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人と妖怪とetc.  作者: 那々氏さん
第6章 幻想闘技・人妖
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第92話 闘技大会編 鬼と大魔法使い

 

「こっちから行かせてもらうぜ!」


「させない! 土符・レイジィトリリトン!」


 突っ込んでくる勇儀の足元や周囲から次々と石柱が飛び出す。


「うざってぇッ!」


 思わず石柱を叩きおってから、勇儀はそれがなんなのか気づいた。

 石柱の先端にエネルギーが溜まり始める。


「チッ……」


 短く舌打ちをした勇儀は、逃げることはせずに立ち止まる。

 石柱が輝きだし、放電する。


「……さすがの耐久力、なんて呑気じゃいられないわね……」


 勇儀を足止めできたのは、本当に一瞬だけだった。電撃などものともせずに近づいてくる。


「パチュリー様! 合わせてくとさい!」


「分かったわ!」


「極光・華厳明星!!」


「土&金符・エメラルドメガリス!」


 美鈴の放った極大の光弾の周りを、パチュリーが作り出したエメラルドを模した弾が追随する。


「威力が足りてねぇんじゃねぇか!?」


 電撃をノーガードで凌ぎ切った勇儀が叫び、構える。


「光鬼・金剛螺旋!」


 自分で作り出した螺旋状に構成された弾を掴み、美鈴たちの攻撃に真っ向からぶつける。


「オラァァッッ!!」


 圧倒的な火力の差で、勇儀は二人の弾幕を打ち破る。


「くっ……」


(身体強化の魔法ももうそろそろ限界だ。ここはもう……賭けるしか……!)


「パチュリー様、援護お願いします!」


「美鈴……!? ……分かったわ」


 すぐに美鈴の考えていることを把握したパチュリーは、美鈴を援護する態勢に入る。


「正面から来る……か。いいねぇ、その意気だ!」


 勇儀も美鈴を迎え撃とうと走り出す。


「火&日符・フレアイグニッション!」


 美鈴と勇儀のちょうど中間あたりで火球が爆発し、二人を飲み込む。

 だが、その炎は美鈴を避けるかのように燃えていた。


「決めさせてもらいますっ!」


 美鈴が、あまりの豪炎に思わず立ち止まった勇儀の前に躍り出る。


「三華・崩山彩極砲!!」


 勇儀の鳩尾に、全力の一撃を叩き込む。

 前回銀と戦った時よりもはるかに高い威力の一撃だ。

 だが


「捕まえたぜ、紅美鈴」


 決まったと同時に、腕を掴まれる。


「そんなっ……!?」


「なかなか楽しめた。ありがとな」


「くっ……!?」


 咄嗟に腕でガードするが、すでに身体強化は切れている。そんな状態では防ごうにも防げない。一瞬で壁まで飛ばされる。


「試合続行は危険ですね。紅美鈴、敗退です」


 映姫は美鈴を流し見て、黒旗を上げる。


「美鈴!」


「残るは魔法使い、お前だけだな」


 勇儀はゆっくりと近づいて来る。


「日符・ロイヤルフレア!」


 頭上に火球を作り出し、勇儀へとぶつける。

 だが、腕の一振りでそれはかき消されてしまう。


「どうする? 棄権するってーならアタシは止めないぜ?」


 目の前に立ち塞がる勇儀が、パチュリーに向かってそう言う。

 そんな勇儀を彼女は真っ直ぐに見つめ返す。


「美鈴があれだけ頑張ってくれたんだもの。私が諦める訳にはいかないでしょう?」


「……! ……そうだな。今のは忘れてくれ」


 そう言うと、勇儀は一度後ろへ飛び、パチュリーから距離をとる。


「仕切り直しだ。最後の大一番と行こうぜ?」


「火水木符・ヴァッサァフォイアデントロ!」


 驚異の三属性同時発動。ここに来てすでに体力も魔力も限界だが、七曜の魔女と呼ばれる者としての意地がある。


「いいねぇ、その勇気に応えよう!」


 勇儀がその場で拳を構える。

 そして、向かってくるエネルギー弾を全力で殴りつけた。


「ぶっ飛べぇぇぇぇ!!」


 勇儀が振り抜いた拳は、エネルギー弾を打ち消しただけでなく、その衝撃波だけで咄嗟に防壁を張ったパチュリーを壁まで吹き飛ばす。


「パチュリー・ノーレッジ。楽しかったぜ」


 距離を詰めた勇儀は、一瞬目を伏せるが、すぐに拳を振り上げる。

 そして、拳を振り下ろそうとした瞬間、


「両者そこまで!」


 映姫の声が割って入った。


「試合はそこまで、星熊勇儀の勝利です。レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット、貴方たちもそこまでです」


 パチュリーをかばうように勇儀の前に立ち塞がった二人に、映姫は静かに告げる。


「そいつ強かったよ。後で礼言っといてくれ」


 それだけ言うと、勇儀は二人に背を向ける。


「次の試合、覚悟してなさい」


 レミリアのその言葉に、勇儀は片手を上げるだけだった。





「……圧倒的ね」


「やっぱ姐さんだったか」


「さて、私は今日は帰るわね」


 勇儀の試合が終わった途端にパルスィが立ち上がる。


「後の試合は見ていかないのか?」


「ヤマメ達を連れてかなきゃいけないし」


 言うだけ言うと、パルスィはさっさと行ってしまった。


「……!」


 勇儀が、闘技場を出る瞬間にこちらを見た気がした。

 あの時のこと、まだ根に持ってるらしい。強さを見せつけるため、なのだろうか。いや、たぶん単純に楽しみたかっただけだろう。

 今日はまだあと一試合ある。

 次の勝者は、一体どっちだろうな?

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