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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
閑話 淡き幻想の中で
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第25話 永夜編 異変と始まり


ある晩夏の満月の日のことだった。

何の前触れもなく、その『異変』は起こった。




──博麗神社──


「ふぁぁ・・・今日も平和だったわね・・・」


大きな欠伸をしながら霊夢は言う。


「最近神社の掃除しかしてないから暇だ・・・」


「なら、あんたが異変起こしてみれば? 全力で祓ってあげるわよ」


「お断りだよ」


ホンットに可愛げのない女だなぁ。


「それにしても、今日はいつにもまして満月が綺麗ね」


「そうかぁ? いつもと変わんなく見え・・・」


霊夢につられて月を見上げると、何か違和感を感じる。


「なぁ霊夢、今日ってホントに満月だよな」


「え? そうだけど・・・急に何よ」


「あの月、少し欠けてないか?」


ただの気のせいかもしれないが、何かがおかしい。うまく言えないがただ違和感を感じるのだ。


「そんなこと言われたって私は知ら・・・」


霊夢がそこまで言ったところで、突如空間が裂ける。


「ご名答、半分妖怪だから分かったのかもしれないわね」


スキマから紫が現れ、そんな言葉を口にする。俺の頭の上で。


「だァーっ! 降りろこのアマ!」


「あらごめんあそばせ、ちょうどいいところに置物があったのかと思ったわ」


あぁもう紫のこういう所ホントムカつく! 言っても無駄だから言わねぇけど!


「でも月が欠けてるから何なのよ。別になんの影響もないんじゃない?」


「それはあなたたち人間だけよ、霊夢。妖怪としては月の光はなくてはならないものなの」


霊夢の問いに、紫は至極真っ当な答えを返す。

霊夢と俺で扱い違くねぇかこいつ。


「ふぅん、だとしても私には関係ないわね。妖怪だって死ぬわけじゃあるまいし」


眠気からか、いつもより面倒くさそうに霊夢が言うが、紫がそれを許さなかった。


「ダメよ霊夢。これはれっきとした異変よ。博麗の巫女としての責務を果たしなさい」


いつもなんだかんだ霊夢には甘い紫が、珍しくはっきりと口にする。


「・・・分かったわよ。やればいいんでしょやれば」


無言で見つめる紫にとうとう霊夢が折れ、異変解決に行くことを了承する。


「よろしい。それじゃ銀、あんたも手伝ってあげなさいよ」


「え、紫はどうす」

「私は気が向いたら手助けするわ、場所のヒントは竹林。それじゃね」


言いたいことだけ言うと、紫はさっさとスキマでどこかへ消えてしまった。


「「・・・・・・」」


押し黙る2人。


「仕方ないわね・・・」

「行くか・・・」


こうして博麗の巫女と居候の2人は、異変解決を目指して竹林へ行くのだった。




──同刻 魔法の森──


森の中でひとり月を見上げ、アリスは呟く。


「あの月・・・やっぱり何かおかしいわね」


どうしようかしら、と首をかしげる。

少し、自分で調査してみたものの、分かったことはこの異変について人間たちは気づいていないということだけだ。


「仕方ない、魔理沙にでも手伝ってもらうか・・・」


少し悩んだが、彼女はすぐに魔理沙の家に向かうことにした。




(魔理沙、いるかしら)


