫からのヒントをもらっただけで霊夢からはどこに行くのかを聞いていなかった。


「逆に、あんたは竹林なんて言われて分からないの?」


「え・・・分からん」


正直にそう言うと、霊夢は少し驚いたような顔をして言った。


「言ってなかったかしら・・・」


霊夢は少し考え込むような仕草をするが、こちらとしてははやく教えてほしい。


「で、どこへ行くんだよ。この辺は人里のはずれだけど」


「ん、この先を行ったところの、迷いの竹林よ」


霊夢がそう言ったときだった。

前方に何かの気配を感じる。


「霊夢、避けろ!」


「分かってるわよ!」


俺が叫ぶ前に、霊夢はすでに回避行動をとっていた。さすがは巫女の勘といったところか。


俺と霊夢の間を、人型の何かが通り過ぎていく。

その際


「えっ!? 避けられたぁ!?」


と声が聞こえた気がしたが、気のせいだと思いたい。


「霊夢、どう思う」


「黒幕じゃないと思うけど、手下の可能性はあるわ。とりあえず踏んじばって吐かせる」


おお、怖い怖い。妖怪相手だとホント容赦ねぇな。


「銀、地上にいて。あんたがいると・・・」


「わーってるよ」


霊夢の言葉を遮って肯定する。

飛べない俺は霊夢の足を引っ張るだけだろう。それだけはごめんだ。


霊夢が俺だけを地面に下ろし、襲ってきた敵に相対する。


「私の蹴りを避けるとは中々だね」


「あんた、何のつもり? 博麗の巫女に喧嘩売るなんて」


目の前の緑髪の少女に、霊夢が率直に聞く。


「ふふふ、私に勝てたら教えてあげるよ!!」


少女がそう言うと、どこからともなく虫が集まってくる。


「私はリグル・ナイトバグ、蟲を操る程度の能力だよ!」




霊夢に能力の付与を取り消され、半ば空中から飛び降りた形で地面に着地する。


「〜〜っっ。危ねぇ・・・鬼化間に合わなかったら折れてたかもな・・・」


いくらなんでももう少しちゃんと下ろしてくれてもよかったんじゃないだろうか。


「はぁ・・・っとに俺も空飛びて・・・ぇ・・・」


今、背後で何か音がした気がする。

昔聞いたことがあるような、二度と聞きたくなかった嫌な音だ。


「待て待て待て待て、待ってくれ」


まさか、まさかいるのか。この幻想郷に。


恐怖と戦いながら、恐る恐る後ろを振り向くと、そこには


大量の、ゴキブリがいた。


「いィィィやァァァァァァァァァ!!!!」




「わわっ、一体何の叫び声!?」


「なっ、どうしたのよ銀!」


突然叫びだした銀に声をかけるが全力で走っているせいか、聞こえていないようだ。


「俺はゴキブリとかダメなんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


見ると、銀の後ろを異常な数のゴキブリが追いかけている。

なんだかこっちも寒気が。


「そういえば銀のやつ、芋虫にも驚いてたしね・・・」


苦手なのは本当だったのね・・・


「おおー、近くにいたのがあの子たちだったから呼んだんだけど・・・」


リグルが銀の方をチラ見する。


「どうやら正解だったみたいね! あんな怖がってくれるなんて!」


「ふざけんじゃねぇぞコラァァァァァ!!!」


叫びながらも全力で走り続ける。

止まった時とか想像しただけで死ねる。やばい泣きそう。


だが、このままではいずれ追いつかれる。


「だぁぁクソッ!!」


意を決して振り向く。


「ひっ・・・」


喉の奥から思わず声が漏れるが気にしてられない。


「オオオオオォォォォ!!」


全力で地面を踏みつける。

軽い地割れのようなものを起こして、ゴキブリたちを崩れた地面が潰していく。


「ひぃぃぃぃ潰れる音もきもいぃぃぃぃ」


そうして銀は、半狂乱状態でゴキブリたちを潰し続けた。



その様子を見ていたリグルと霊夢は


「まぁ、あの量じゃね・・・」


「あぁぁ!! 蟲たちがぁぁ!」


リグルのほうは頭を抱えている。

やるなら今だ。


「ふっ!」


「はっ! しまっ」


「てい」


霊力を乗せたお祓い棒でリグルを脳天からぶん殴る。


「ナイスショーット」


リグルが地面に叩きつけられる。

まだ頭がふらついているようだ。

下まで降りていき、リグルの正面に立つ。


「それ以上抵抗するなら滅するわよ」


「ひっ」


どうやらもう抵抗する気はないようだ。

蟲たちも、彼女のそばから消えてしまっている。


「ちょっと銀! もう蟲はいないから大丈夫よ!」


今だに岩を投げている銀に、霊夢が声をかける。


「ゴキブリ・・・殺す・・・ゴキブリ・・・殺す・・・あれ? ゴキブリは?」


ようやく正気に戻った銀が、状況を聞いてくる。


「もうこいつとっちめたから大丈夫よ。それより・・・」


目の前の少女、リグルに向き直る。


「あんた、手下かなんか?」


「ふっ・・・そう簡単に答えると思って」


ズドン、とリグルの顔面すれすれに霊夢の弾幕が発射される。


「ごめんなさいすぐ言います」


「はぁ・・・最初からそうしなさいよ。それで、なんで襲ってきたの?」


霊夢が再度聞くと、リグルが目を泳がせながら答える。


「え、えと・・・なんとなく、ですかね・・・」


「は?」


なんとなく、今こいつはそう言ったのか。


「その、人里の人間たちはすぐ家に入っちゃうので・・・夜に人間に会うのが久しぶりだったんです・・・」


「じゃああんたは黒幕の手下とかじゃなくて」


「はい、ていうか黒幕ってなんです?」


・・・なんて無駄な時間を過ごしてしまったんだろう。


「はぁ・・・もういいわ、二度とこんなことはしないこと。いいわね」


「はい、すいません・・・」


反省しているようなので、今回は見逃そう。そう思った時だった。


「なんとなくでゴキブリを呼んだのか・・・」


ゆらり、と銀がこちらを振り向く。


「え、あ、はい。あの子たちしかこの辺にいなかったので・・・」


そうリグルが答えると


「くくく・・・なるほど、たまたまね・・・」


銀がおかしな笑いをあげる。


「ちょっと銀、どうし」

「俺の1番嫌いな蟲を大量に出しまくった罪! 絶対に許さねぇぞコラァ!!」


「ひいぃごめんなさいぃぃ」


全力で追いかける銀に、リグルも全力で逃げ出す。


「待てこらァァァァァ!!」


「ごめんなさいぃぃぃぃ」


「・・・・・・あほくさ」


まるで子どものような追いかけっこを見た霊夢は、そんなことを呟くのだった。


その後、銀の鬼化が解ける約10分の間、無駄な追いかけっこは続いたのだった。



いかがだったでしょうか。

今回は霊夢・銀サイドのお話です。

ゴキブリ大量はやばいですよね。失神します。

次回は魔理沙・アリス組のお話になります。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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