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電子の夢

 さあ、映画の話をするぞ!

 ワクワク!

 あなたには、お気に入りの映画があるか?

 これ一本、選べと言われたら、ぼくは「トロン」と答える。

 見たことあるかな?

 この作品は、世界最初の、CG(あのーコンピュータ・グラフィックのことです。カー・グラフィックではありません)が本格的に使用された映画として知られている。

 映画史的には、ただそれだけ。たいてい、それ以上の評価はされていない。

 でも、この作品、結構マニア的な人気がある。

 ためしに動画サイトで「トロン」または「TRON」で検索してごらん。びっくりするくらい、様々な動画がアップされているから。素人が「トロン」の登場人物と同じコスチュームで登場したり、CGで作中のシーンを再現したり、まあみなさん、熱心に投稿なさっております。


 それじゃ簡単なストーリーを紹介します。


 プログラマーのフリンは、エンコム社で働きながら、ひそかにゲーム・プログラムを開発、独立を狙っていた。が、ゲームの権利を奪われ、退社してしまう。

 諦めきれないフリンは、エンコム社のシステムに自分の権利を証明する記録が残されていると確信、ハッキングを繰り返す。

 このハッキングに、エンコム社は対抗策としてシステムの閉鎖を決断する。

 フリンは仲間のアラン、ローラと一緒にエンコム社に侵入、社の端末を使ってシステムにハッキングを果たす。

 が、システムを管理するMPCは、フリンを電子の世界へ吸収してしまう。電子の世界に囚われたフリンは、電子の世界で驚くべき冒険を繰り広げる。


 この映画の設定として、電子の世界ではプログラムには人格があり、人間の世界と同じように生きて、活動しているということがある。しかもプログラムを書き込んだユーザーと同じ顔かたちをしていて、たとえばアランがプログラムした「トロン」というプログラムは、アランそっくりの顔をしている。

 ひとつ説明すると、この映画が制作されたころは、市販のパッケージ・ソフトなんてものはなかった。ユーザーは、各自が必要なソフトを自分でプログラムするのが当たり前だった。

 もちろんインターネットなんてのも、ない。

 電子の世界で主人公フリンは、仲間のアラン、ローラそっくりのプログラムと出会う。フリンがエンコム社を退社するきっかけとなったデリンジャーとそっくりなプログラムも存在する。

 これ「オズの魔法使い」に似ていませんか? そう、あの有名なミュージカル映画のことです。あの映画では、主人公のドロシーを助けるライオン、案山子、ブリキ男は、現実世界で同じ役者が演じている。

 さて、なぜぼくがこの映画を好きなのか。

 フリンはアランの恋人、ローラと、以前付き合っていた。別れた今でも、フリンはローラに未練たっぷり。

 電子の世界でフリンは、ローラそっくりのヨーリというプログラムと出会う。

 ときめくフリンだったが、どうやらこの世界でもヨーリは、アランのプログラムしたトロンと恋仲のようだ。

 平然として見せるフリンだったが、物語の終盤、ヨーリが分解されそうになって、突然キスをしてしまう。

 ユーザーとしての能力で、分解しそうになったヨーリは甦る。

 驚くヨーリを後に残し、フリンは一大決心とともに、電子の世界を救うべく、ある決断をする。

 結果、フリンは電子世界を正常なものにし、現実世界へ帰還し、権利を取り戻し、エンコム社のあらたな代表として復帰する。


 わかりますか?

 確かにフリンは現実世界で成功者の地位に上り詰めます。

 が、ローラへの愛はかなわないまま。

 本当にフリンにとって、現実世界での成功は甘い果実だったのか?

 観賞後、かすかな苦みを感じる一本なのだ。

 もっとも、このわずかなセンチメンタリズムは、監督の意図したものではないだろう。多分にシナリオ構成上の必然として、挿入されたものだろう。

 ぼくがこの映画を好むのも、そんな監督の意図しないところにあるのかも、しれない。

 この映画、マニアックな人気があるようで、アメリカのSFコンベンションでは、続編の希望がやまなかったようだ。その熱意をうけ、数年前に「トロン・レガシー」として正式な続編が公開された。

 えー、なんとも評価にこまる映画だ。

 悪くはないんだけど、やっぱり、ねえ……。

 もともとファンタジー映画だったモトネタを、無理やりSFにしちゃったから、どうにも中途半端な仕上がりになってしまっている。

 ま、それはそれ、これはこれ。

 今回はぼくの好きな一本、ということで。

 次回は映像化してほしい、SFの原作なんてのは、どうかな?

 あなたにはこの原作を映像化してほしい、なんてのはあるか?

 もちろんマンガ、ライトノベルのような、すでにある程度、原画が存在するようなものは除くけど。

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