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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第二章 幽雅に咲かせ、墨染の桜
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第21話 白玉楼編 剣と人

──白玉楼 中庭──


両者ともにお互いの隙を見つけるため、一向に動かない。

それでも先に動いたのは妖夢だ。

切っ先をこちらに向け、中段に刀を構える。確かパチュリーに字を教えて貰いながら読んだ本、正眼の構え、とあったやつだ。


「行きます!!」


言葉とともに、妖夢が物凄い勢いで突っ込んでくる。


「…………」


袈裟斬り、逆袈裟、右薙ぎ、逆風と怒涛の斬撃を放ってくる。

その一振り一振りが妖夢の第一印象通りの愚直なまでに真っ直ぐな剣筋だ。

だが、素人目でしかないが、「何か」が足りない気がする。


(この違和感はなんなんだろうな……)


「はァァァッ!!」


上段からの唐竹割り。

それを躱し、刀を弾く。


「ふっ!!」


すかさず拳を放つが、妖夢は体をひねり、それを躱す。

さらにその状態から刀を切り上げてくる。


(意外と体術もできるんだな……)


刀を躱して距離を取りつつ思う。


(美鈴に武術教わっといたのは正解だったな……)


そのおかげで隙を作らず、体力の消耗も少ない立ち回りなどもできるようになってきた。

発勁は……修行しなきゃな。




「あの子、意外にやるわねぇ」


「スペカ無しだしなぁ」


「むしろあそこまで反応できる妖夢も凄いわよ」


素直に感心している幽々子に魔理沙が口を挟む。なぜか咲夜も混じっていたが。


「それでも、よ。妖夢はあれでも毎日稽古してるのよ?並の人間じゃ相手にならないわ」


「そうなんですね……」


妖夢の言葉に咲夜が感心している。


(あいつも私と同じでかなり修行してるしな……)


銀を見ながら魔理沙はそんなことを思ったが、決して口にはしなかった。




「なぁ、妖夢。()()()、かかってこいよ」


「…………」


「それとも、お前の剣はこの程度なのか?」


妖夢の肩がぴくりと動く。

少し言い方が悪かったが、彼女は武器を持っていないこちらに気を使っていたのだろう。こちらが怪我をする可能性のある技は一切使ってこなかった。


「……分かりました」


妖夢の声が、怒りによるものだろうか、少し震えている。


「お覚悟を」


妖夢の纏う雰囲気が変わる。

鋭く、ひたすら鋭く、研ぎ澄まされた刃物のようだ。

拳に、力を込める。


ゆらりと、少しづつ、妖夢は刀を上段に構える。


(あの構えは……確か……)


「!!」


咄嗟に半身を引く。もはや勘でしかなかったが、その行動は正解だったようだ。

体の数センチ横を妖夢の刀が通り過ぎる。


刀を上段に構える「天の構え」

基本ではあるが極めれば振り下ろすことに関しては最速と言えるまでの斬撃を繰り出すことができる。

妖夢の場合、それに加えほんの数メートルではあるが、瞬間移動に近いスピードで放つことができるぶん、必殺の一撃と言えるのかもしれない。


「ッ!!」


すぐさま距離を取ろうとするが、妖夢はそれを許さない。

すぐさま短刀を抜き放ち、追撃してくる。


常人ならばほぼ目視不可なスピードで放たれる斬撃を、かろうじて捌いていく。


(……さすがに分が悪いか)


鬼化はしないと決めている。だが、手を抜いて勝てるような相手でもない。


(どうすっかねぇ……)




「お!妖夢のやつ本気になったみたいだな!」


「もう、みんな妖夢をいじめないでちょうだい」


「それをお前が言うか……」


魔理沙の言う通り、おそらく幽々子か1番妖夢を振り回している張本人だろう。本人はそんな言葉もどこ吹く風だが。


「幽々子はどっちが勝つと思う?」


「私?そうねぇ、私は──」




妖夢は今、確か八相の構えという構えをしている。攻守どちらにも対応できる構えだ。

おそらくこちらを警戒しているのだろう。まぁかなり捌いたしな。


さて、そろそろこっちも攻めるか……


体勢を低くし、一気に守りをつき崩すべく、全神経を刀に向ける。


「今度はこっちからだ。行くぞ」


妖夢の目が鋭くなる。


足に、力を込める。



全力で地面を蹴り、瞬間的に距離を詰める。

妖夢もそれに反応し、刀で切り上げようとする。

だがそうはさせない。柄頭を足で止め、長刀を封じる。

妖夢はすぐさま開いていた脇をしめ、短刀を振るおうとする。

しかしそれが振るわれる前に短刀を弾き飛ばす。


「くっ……!」


そのまま蹴りを放つ。

妖夢がそれを素手で受けるが耐えきれず、吹っ飛ぶ。


止め……!!


すぐさま拳を構え、追撃しようと追いかける。

妖夢も負けじと全力で突きを繰り出す。

だが、そこで


「そこまでっ!!」


俺と妖夢の試合が終わる。

切っ先が目の前で鋭く煌めいている。

俺の拳も妖夢の目前で止まっている。


ま、人間のまんまだしこんなもんだろ。


試合を止めたのは審判の咲夜ではなく幽々子だ。


「中々いい試合だったぜ、妖夢」


「ほんとヒヤヒヤさせるんだから……」


試合を楽しんでいた魔理沙の横では咲夜が安堵のため息をついている。


「二人とも、いい試合だったわ」


「そりゃどうも」

「ありがとうございます」


いくらいいところだったとしても、試合は試合。審判が(審判ではないが)止めたなら、そこで試合は終了だ。


「そろそろ夕飯の準備してもらわなきゃね」


「もうそんな時間でしたか!?すいませんすぐ準備します!!」


「私も手伝うわ、動いたばかりだし疲れてるでしょう?」


すぐさま咲夜が立ち上がり、妖夢を手伝おうと提案する。


「そんな、お客様に手伝わせるわけには……」


「いいじゃない妖夢。仲良くなるチャンスなんだし」


断ろうとした妖夢を幽々子が止める。


「幽々子様がそう言うなら……」


「ありがとうございます。西行寺様」


「幽々子でいいって言ってるのに・・・」


少し不満そうな幽々子を放って、妖夢は咲夜と夕飯を作りに行ってしまった。


「んじゃあ私は霊夢を起こしに行ってくるかなーっと」


魔理沙も立ち上がり、行ってしまった。

幽々子がこちらを振り向き、子供のような笑顔で言う。


「本当にいい試合だったわ。これからも妖夢のこと、よろしくね」


それじゃ、先に待ってましょう、と幽々子は先に歩いていく。


「……まぁ、任せてください」


本当に不思議な人だ。なぜか紫と重ねてしまうが、気のせいだろう。

彼女はどちらかといえば紫とは正反対の性格のようだし。


そんなどうでもいいことを思いながら、俺は幽々子について行くのだった。





その後、魔理沙に無理やり起こされた霊夢が不機嫌そうだったのは、また別のお話。

いかがだったでしょうか。

今回は妖夢との試合です。刀の構えなどを片っ端から調べたりして、また1つ賢くなったような錯覚に陥っていますが、問題ない(はず)です。

それではまた次回、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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