誰か教えて!
SF小説を読んでいると、ちょいちょい疑問がわいてくる。
そんな時、疑問を解決しようと思って、ネットで調べるのだが、結局解決できないまま、モヤモヤが残ってしまうことがよくある。
で、今回はこの稿を読んでいる誰か、知っていたら教えてほしいことを書く。
まずはアシモフの「銀河帝国の興亡」から。
一巻目の「市長」から、主人公のハーディン市長が、クライマックスで語る寓話の出典がわからない。これ、イソップ童話だろうか? しかしイソップの時代にはない道具が登場するので、違うかもしれない。
短い文章なので、全文紹介する。
狼は強力で危険な敵なので、馬はいつも生命の危険におびえて暮らしていた。絶望に追い詰められた馬は、ふと強い味方を見つけることを思いついた。そこで馬は人間に近づき、狼が同じように人間の敵であることを指摘して、同盟を申し込んだ。人間はすぐさま協力することを承諾し、この新しい相棒が、人間より早い速力を人間の思うように使わせてくれるなら、狼をすぐに退治してやるといった。馬は喜んで人間が手綱や鞍をつけるにまかせた。人間は馬にまたがり、狼を狩り立て、まんまと殺した。
馬は大喜びでほっとした。そこで人間にお礼をいってこういった。「もうわたしたちの敵も死んだので、手綱や鞍をはずして、わたしを自由にしてください」
それを聞くと、人間は呵々大笑して答えた。「ばかも休み休みいえ、このうすのろの駄馬め」そして、いそいそと拍車までとりつけてしまった。
創元推理文庫「銀河帝国の興亡1」翻訳 厚木淳
もしかしたら、アシモフのオリジナルかもしれない。
つぎはラリイ・ニーヴンの「リング・ワールド」より。
ネタバレありますので、ご注意を!
ルイス・ウー率いるリング・ワールド探検隊が、依頼主のパペッティア人の惑星に到着すると、そこは五つの惑星が亜光速で銀河の中心から遠ざかる最中の真っただ中だった。
五つの惑星が作り出す光景にルイスは叫ぶ。
「ケンプラーの薔薇飾り!」
どうやら五つの惑星が作り出すラグランジュ点をさしているらしいのだが、訳者もこの出典についてはわからなかったと後書きで書いている。
ケンプラーって、そういう名前の科学者がいるのか?
で、このリング・ワールド。ものすごい巨大な構造物で、地球の太陽系でいえば、金星ほどの軌道を取り囲むリング状の構造体で、なんとその面積は地球の三百万倍!
だが力学的に不安定で、なにも対処しないと、いずれ回転軸がずれ、中心の太陽に接近して、最終的にはばらばらに崩壊してしまうという。
その解決策として二作目の「リング・ワールド再び」では、リングの縁に、ずらりとバサード式ラム・ジェットを装着して、中心がずれた場合、ジェットを噴射して、元に戻すというシステムになっている。
なんとも壮大な設定だが、リング・ワールドについては剛体にしないで、いくつものモジュールに分割して間を伸び縮み可能なジョイントでつなぎ、中心がずれた場合、全体を変形させて重心を変化させる、という解決策がネットに掲載されていた。
でも、そんな複雑なシステムにしないで、長大なケーブルを外側に伸ばし、そこから錘を接続する方法はどうだろう? あるいはケーブル自体の重さが、錘になるかもしれないけど。
そうすれば重心が動くから、中心軸を修正することは簡単なことのように思える。
この方法、だれか評価してもらえないだろうか?




