リメイク予想
想像してほしい。
ある日の夕方、あなたはレストランで食事をしている。
と、そこへ流れる音楽。
♬ ハッピーバースデー、ツー、ユー!
おや、だれかの誕生日かな?
隣のテーブルでは、家族か、あるいは気の合った仲間同士らしきグループで、食事会をしていて、盛り上がったその場で、話題の的らしき人物が、ちょっと気恥しそうな、それでも嬉しそうな笑顔でいる。
そこへ!
だしぬけに、一人の女性がつかつかと歩み寄ると、ハッピーバースデーの曲に合わせ、堂々と歌を披露しているではないか。
ああ、レストランと契約している歌手かなにかが、サービスで歌っているのか……と、あなたは思うだろう。
しかしどうも、そうではなさそうだ。
これは映画「ダンス・ウィズ・ミー」の一幕である。
これを読んでいる中で、見たことある人、誰かいる?
いやいやいや、結構、楽しめました。
邦画のコメディ、舐めていました。
これ、絶対、ハリウッド・リメイクされるでしょうね。
何しろ、題材がミュージカルだし、本場のハリウッドが黙っちゃいられないでしょう。
試しに検索してみると、相当の数のリメイクのオファーがきているようだ。
それでもし、ハリウッドでリメイクされるとなると、どんな映画になるか予想してみよう!
基本的なアイディアはそのままだろう。
つまり催眠術にかかった主人公が、音楽を耳にすると、歌いたくなる、踊りたくなるという、ミュージカル・スター体質に変わってしまう。
だから街中でも、どこでも、音楽を聴いた瞬間、身体が勝手に踊り出し、ミュージカルの一場面を演じている気分になってしまう。
でも周囲はポカーン。
主人公に催眠術をかけてしまう奇術師は、サラ金に借金をしまくっている。
これは多分、もっと危険なマフィアとかのシンジケートに借金している、という設定になるんじゃないか? そして殺し屋が登場する。さらには大金がかかった麻薬とか、金塊なんかの奪い合い、というドラマが挿入されるはず。
主人公は催眠術を解いてもらうため、奇術師を探して旅をするロード・ムービーになっている。
日本では最終目的地は、札幌だが、ハリウッドでリメイクするなら、そりゃ何といっても、目的地はラスベガスだ。おそらく主人公に催眠術を掛けてしまった奇術師が、こんどはラスベガス中の観客総てを催眠術にかけてしまい、町全体でミュージカル、なんてラストになるんじゃないだろうか。
楽しみである。
が。
悪い予感がする。
今まで日本の映画のリメイクと言えば、あまりいい結果は出ていないような気がする。
ほら、憶えているかな……。
「シャル・ウィ・ダンス」がリメイクされたのを、見たことありますか?
それに伊丹十三監督の「タンポポ」が「ラーメン・ガール」なんてのになったのを。
思い出した!
忠犬ハチ公の映画が「HACHI 約束の犬」になっちまった。主演は「シャル・ウィ・ダンス」のリチャード・ギア!
やだなー、やだなー。
どうかリチャード・ギアが出演オファーされませんように……。




