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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第一章 亡き王女の為のセプテット
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第13話 紅魔編 家族


「これは、一体どういう状況なの?」


「いや、あのーこれはですね……」


まさか霊夢がここに来るとは思わなかった。無断で抜けてきたので、少し後ろめたさもあり口ごもる。


「まぁいいわ、とりあえず今回の元凶はあれ?退治していいのよね?」


「ダメだ、あの子は助けなきゃいけない」


即断でフランが危険なものだと決め、すぐに退治しようとする霊夢を止める。


「あれを?傍からみても気がふれてるわよ?」


「それでもだ」


美鈴が俺を救ってくれたんだ、まだ約束ひとつ果たせてない俺が諦めるわけにはいかない。


まっすぐに、霊夢の瞳を見る。


「……分かったわ、動きは止めてあげる。あとはなんとかしなさい」


小さなため息をつき、彼女は言った。


「それと、全部終わったら説明しなさいよ」


「あぁ、終わったらな」


だが彼女は人間だ。いくら実力があると言ってもフランを相手にできるのだろうか。


「あァぁァァおねエさマァァ!!」


「悪いけど、流れ弾はそっちで避けなさい」


それだけ言うと、霊夢はフランに正面から向かっていった。




「あの巫女……知り合い?」


レミリアが聞いてくる。


「あぁ、相当強いらしい」


「そう……少し回復に専念するわ、美鈴たちの護衛をお願い」


「……任せろ」


おそらくレミリアはさっきのを避けきれなかったのだろう。ここからでは見えないがおそらく──


(今はそれより美鈴たちを守らないと……!)




「おい咲夜さん!美鈴はどうだ!?」


入り口付近で美鈴を看ている咲夜に容態を聞く。


「応急処置はした。2,3日すれば治る怪我ではあるわ……」


「そうか、良かった……」


「よくないわよ!!」


「!」


咲夜が、怒鳴りつける。


「あなたがいなければ、こんなことには……」


「……すまん」


何も、言えなかった。いや、ここで何を言っても言い訳にしかならない。


「少し取り乱したわ、ごめんなさい」


咲夜はすぐに自分の非を詫びる。


「いや、俺が全面的に悪い。気にすんな」


そう、咲夜が謝る必要はどこにもない。あそこで避けを選ばなかった俺が悪い。


だが今はそんなことより霊夢だ。


「あいつ、ホントに大丈夫か……」




「禁忌・クランベリートラップ!」


フランが魔獣を数匹召喚、ともに霊夢に襲いかかる。


「……夢符・封魔陣」


霊夢が自身の周囲に結界を張る。

魔獣を弾くことはできたが、やはりフランは防げない。

まるで紙切れのごとく結界が破られる。


「アハハッ」


だが、霊夢も霊夢でフランの攻撃の一切を避け続けている。


「咲夜さん、フランの能力って何なんだ?」


なんとなくの予想はつくが、聞いてみる。


「……ありとあらゆるものを破壊する程度の能力よ」


やっぱりそんなとこか、フランの攻撃を防げないわけだ。


自分の左腕を見ながら思う。もはや痛みすら感じない。


「それより、あの巫女は一体なんなの?あそこまで妹様と対等に渡り合うなんて……」


霊夢あいつ、たぶん勘で避けてる」


「え……?」


信じられない、といった顔で咲夜はこちらを見てくる。だがそれは俺も同じだ。俺だって訳分かんねぇ。

ただ、霊夢は死角からの攻撃すら、ノールックで避けている。

つまりそういうことなんだろう。


「禁忌・フォーオブアカインド!」


フランが再び4人に分身し、霊夢に突撃する。


「神技・八方鬼縛陣」


霊夢は先ほどよりも広く、強固な結界を張る。

分身3体は結界に触れ、消滅するが、本体はそうはいかない。

あっけなく結界を破り捨てる。


(これはもう防御不可のレベルね……)




霊夢はおそらく相手を捕まえるのは苦手なのだろう。話に聞くかぎりでは妖怪はとりあえずボコすっていうスタンスだったらしいし。


「アアアァァ!!秘弾・そして誰もいなくなるかァァ!!」


フランの姿が、消える。

目視不可の状態で、光弾だけが縦横無尽に飛び回る。


「っとに厄介ね……!」


口ではそう言いつつ、霊夢はなんなくそれらを避けていく。




「……う……あ」


「「!!」」


「美鈴!大丈夫!?」


美鈴が意識を取り戻す。


「い、妹様は……?」


「今、巫女が抑えてるけど、少し厳しいみたい。あなたはまだ動いちゃダメよ」


咲夜が状況を説明すると、美鈴は少し間をあけてから言った。


「……いえ、私が行きます。行かなきゃいけないんです」


「何を言ってるの!?その体で向かったら無事ではすまないわよ!?」


覚悟は、決まっていたようだ。


「銀も何か言ってよ!!」


「……俺に美鈴を止める権利はないよ」


「ありがとうございます。銀さん」


……礼を言う必要なんてない。何もできない俺は、ただ見ていることしかできないんだから。


「ダメよ美鈴。あなたは行かせない」


咲夜が、美鈴にナイフを向け立ちはだかる。


それでも美鈴は進む。


「止まりなさい」


美鈴は止まらない。


「……止まって、お願いだから」


懇願するような咲夜を見ても、彼女は歩みを止めない。

美鈴が咲夜の横に並ぶ。


「ごめんなさい。今回だけは言うこと聞けません。銀さん、咲夜さんを頼みますよ」


苦笑しながら美鈴は言う。


「……おう」


美鈴が、フランのもとへ走って行く。


「いっつも寝てばっかで……言うこと聞いてないじゃない……バカ……」


座り込む咲夜さんを慰める言葉なんて、俺はひとつも持ち合わせていなかった。




「QED・495年の波紋!!」


フランが姿を現し、文字通り波紋状に光弾を撃ち出してくる。


(これは避けられないわね)


