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白ウサギのVRMMO世界旅  作者:
【第三章】白ウサギと水の都
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71.新たな大陸へ

 眩しい太陽が、絶え間なく水面に降り注ぐ。


 宝石のような輝きを放つ周囲の中を、優雅に客船は進んでいく。


 乗客は俺とシェリーさんとカズさんだけ。


 建物の中に入っても、他にプレイヤーは存在しなかった。どうやら別のサーバーに飛ばされたらしい。


 何だか自分たちだけが占領しているみたいで、優越感が込み上がってくるような……嫌なやつだなぁ。


「ところでよ、ゼン」


 甲板で、俺を指差すカズさん。


「……お前、やっぱり女じゃねえの?」


 む、失礼なっ!


 ……なんて言えるはずがない。だって俺は今、女子学生の制服を身に付けているんだもの。


「しかし可愛いですね……これは嫉妬しちゃいます」


 シェリーさんがジト目で睨んでくる。


 そ、そんなこと言われても……。


「ふ、服が濡れちゃったから代用してるだけです!」

「いや、まず何でそんな服持ってんだよ?」

「これは知り合いの裁縫ギルドの人たちに無理やりトレードを申し込まれて……」

「そうでしたか。でも、服はポーチに戻せばすぐに水気や汚れはなくなる仕組みですよね?」

「…………」


「「女の子」」


「し、知らなかっただけです!」


 本当にその情報は初めて知ったんです!


「まぁ、ゼンいじりはその辺にしといて……」


 カズさんが言いながら、進行方向を見た。


「ゼン、お前はこの後どうすんだ?」

「この後は……そうですね、次の街を観光して、また旅を続ける予定です」

「なるほど。そうなると……お別れですね」

「俺たちはギルドに顔出さなきゃだからなぁ」


 ギルド、か。

 最近、その名前をよく聞いてる気がする。


「そうだ、せっかくだしフレンド登録しようぜ。何つーかお前とは長い付き合いになりそうな気がするんだよな。よく分かんねーけど。それに楽しいことが起きる気がするんだ。よく分かんねーけどさ」

「何とも曖昧ですね。……あ、それじゃ私も」


 二人とフレンド登録を交わす。


 結構増えてきたなぁ。んふー、嬉しい。


「……あ、見えてきましたね」


 風で揺れる髪を押さえながら、シェリーさんが告げてくる。


 見れば前方に、石の壁が天高く聳え立っていた。


 外壁はウォーデルよりも高く作られていて、この位置からだと中の様子は全く見えない。


 ただ壁の中に一つ門が海の上に設けられており、あの場所から街の中に向かうのだろう。


 どんな景色が待ち構えているのかな……!


「っと」


 俺はそこまで考えて、走り出した。


 不思議そうな顔を作る二人を置いて向かった先は、客船の後部デッキ。


 そこから目を凝らして見ても、もう水の都市は存在しなかった。果てしない大海原が広がっている。


「……ありがとう、楽しかった」


 そんな呟きに、当然ながら答える者はいない。


 ただ一瞬、一際強く水面が輝いた、そんな気がした。


これにて、第三章は終了となります!

第四章に関しましては大変申し訳ございませんが、また時間を置いてからの更新となります。

……あ、ごめんなさい。明日にもう一話だけ更新します!


ここまでご覧いただきありがとうございました。

それではまた!

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