第95話 闘技大会編 吸血鬼と鬼
文:ありましたね、次回。
はたて:そうね。
あ:というか前回短すぎて振り返ること何もないんですが。
は:私に言わないで。なんか解説でもしたら?
あ:そうですね……まぁ勇儀さんはまず生半可な攻撃では傷一つつけられないでしょうね。それこそレミリアさん達でも全力でないと。
は:でも二人ってだけで結構なアドバンテージにはなるわよね。
あ:そこですね。あの二人がいかに上手いタイミングで攻撃を合わせられるか。決定的な一撃を確実に当てられるか。そこに全てかかっていると思いますよ。
は:文が真面目に解説するのって何百年ぶり?
あ:その言葉を言うまでは真面目でしたよ。
レミリアとフランがほぼ同時に左右に展開、勇儀との距離を一瞬で詰める。
「いいねぇやる気満々じゃねぇか」
それに対し、勇儀はどちらにも対応できるような構えをとっている。
「ふっ!」
「ハッ!」
少しだけ地面から浮き、腕だけでなく両足も使って左右から怒涛の連撃を繰り広げる。
勇儀も負けじと両の腕を使ってレミリア達に応戦する。
だがやはり手数で大幅にハンデのある勇儀のほうが分が悪い。二人に対して片腕ずつで対応している時点でありえない話ではあるが、どうしても少しずつ勇儀の体に打撃が入っていく。
「クソッうざってぇッ!」
やはり根本的に彼女に武術は合わないのだろう。堪えきれなくなった勇儀が腕を叩きつける。当然レミリア達はそれを躱すが、遠ざけることが目的だった勇儀にとっては別に当たらなくてもよかったのだろう。
「フラン!」
「うん!」
一瞬のアイコンタクトで二人は同時に大量の蝙蝠を放つ。
その量は結界内を覆い尽くすほどだ。
「ふぅ……すぅ────」
勇儀が大きく息を吸い込む。
「ッ!? はやく耳をふさいで!」
突然パルスィが驚いたような表情をし、俺たちに向かって言う。
「? 一体どうし」
「いいからはやく!」
あまりにも焦ったように言ってくるので、仕方なく耳をふさぐ。霊夢のほうを見れば、すでに耳を塞いでいた。おそらくパルスィに言われるよりはやく。
(一体なんだってんだよ……)
「────ッッ!!!!」
勇儀が、咆哮する。
無数の蝙蝠がボトボトと地に落ちていく。
その音が攻撃的と捉えられたのか、結界のおかげで音は聞こえなかったが、音による衝撃は会場を震撼させた。
「バケモノね……」
冷や汗を流しながらレミリアは呟く。
「アンタらだって、一応吸血“鬼”だろ?」
「一緒にするんじゃないわよ」
冗談めかして言う勇儀にそっけなく返す。
「ははっ、確かに似ても似つかねぇもんだからな。さて、と」
勇儀が姿勢を低くする。
「今度はこっちから行くぜぇ!」
地面が爆発したかと思うほどの衝撃で走り出し、数歩でレミリアのもとへ到達する。
「しまっ!?」
完全に油断していたレミリアはそれに反応するのが若干遅れてしまう。
「禁忌・フォービドゥンフルーツ!」
勇儀の拳がレミリアに触れる寸前、フランの放ったスペルが勇儀へと吸い込まれていく。
「あ、ありがとうフラン」
「いいから目眩し!」
おそらくスペルを受ける寸前に後ろに跳んでいたのか、勇儀はほとんど無傷だ。そんな状態では会話なんてしていられない。
「紅蝙蝠・ヴァンピリッシュナイト」
レミリアのスペルにより、数十匹の蝙蝠が勇儀を取り囲む。
「あん? なんだコイツら……」
数が少ないため、殴って終わらせようと思ったが、どうもこちらからの攻撃が当たらない。
おそらくスペルでなければ消せないのかもしれない。
スペル発動のため、少しだけ溜めを作る。
「力業・山嵐!!」
腕を振り下ろすと、周囲に轟音とともに大量の光弾が蝙蝠達を襲う。
「作戦会議は終わったみてーだな」
蝙蝠達がすべて消え、レミリア達の姿が見えると、どうやら何かを話し合っていたらしい。
「いいわねフラン」
「うん」
二人はそれぞれスペルを発動するために構える。
「させねぇよ! 枷符・咎人の外さぬ枷!!」
勇儀が大きく腕を振り、リング状の光弾を放つ。
「必殺・ハートブレイク!」
「禁弾・スターボウブレイク!」
二人が放ったスペルは勇儀のスペルを簡単に消滅させ、そのまま勇儀まで真っ直ぐ向かっていく。
「チッ……」
小さく舌打ちした勇儀は避けようとはせずにスペルを待ち構える。
「ラァッッ!!」
向かってきたスペルを力任せに叩きつけ、ねじ伏せる。
「やっぱりダメね……」
「お姉様、ぷらんびーに移行します!」
「はいはい」
「次の作戦は決まったか? なら第2Rと行こうぜ」
弾幕を叩き落とした勇儀は、二人を見てニヤリと笑みを浮かべた。




