人形劇でSFを
前回、萩尾望都作「11人いる!」原作のNHKドラマを見て……という話を書いたが、えーと、これを読んでいる読者のなかで、このマンガを読んだことない、という人はいないよね?
読んでいないという人、手を挙げて下さーい!
あれ?
結構いそうだな。
んじゃ、まずはこの作品のあらすじなど。
おっと、念のため、このタイトルでネット検索してみると……。
なぬっ!
ぬあーんと、すでにアニメ化されているじゃあ、ないですか!
し、知らなかった……。
で、でも、ぼくが考えた「人形劇でSFを」という主旨は変わらないので、このまま書いていこう。
まずはあらすじから。
はるか未来、宇宙大学入学試験のため、十人の受験生が集められる。試験の内容は、宇宙船内に五十三日間、過ごすこと。この間、協調性や、問題解決能力をはかられる。
しかし実際に集められた生徒は、十一人いた!
余計な人物はだれか?
また何が目的か?
受験生の疑心暗鬼のなか、次々と問題が発生して……。
というストーリー。
もっと詳しく知りたい人は、実際に原作を読むか、wikiなどで検索してみてください。
とにかく、実写のドラマを見て、ぼくは顔から火を噴くような感覚に襲われた。
は……はずかす~~い!
登場人物はすべて日本人、それが未来の人間を演じるため、頭にはカラーの鬘をかぶり、こってりとしたメイクを施している。想像してくださいよ。どう見ても日本人の役者が「フロル!」「タダ!」とカタカナ名前の役名を呼び合うんですぞ!
まあ、アニメならそんな問題はないけどね。
でも、問題はそんなことじゃない!
だいたい、日本で、SF原作の映像作品がどのくらい公開されているか、考えたことないですか?
これを読んでいるあなた、いくらでもあるじゃないか! と反論したいでしょう?
うんうん、わかる。
テレビでは毎週、巨大ロボットや、仮面をかぶった怪人のSF作品が放映されている。アニメで、特撮で、数えきれないくらい。
違~~う!
ぼくが主張したいのは、ガッチガチのSF原作による、映像作品だ!
ほんとに数えるほどだ。
せいぜい「さよならジュピター」「大江戸神仙伝」「戦国自衛隊」「首都消失」くらいか……。
もっとあるかも知れないけど、いまのところすぐ思い出せるのは、このくらいだ。
ましてや海外SF作品の映像化など、日本では夢のまた夢。あっ、テレビ作品で「スター・ウルフ」「キャプテン・フューチャー」「レンズマン」があった!
以前、ぼくは日本で海外のSFを映像化するためには、アニメ以外にない、と思っていた。
アニメなら外国人の設定だろうが、壮大な未来都市だろうが、いくらでも映像化できる。
でもアニメでも、やっぱり制作資金はかかるんだよなあ。そりゃ実写の、特撮で、にくらべりゃ安くあがるけどさ。それでも資金を回収するには、絶対受ける! ヒットする、という確信がなければ、だれも金を出さない。当然、原作はライトノベルか、マンガになる。ライトノベルや漫画原作を否定するわけじゃない。でも、たまにはアーサー・C・クラークとか、アイザック・アシモフとか、ハインラインとか、SFのビッグ・ネームの原作の映像化とかしてほしい。
ハリウッドでも中々できないのに、ましてや日本映画界じゃ、絶望的だ。いまじゃハリウッドでも、SF原作といえば、フィッリプ・K・ディックばかりだ。そりゃディックはいいSF作家だよ。でも、なんでディックばっかりなんだ?
そんななか、人形劇なら安くできるんじゃないか? と、ふと思った。
ぼくは人形劇のことは何も知らない。この小文を読んでいる中に、本職の人形劇団の人がいれば「何を馬鹿なことを」を怒っているかもしれない。
でもNHKのテレビで放映されている人形劇での、エンド・ロールで、スタッフの人数とか、あきらかにアニメにくらべ、少ない。スタッフの数が少なければ、予算も少なくてすむのじゃないか?
人形劇なら、スタジオ費用とか、セットの費用とか、実写にくらべ格段に安上がりだ。
なにしろ、人形劇だ。
その気になれば、素人だって、できそうだ。
人形アニメのことじゃないぞ。ありゃ、素人には無理。う~ん、無理じゃないけど、ものすごい手間がかかる。ぼくのいうのは、糸あやつりとか、棒あやつりとか、ギニョール(指人形のこと)とかなら、素人でも手が出る。特に指人形なら、作成も楽だろう。
人形劇は子供の見るもの、という固定観念があるが、いやいや、日本には昔から文楽人形という伝統があるじゃないか。きちんとしたシナリオと、演出があれば、人形劇だって、大人の鑑賞に堪える作品だって夢じゃない。
誰か「よしやってみよう!」というもの好きはいないだろうか?
もし実現のはこびになったら、ぼくにシナリオ書かせてください。
無理かなあ……。