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恐怖の方程式

 衛星軌道に浮かぶ監視衛星。カメラは地上を狙っている。その映像が地上の軍事施設に送られる。軍事施設のディスプレイには、監視衛星が狙っている地上の俯瞰映像が映し出されていた。広がる芝生にベンチが点在していて、人々がまばらにくつろいでいる。どうやら公園のようだ。

 不意に画面がズームし、公園のベンチで座る男の顔を映し出した。顔認証プログラムが即座に、監視する人物のプロフィールを表示する。

 国際指名手配のテロリストだ!


 なーんて場面、映画でよく見るよね。

 でもこんなこと、不可能だ。

 何しろ大気圏という厚い空気の層が、地上の映像をぼやけさせてしまう。

 解像度だけでいえば、地上の煙草の銘柄すら判読できるというスパイ衛星のレンズだが、大気に邪魔されてしまうから煙草の銘柄はおろか、人間の顔すら判読できない。

 せいぜい一メートル単位くらいしか解像度は上げられない……と思っていた。


 が、ある数式がこの常識をくつがえそうとしている。

 その数式の名は「スパースモデリング」!

 スパース、というのは「スカスカ」という意味で、わずかな映像の断片から、鮮明な映像を再構成する数式なんだそうだ。

 この数式の存在を知ったのはNHKの「サイエンスZERO」という番組だった。

 この番組で数式を使って天文学や、医学、災害対策などにどう役立てているか、紹介していた。

 番組のホームページから、この数式について紹介している文章をコピペしてみよう。


 今話題の情報処理技術・スパースモデリング。スパースとは「すかすか」、「少ない」を意味し、少ない情報から全体像を的確にあぶり出すという、まるで名探偵のような数式だ。MRIの撮影時間を3分の1に短縮し、過去の津波到達範囲の判別につながる方法を開発。さらにはブラックホールの正体にも迫ろうとしている。複雑な事がらをスパース(すかすか)にすることで本質を浮かび上がらせるという魔法の数式に迫る。


 ということだって!

 少ない情報から鮮明な映像を構成する。

 これ、軍事技術に応用したら、監視衛星の映像を鮮明化できるってことじゃないか?

 番組では天文学、医学、災害予測などに焦点をしぼっていたが、軍事技術には言及していなかった。

 でも絶対、軍事の方ではこの数式に注目しているはずだ。

 まあ、そんなこと公にするわけないけどね。

 この技術を応用すると、冒頭に書いたような出来事が現実のものになっているかもしれない。

 スパイ衛星が地球をくまなく走査し、本当に車のナンバーすら特定してあらゆるプライバシーが暴かれている……そんなことが起きている可能性だってある。

 ほら、あなたの頭上にどこかの衛星が?

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