瞬時にそう判断し、迎撃に入る。


「霊符・夢想封印!!」


7つのカラフルな弾幕を放ち、フランの光弾を多少なりとも相殺する。


「妹様!!」


あれは……入り口で倒れてた奴かしら。


「ア……めイ……りン……?」


フランの様子が変わる。


「あァ……ああァァぁァァ!!」


「妹様!!気をしっかり!!」


(さて、これどうしたもんかしら……)


そう考えた瞬間、下の方から声がした。


「そこの巫女!射線あけなさい!!」


もう1匹のほうの吸血鬼か。


拘束しなくていいのか、と問いかけようとするが、それを言う前に答えが返ってきた。


「妹の不始末は私が片付けるわ!!」


無言で頷き、射線をあける。


「神槍・スピア・ザ──」

「お嬢様、それはいけません」


技を放とうとするレミリアの腕を美鈴が止める。


「なっ、美鈴!放しなさい!!」


「嫌です。妹様は私に任せてください」


何をもめて……


「レミリアァァぁァァ!!」


不意をつかれ、フランという吸血鬼に突破される。


「そこの妖怪!逃げなさい!!」


咄嗟に叫ぶが、間に合うわけがない。


「禁忌・レーヴァテインンン!!!」


フランの手に炎の剣が握られる。


「妹様!!」


美鈴がレミリアの前に立ち、フランを真っ正面から見据える。


「あぐっ……めイり……ん……」


フランの動きが一瞬止まる。

そこを逃さず美鈴がフランを抱きしめ、倒れ込んだ。


「め、メい、リ」


「妹様、大丈夫です。私はここにいますよ」


まるで、母親のように、美鈴はフランに語りかける。


「め、めいり」

「咲夜さん、今は任せよう」


今にも飛び出していきそうな咲夜を制止する。


「フラン様、私を見てください。全然元気でしょう?」


「で、でも、オ、おナカに……」


「この程度の傷どうってことないですよ」


美鈴は無理やり笑みをつくり、フランに笑いかける。


「お、お姉様が……」


「さっきのは私が勝手に出ていっただけです。お嬢様は何も悪くないですよ」


フランの頭を撫でながら、諭すように言う。

フランの目から、涙がこぼれ始める。


「あ、あぁ、フラン、お姉様に……ひどいこと……」


「大丈夫です。お嬢様ならきっと許してくれますよ。私も一緒に謝ってあげますから」


「呼び捨てにしたのは許さないけどね」


子供っぽいことを言うレミリアに、美鈴は苦笑で返す。


「だから、妹様。戻りましょう」


「う、ひっく……うわぁぁぁん」


「よしよし」


泣きじゃくるフランの頭を美鈴が撫でる。


「……一件落着ってとこか?」


「……えぇ、そうみたいね」


俺の問いに、咲夜が答える。


「もう真夜中だし、今日は銀もそこの巫女も泊まっていきなさい」


レミリアの提案に、咲夜、美鈴が同意する。


「どうする霊夢?」


「……はぁ、もう何でもいいわよ」


全体に、和やかな雰囲気が流れはじめたときだった。

紅魔館の扉が、勢いよく開かれる。

そこには、息を切らしたパチュリーがいた。


「ハァ……ハァ……広すぎるのよ……この館……」


「一体どうし……」


「みんな聞いて!フランが部屋から逃げ出したの!はやく捕まえないと危な……ってなんで笑ってんのよ」


あれよあれ、とレミリアが指差す方をパチュリーが見る。


「え?フランもう捕まって……え?」


パチュリーのそんな様子に、みんな笑うしかなかった。

霊夢は死ぬほど眠そうな顔をしていたが。


なにはともあれ、これで異変は解決。最後は大団円、といったところだ。


「……なんか忘れてる気がするのよね」


霊夢がぼそりと呟くが、それは誰の耳にも届かなかった。




──そのころ 霧の湖付近──


「いやぁー妖精たちと勝負してたら遅くなっちまったぜ」


霧雨魔理沙が、ひとり呟く。


「そういや私、なんで妖精と戦ってたんだっけ?」





紅魔館の壊れた部屋を見ながら、咲夜さんが渋い顔をするのは、また少し先のお話。

いかがだったでしょうか。なんとか無事紅魔編終了です。フランちゃんちょっと諭すのはやすぎた気もしますが、そこはそれ。次回はエピローグとなります。ぜひ、また読んでいただけると嬉しいです。

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