赤木しげるについての考察
今回はあまり空想科学とは関係ないか?
というのも、もうすぐ二十年近い連載に終止符を打つ「アカギ」というマンガについて考察しようと思ったからだ。
「アカギ」って読んだことある?
「近代麻雀」連載の麻雀マンガだ。
主人公の名前が「赤木しげる」。だからマンガのタイトルが「アカギ」。作者は福本伸行。この作者、たいてい作中の主人公の名前をタイトルにつけている。「カイジ」もそう「天」もそう。工夫がないといえばないが、主人公が強烈なキャラなのでかえってよかったりする。
アカギという主人公、とにかく型破りで自分の命など他人のように眺め、対戦相手からは「死にたがり」「悪魔」などと恐れられている。
初登場は作中で1958年(昭和三十三年)の時代、その時アカギは十三才という設定だった。つまりアカギの生年は1945年ということになる。
1945年?
おいおい、それは太平洋戦争終戦の年だぞ。
このことから、ある強烈な想像が湧きあがってくる。
先にも書いたがアカギという主人公、ともかく虚無的で、無欲でその死生観は普通とはいいがたい。
なにしろ「いつ死んでも構わない」と公言し、その行動はある意味ハチャメチャだ。他人とのかかわりあいを徹底的に拒否し、おっそろしく無軌道でもある。
なんでこんな性格になったのか?
で、生年が終戦の年ということが引っかかってくる。
もしかしたらアカギは戦災孤児なのではないか?
戦災孤児、なんて言葉、もしかしたら死語なのかもしれないから一応説明しておく。
連合国との戦争に敗れた日本。終戦の直前、東京や神戸など大都市はアメリカ軍による空襲により、徹底的に破壊された。その時、多くの民間人が被災し、たくさんの人が亡くなった。当然、親を亡くした子供も大量に発生した。それが戦災孤児だ。
アカギは戦災孤児なのかもしれない。
それにもう一つ、気になることが。
マンガではアカギの風貌で特徴的なのは、真っ白な頭髪だ。
アカギの頭髪は、白く描かれている。
普通、こういう表現は白いということではなく、明るい髪色を表現するときも採用される。たとえば金髪の登場人物は、髪の色をマンガでは白っぽく描かれる。
が、本当に白い頭髪だったらどうか?
一つ考えられるのは、アカギは肌の色素が薄い「アルビノ(白子)」ではないか、ということだ。
遺伝子の異常でアルビノは時々現れる。白い蛇や、カエル、有名なのは白いライオンなど。人間でも時々、アルビノの赤ん坊は生まれることがある。
今はそんなことはないが、昔はアルビノの子供は日本では差別されていた。
戦災孤児でしかもアルビノ。
こんな特徴を持つアカギが、子供のころからどんな差別を受けていたか、想像するに戦慄すら感じる。
さらにもう一つ、想像をたくましくすれば、アカギは純粋な日本人ではなかったのかもしれない。
終戦の年、日本は連合国の支配を受けアメリカ軍が東京をはじめ大都市に進駐してきた。
その時、日本人の娼婦がアメリカ軍兵士と接触し、多くの私生児が生まれている。
アメリカ人との私生児。
嫌な言葉だが当時「混血児」という言葉で呼ばれた。
今は「ハーフ」という言葉になっているが、当時、外国人の血が混じった子供は差別された。
まあ終戦の年にアメリカ軍兵士とそんなことになっても、産まれるのは翌年だから年齢は合わなくなるが、あるいは神戸などではドイツ人が生活していたから、アカギの親はそのドイツ人という可能性もある。それに本当の生年は46年でも、アカギの自己申告であるからサバを読んだのかもしれない。
というのが、ぼくのアカギについての考察である。




