映像化してほしいSF(国内編)
あなたにはお気に入りのSF小説があるか?
面白い小説を読んで、これが映像になったならなあ、と夢想したことはないか?
ぼくはいつも、面白かった小説は、この場面はこんなセットで、この登場人物はあの役者で、と想像して楽しんでいる。そんな妄想をここでは書いている。
映像化してほしいSF原作。
今回は国内編だ!
まずは日本SFの巨匠、小松左京(敬称略)の「日本アパッチ族」。
大阪の一角で、政府に見放された現代でいえばホームレスの一部で、鉄を食う人間が生まれる。文字通り「鉄」を「食う」のだ!
鉄を食う人々の体は変化し、神経や皮膚が鉄の分子に置き換わり「鉄人」化し、彼らは自分たちを「アパッチ族」と自称し始める。かれらアパッチ族は日本国に対し宣戦布告し、大暴れする。
こう書くとこの小説の面白さは伝えられないが、文中の大阪弁がなんともいえない味を出していて、これ大阪の芸人が演じれば、結構面白いんじゃないかなあ、と思う。
次は筒井康隆の「馬の首風雲録」。
オリオン座にある、馬頭星雲の中にある惑星には、首から上が犬そっくりな知的生命が棲んでいた。この惑星におきた戦争を舞台に、筒井康隆らしいスラップスティックな戦争描写が痛快。戦争のありとあらゆる側面を書いたとは、筆者の弁。全くその通りで、戦争の悲劇的な側面、喜劇的な側面を書ききっている。筒井康隆の小説はかなり映像化されているが「時をかける少女」以外、あまり感心できないできになっているのは、演出があまりに喜劇的な部分を拡大しているからじゃないか、と思う。
コメディは演出が面白がってはだめで、むしろ職人的な監督の手腕が求められる。
三本目は石川英輔の「SF水滸伝」。
中国古典のSF解釈で、地球から遠く離れた天球星では、強力な中央集権制のもと、役人天国となっていた。ここに水滸伝と同じ名前の英雄が出現、天球星政府を転覆させる。原作の「水滸伝」からは、登場人物の名前のみで、エピソードはほとんど使われていない。同じ作者による「SF西遊記」「SF三国志」が、原作のエピソードを再現しているが、この「SF水滸伝」は独自の解釈による作品となっている。
まだまだ続くぞ、次は半村良の「魔境殺神事件」。
ヨーロッパの学会に参加するはずだった主人公は、突然軍隊によって拉致され、中央アジアのアフガニスタン、パキスタン国境地帯へ連れられる。ここでは地域ごとに「神」が存在し、その「神」の一人が殺されたのだ。主人公松田は、超能力を使って、この「殺神事件」を解決する。主人公以外、ほとんどの登場人物が外国人なのがネックか?
もう一本! 光瀬龍の「時間局」シリーズ。
新宿の骨董屋が、タイム・パトロールの支局となっていて、ここを拠点に、過去の時代に潜入しようとする「時間密航者」を追跡する、という内容。これ、ありものの時代劇のセットを使って、撮影できるんじゃないかと想像している。ただし、時代劇なのに、内容はSFというのが、受けるかどうかは、未知数。
最後に山田正紀の「崑崙遊撃隊」。
日中戦争のさなか、軍隊を脱走した主人公は、軍の命令で、中国奥地にある、といわれる「崑崙国」への潜入を命じられる。伝説の崑崙国は、地下に存在する「神」が眠る間に夢見る幻の国だった! 同じ作者の「ツングースカ特命隊」もおすすめ。意識的に作者は、コナン・ドイルや、H・R・ハガードの秘教冒険小説を再現しようとしているようだ。
本当はもっともっと書きたいんだが、書ききれない。
ま、いずれ「あ、これ書いとくんだった!」というのが思い出せたら、ちょこちょこ書いておこう。
それでは国内編はこれまでにして、次回は海外SF小説で書いてみるぞ!
乞うご期待!