第24話その3 少女とおつかい
──人里──
「ここだよフランちゃん」
「ありがとう妖夢お姉ちゃん!」
繋いでいた手を離し、大きく手を振るフランに、妖夢も思わず笑顔で手を振り返す。
「また何かあったら言ってね〜」
「うん! またね〜!」
(((妹様万歳!!!)))
(比類なきかわいさだ)
(妹様・・・私も手を振られたい!!)
(妹様にバレてないですよね・・・?)
そんな調子でフランが店から出てくるまで見守るのであった。
少しして、フランが店から出てくると、買い物は終わったはずなのにどこかへ行ってしまう。
(ありゃ、どこ行くんだ)
(私が少しお小遣いをあげたの。何か欲しいものがあったんじゃないかしら)
(そんなことより追いかけますよ!)
そうして大通りへ向かって行くフランを追いかけるのだった。
(妹様は何を探しておられるのかしら・・・)
(さぁ、私は分かりませんね・・・)
(何はともあれ追いかけとこうぜ)
「あれ、フランじゃねーか。どうしたんだぜ? こんなとこに1人で」
「あっ、魔理沙!」
フランが通りを歩いていると、見知った魔法使いが前からやってきた。
「今ね、お使い終わったから探してたの」
「何をだ?」
「紅魔館のみんなのプレゼント!」
「へぇーいいじゃねぇか」
フランが羽をさかんに動かしながら話し始める。
「咲夜とか美鈴にはお世話になってるから貰ったお小遣いで何かプレゼントしたいの!」
「そんで今探してるのか」
「そう!」
なるほどな、と言いながら、魔理沙は顎に手をあて、少し考えるような素振りを見せたあと、フランに提案する。
「プレゼント探し、私も手伝ってやるよ」
「魔理沙が一緒に? やったぁ!」
フランは魔理沙に抱きついて喜ぶ。
「おおっと日傘が危ないぜ、ほら手繋ぐぞ」
「うん!」
魔理沙とフランは、まるで姉妹のように手を繋いでプレゼント探しを始めた。
(・・・だってよ。メイド長さん?)
そう言って咲夜の方を見ると、彼女はもはや涙を流していた。
(うぅっ、妹様・・・わ、私のミスでこうなったのに・・・プレゼントなんて・・・)
(咲夜さん・・・よかったですね・・・私も嬉しさがやばいです・・・)
だが、フランが探しているのは紅魔館連中へのプレゼント。
プレゼントというくらいだから、ここで中身を知ってしまうわけにはいかないだろう。
(咲夜さん、美鈴。あんた達はもう帰ったほうがいい)
((え?))
(フランが買いたいのはプレゼントだろ? なら、ここで中身を知るのはよくないんじゃないか?)
(それは・・・そうだけど)
咲夜は言葉を濁すが、彼女たちはもう帰らせたほうがいいだろう。
もう一押しする。
(フランを待っててあげるのも、家族の役目なんじゃないか?)
(・・・・・・)
2人が黙り込む。
だがやがて咲夜が口を開く。
(そうね、銀の言う通りよ)
(咲夜さん・・・)
(美鈴、私たちは先に帰りましょう。魔理沙が妹様の近くにいてくれるし、大丈夫でしょ)
(分かりました。咲夜さんがそう言うなら)
そう言うと、2人が立ち上がりこちらを見て言う。
(それじゃ、頼んだわよ銀。妹様に怪我させたら全身串刺しだからね)
(それでは銀さん、私たちはこれで)
(おう、ちゃんと待っててやれよ)
手を振り、2人が紅魔館のほうへ飛んでいってしまった。
そんな裏の事情を知るわけもなく、2人は買い物を続ける。
「ねぇ魔理沙、次はいつ来てくれるの?」
「んー? 来週くらいには行くと思うぜ? そろそろ本読み終わるしな」
「本当!? 今度はどんなお話聞かせてくれるの!?」
「それは行った時のお楽しみだ」
ウインクしながら言う魔理沙に、口を尖らせながらも、フランは確かに嬉しそうだった。
──紅魔館──
「美鈴ただいまー!」
「あっ、おかえりなさいフラン様」
帰ってきたフランを笑顔で迎える。
「中でお嬢様がお待ちですよ」
「おかえりフラン、人里はどうだった? 」
「お姉様! すごくすっごく楽しかったよ!」
興奮気味に話すフランをなだめながら、レミリアが食堂のほうへ連れていく。
「話を聞かせてくれる?」
「うん! あ、でもその前に・・・」
フランが手に持っていた袋から小さな箱を取り出す。
「はいこれ、プレゼント!」
「? 何かしら」
レミリアが箱を手に取り、中を見てみると、その中には
「ネックレス?」
「そう! お姉様に似合うと思って!」
ネックレスの先には、小さな蝙蝠がついていた。
「ふふ、ありがとうフラン」
レミリアがお礼を言って、従者の名を呼ぶ。
「咲夜」
「ここに」
一言発するだけで咲夜がレミリアの後ろに現れる。
「このネックレスを着けてちょうだい」
「はっ」
咲夜がレミリアからネックレスを受け取り、彼女の細い首に着けていく。
「どう? 似合うかしら」
「とてもお似合いですよ、お嬢様」
「やっぱり似合ってる!」
レミリアはよほど嬉しかったのか少し頬に赤みが差している。
「そうだ! 咲夜にもこれ」
そう言うと、フランがもうひとつ箱を取り出し、咲夜に渡す。
彼女がその箱を開けると、中には懐中時計が入っていた。
「ありがとうございます妹様。この上ない贈り物でございます」
「えへへー、あ、そうだ! 美鈴にもあげて来ないと!」
そう言うと、フランはすぐに美鈴のもとへ走って行ってしまった。
「ふふっ、贈り物なんていつ以来かしらね」
レミリアは首につけたネックレスを見ながら、嬉しそうに言う。
「私も本当に嬉しいです。まさか妹様から贈り物をいただけるとは。・・・それで本日の夜ですが」
「えぇ、フランにお返しとして、最高の料理を作ってあげて」
「はっ」
短く返事をし、咲夜はすぐに料理を作りに行ってしまった。
「まさかあの子がプレゼントなんてねぇ」
胸元で光るネックレスに目を向けながら、彼女はひとり呟く。
その夜は、食卓にはフランの好物ばかりが並び、いつにもまして明るいひと時を過ごしたんだとか。
いかがだったでしょうか。
自分なりに妹様をひたすらに可愛く書きました。
いやぁもうホント、書いててこっちが悶絶してました。
次回からは永夜編に入る予定です。
それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。




