表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/228

失われた未来

 今回は「トゥモロー・ランド」について一文をものしたい。

 というのは、これを書いている数日前がマーティがデロリアンで過去から、未来へやってきた日時だからだ。

 いうまでもなく「バック・トゥ・ザ・フューチャー」である。あの映画で、主人公のマーティは、ドク・ブラウンのタイムマシンで、1985年から、2015年にタイム・トラベルしたのだった。

 つまり今年だ。

 映画の中で描かれた2015年と、現実の2015年。

 反重力で浮かぶ車、ボード、ホログラムで登場するジョーズ、様々な未来の技術は、いまだに実現できていない。

 未来を予言するのはリスクがともなう。

 どんなに精密に予測したところで、たいていそれは外れるものだ。

 外れた未来は、どこにあるのだろう?

「トゥモロー・ランド」を観たあと、そんなこと考えた。


 以下、少々のネタバレあるので、未見のかたはご注意を!


 映画で、トゥモロー・ランドという理想の世界は、異次元のようなところに存在するらしい。

 主人公のケイシーは、触れたバッジを通じ、トゥモロー・ランドを体験する。

 この場面が素晴らしい。多分、この映画のハイライトだ。

 それとアテナという少女。

 ノーマン・ロックウェルが描く、1950年代の絵画から飛び出してきたような雰囲気を持っている。アテナという名前は、あきらかにギリシャ神話の、女神アテナからとられていると思う。女神アテナは知恵と、戦いの神で、映画の中の彼女の活躍は、まさにそのふたつを象徴している.

ケイシーはアンドロイドに襲われ、アテナに尋ねる。

「あれはロボット?」

「いいえ、AAよ」

「AA?」

「オーディオ・アニマトロニクス」と、アテナは答える。

 これはディズニー・ランドのアトラクションのひとつで、歴史上の人物が、観客に向かっていろいろ、自分のことなどを語りかけるという趣向だ。登場するのは、ロボットで、ディズニー・ランドではこのシステムをオーディオ・アニマトロニクスと主張している。ロボットではない、というわけだ。なぜアニマトロニクスというのか。それはアニメーションの一種だからという。

 トゥモロー・ランドのデザインは、昔懐かしい曲線と、立ち並ぶ尖塔で、小松崎茂の描く未来都市そのものだ。いや、むしろ大阪万博のパビリオンか?]

映画にはディズニー・ランド、万博のシンボルが、いくつも登場する。映画冒頭の場面が、ニューヨーク万博だし(あれ、シカゴだった?)後半にはパリ万博のシンボルである、エッフェル塔が出てくる。

 映画全体を通じ、通低音としてかつて想像された未来の残景がいくつも出てくる。

 ケイシーがバッジの謎を探るため、レトロ・ショップに立ち寄るが、その内部は無数の、SF映画のブロップであふれている。

 映画のテーマとして「未来に希望をもとう!」というメッセージがあるのだが、ぼくには失われた未来に対する鎮魂歌のように思えた。

 ぼくらの夢見た二十一世紀は、どこへいったのだろう?

 2001年には木星へ有人飛行が、鉄腕アトムが誕生し、月面にはすでに都市が築かれ、小学生の卒業旅行先になっているはずだった。

 ぼくはいま花沢健吾の処女作「ルサンチマン」に描かれたような、仮想現実装置が普及することを熱望している。現実には不可能なことも、仮想現実なら達成できる。あのマンガで描かれたような仮想現実装置なら、いまのテクノロジーでもじゅうぶん、可能だ。スマホをヘッド・マウント・ディスプレイにするアプリなど、希望もある。

 未来はもしかしたら、そういうところにあるのかもしれないな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