吹き替えと字幕
最近思い立って「ダウンタウン物語」というDVDを久しぶりに鑑賞した。
「ダウンタウン~」といったって、浜田雅功と松本人志が出るDVDじゃないぞ。原題を「Bugsy Malone」という1976年製作の、イギリス映画だ。
舞台は1930年代の、アメリカのダウンタウンを舞台にした暗黒街映画だ。
しかし出演する俳優は、すべて13才前後の子供ばかり。30年代のギャングの抗争を描いているんだが、出演するのが子供なので血なまぐさい場面は、すべてパイ投げになって、車も足漕ぎのものだ。その気になればYouTubeなどにアップされているので、検索してほしい。
で、何が言いたいかというと、この映画、ミュージカルなのだ。
それで字幕。吹き替えはない。
まあミュージカル映画だから当然だし、DVDリリースもかなり以前なのでないのも当然だ。
この映画、どちらかというと当時14才のジュディ・フォスターが出演したことで有名になっている。
字幕だから、出演した子役たちのセリフは当然、原音で聞くことが出来る。するとまあ、出演した子役たちの演技の達者なこと!
イタリア系、アイリッシュ、ユダヤ系など多彩な人種が混在(もちろん黒人もいるよ)するダウンタウンという設定なので、出演する子役たちがそれっぽい訛りのセリフをしゃべる。イタリア訛りとか、アイリッシュ訛りとか。これが上手いんだ!
こういう演技、吹き替えじゃ判らんよなあ。
というわけで皆さんは映画を観るとき、吹き替え派、それとも字幕派?
ミュージカル映画はやっぱり、字幕だよなあ。たまに吹き替え版があるミュージカル映画があるが、やはり違和感がある。
しかし吹き替えの方がいいのもある。
たとえば「ダーティハリー」シリーズ。クリント・イーストウッドは山田康夫の吹き替えで聞きたいよ。
前にも書いたが「ヤング・フランケンシュタイン」の広川太一郎の吹き替えは、原語版を完全に超えている。昔リリースしたDVDが、ブルーレイで再販されるとき、吹き替えを収録することがあるが、そんなとき吹き替え声優のうまさを堪能できるから嬉しいね。
この前、鬼籍に入った永井一郎。じつは「東八番街の奇跡」という映画で老夫婦の役で吹き替えているが、これがうまい!
奥さんがボケて、長年経営してきた店が立ち退きを強制されている絶望的な状況で「ああ神様、どうかお助けを」と呟くのだが、ここら辺の演技が凄みすら感じる。「サザエさん」だけじゃ、判らない演技だよな。
ただ「この吹き替えどうかなあ?」という作品もある。
「ロボッツ」というアニメで、草彅剛が主人公を吹き替えていた。それでなぜ主役に抜擢したかというと、主人公のロボットの顔に似ていたから、という理由だって!
そりゃないよ。
草薙は下手じゃないが、なんか鼻詰まりのような声なんだよな。実写だと気にならないんだろうが、吹き替えだと顔が見えないからモロに鼻詰まり声が強調される。
意外とうまいのがお笑い芸人。やっぱり、普段から喋りで勝負しているから、こういった吹き替えでも腕を見せてくれる。
さて、これから吹き替え声優として、我々にうまさを披露してくれる声優は誰でしょう?