人間ではあるが、同じ魔法使いをしている少女の家の扉をノックする。

ドタバタと騒々しい音を立てながら、目的の少女はすぐに出てきた。


「どちら様だぜ・・・ってなんだアリスか」


「なんだ、とはご挨拶ね」


「わりわり、で何のようだ?」


魔理沙の質問に、アリスは月を指さしながら答える。


「あの月、何か変だと思わない?」


「そうか? 私にはきれいな満月だなーってくらいしか」


やっぱりそうか、と言いながらアリスは何かを考えこむ。


「おいアリス! どういうことなんだぜ?」


「あ、あぁごめん。説明がまだだったわね」


こほん、と咳払いをしてからアリスは説明を始めた。


満月のはずが少し欠けていること。

そのことに気づいているのは妖怪だけで、人間はいたって普通だということ。

自分ひとりでは正直見当もつかなくなったから魔理沙に協力してほしいこと。


それらをすべて魔理沙に伝えると


「なるほど、それは面白そうだぜ!」


ちょっと待っててくれ! と言うと、彼女は家に戻り準備を始める。


数分後、いつもの格好をして魔理沙が出てくる。


「準備OKだぜ!」


「よし、じゃあ行こう。魔理沙」


「場所は分かってるのか?」


「うーん、迷いの竹林ってあるじゃない? あの辺りが怪しいと思うんだけど・・・」


「決まりだな! 最初の目的地は迷いの竹林だぜ!」


そう言うと、魔理沙とアリスは迷いの竹林を目指して飛んでいくのだった。




──同刻 紅魔館──


ほんの少し欠けた月を見ながら、吸血鬼の少女は従者の名を呼ぶ。


「咲夜」


「ただいま」


頭を深く垂れ、瞬時に咲夜が現れる。


「なんだかとっても暇だと思わない?」


「でしたら」


一瞬のタイムラグの後、立ったまま眠っている美鈴を連れてくる。


「眠る門番の串刺しショーなどどうでしょう」


ナイフを構えて、刺す気満々の咲夜が言う。


「そんなの日常じゃない。ストレス発散は後でやりなさい」


興味なさそうにレミリアが手だけで下げろと合図する。


「はっ。申し訳ございません」


美鈴が門に戻ったのを確認すると、レミリアが本題を切り出した。


「ねぇ咲夜。今日は満月のはずよね?」


「はい、その通りでございます」


「咲夜にはあの月はどう見える?」


「満月・・・だと思われますが」


レミリアの質問に、咲夜は率直な感想を述べる。


「ふふっ、それはあなたが人間だからよ。私にはあれが少し欠けてるように見えるわ」


「! 申し訳ございませんでした。私が未熟なまでに」


「いいのよ、これは種族的な問題だし。ただ」


一呼吸おいてレミリアが言う。


「これが異変だとしたら、中々に面白そうじゃない?」


にやりと笑って咲夜を見る。


「! つまりお嬢様はこの異変を解決しに行かれると・・・!」


「えぇ、その通りよ」


さすがは咲夜、私の考えることを瞬時に悟る。


「暇つぶしにはもってこいだしね」


「お嬢様、ひとつお願いがあります」


「いいわよ、言ってみなさい」


「私が同伴することをお許しいただきたいのです」


「え」


予想もしていなかった言葉に、思わず驚きの声を上げる。


「な、咲夜がついてくる必要はないわ! 私ひとりで大丈夫よ!」


「ですがお嬢様に万が一のことがあればそれはすべて私の責任。せめて近くにいさせてほしいのです」


咲夜の言葉に、レミリアがうんうん唸りながらなんとか答えをひねり出す。


「分かったわ、同伴を許可する」


「私の身勝手な我儘を聞いていただきありがとうございます」


少し拗ねたようなレミリアに、咲夜はあくまでも従者然とした態度で接する。


「もういいわよ、とりあえず行きましょう」


「目的地はお分かりで?」


咲夜の問いに、レミリアは振り返って言った。


「場所は竹林。迷いの竹林よ」




──同刻 白玉楼──


「幽々子様」


庭師の妖夢が私の名前を呼ぶ。


「なあに妖夢」


「その、今日の月は何かがおかしあと思うのですが、幽々子様はどうですか?」


少し自信なさげに妖夢は言う。


「ふふ、よく気づいたわね妖夢。たぶんこれは異変よ」


「! やっぱり・・・」


「どうする妖夢、異変解決に行く?」


幽々子はあくまで妖夢の意思を尊重しようとしている。


「私は・・・行きたいです」


「・・・・・・」


「もしかしたら、これで困っている人がいるかもしれない。私はそんな人放っておけません」


妖夢の言葉を静かに聞いていた幽々子が口を開く。


「よく言ったわ妖夢。いいわ、行ってきなさい」


「いいんですか?」


「もちろんよ」


そう返すと、妖夢の顔が明るくなる。


「ありがとうございます! 幽々子様!」


「ふふ、場所のヒントは迷いの竹林よ。頑張ってね」


「はい!」


元気に返事をすると、妖夢はすぐに飛び立ってしまった。


幽々子の横にスキマができ、そこから紫が顔を出す。


「いいの? 幽々子。あの子ひとりで」


「大丈夫よ、何かあったら迎えに行くし。それに紫も同じでしょう?」


紫の脳裏に、2人の姿が浮かぶ。


「・・・なんのことやらさっぱりね」


「ふふ、素直じゃないのね」


うっさい、とだけ言って、紫はどこかへ行ってしまった。


(妖夢なら、きっと大丈夫)


白玉楼の主は、そう心の中で思うのだった。


いかがだったでしょうか。

今回から永夜編に入っていくことになります。

4つのチームに分けてみたので、視点の切り替わりが激しくなると思いますが、頑張って分かりやすく描写できるようにしたいです。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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