映画の中の日本人
映画の中で描かれた日本人、ってタイトルだけど、ぼくはそう、映画史について詳しくはないんだなあ。
まあ、知っている限りについて、書いていくけど、あまり「それ間違い!」なんて、つっこまないで!
まずは思いつくのは、テレビドラマで「グリーン・ホーネット」と「スター・トレック」。「グリーン~」のほうは、テレビドラマでは、カトー役をブルース・リーが演じていた。
あのブルース・リーですぜ!
で、どうやらアメリカでもカトー役は日本人、という設定だそうで、テレビドラマではかなり古い部類に入るんじゃないだろうか。そりゃ、アメリカのテレビドラマはいくつもあるから、探せばほかに、登場する日本人役はいるかもしれない。
「スター・トレック」は、日本での放映時は「宇宙大作戦」というタイトルで、ナビゲーターの役で、ヒカル・スールーという役を演じたのが、ジョージ・タケイ。日系二世の役者さんで、太平洋戦争当時は、アメリカで敵国人としての扱いを受け、日系人収容所に入っていたという経験を持つ。
日本人とフィリピン人とのハーフ、という設定で、日本放映時では「カトー」という名前で呼ばれていた。ま、スールーという苗字が当時、違和感があったからだろう。それに欧米の映画で、日本人が脇役で登場すると、当時の吹き替えでは全部「カトー」で済ませていた。
この辺が、まともな日本人として扱われたテレビドラマ・シリーズだろう。
たいてい五十年代、六十年代……いや、七十年代にはいっても、東洋人が登場すると、たいてい不気味な悪役が、間抜けな役柄になっていた。ごく普通の、常識的な人間として描かれることは、めったになかった。
未見だが「戦場にかける橋」とか「太平洋の地獄」とか太平洋戦争を主題にした映画では、敵国人として時折登場する。
七十年代にはいると「ダーティ・ハリー」シリーズに、主人公のハリーの相棒で、日系人の刑事が登場するエピソードがあったと記憶する。
で、八十年代にはいると、とんでもない映画が登場する!
「バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー」!
なんだ、そのタイトル? と思われた方は正しい。
ほんとうにふざけた映画で、でも、ぼくは大好きだ!
主人公のバカルー・バンザイはアメリカ人だが、母親が日本人で、天才的な脳外科医と同時に、物理学者でもある。さらに「香港騎士団」というロック・バンドのボーカリストでもあるのだ。
主演はピーター・ウェラー。そう「ロボコップ」のあの役者だ!
面白そうでしょう?
とにかく真面目にコメディを作っているのが好感を持てる。コメディってのは、真面目に作らないと、ダサいよね。
さらに「ガン・ホー」という映画が登場した。
主演はマイケル・キートン。
どういう話かというと、アメリカの田舎に、日本企業が進出、工場を誘致する。
さあ職場が確保される、ってんで田舎町はにわかに活気づく。
けれど、進出した日本企業と、田舎町のあいだに齟齬ができて、いろいろとトラブルが頻発。それでもなんとかしようとして悪戦苦闘するのが、マイケル・キートン。
結構、感動的な結末をむかえるんだが、なにしろ遠い昔に観た記憶なんで、あいまいだ。もしビデオを見つけたなら、一見してほしい。
で、九十年代。
うーん、この映画はあまり紹介したくないのだ。
なぜって、そうとうアメリカ人の、日本に対する悪意がにじんでいる映画だから。
その映画のタイトルは「ハーレー・ダビッドソン&マルボロマン」。
主演はミッキー・ローク。
まだミッキー・ロークが、顔が崩れていない、アイドル・スターだったころの映画です。
映画の開始冒頭から、日本に対する悪意がみちみちている。
登場した二人の主役が、バイクに火をつけ、燃やしてしまう。
この燃やされたバイクが、カワサキのバイクで、これだけでも日本に対する嫌悪感を感じてしまう。
次のカットで、いきなりジョン・ウエインの銅像が登場する。
つまりは「アメリカ万歳!」という映画。
当時、日本はバブル真っ最中で、次々と日本企業がアメリカ企業を買収していて、ソニーが映画会社のコロンビアを買収したのも、このころじゃないかなあ。
で、日本企業に雇われているアメリカ人が、悪役として登場する。
あやしげな日本語を駆使し、日本企業にへいこらする姿が、じつにいやらしく描かれている。
こういう映画を観たから、いまさら世界中が「日本すごい!」とか「日本大好き!」なんて言われても、もひとつピンとこないんだなあ。




