ルサンチマンの恐怖
久しぶりに、小説を連載開始した。
タイトルは「電脳隠密~漣玄七郎の才能~」という、電脳大江戸の四作目だ(ちょっとコマーシャル)。
ちょっと心配になって、「仮想現実・江戸」で検索してみる。
やっぱり、仮想現実で江戸時代を再現して……という主旨の小説は、ぼく以外、見当たらないようだ。ちょっと安心。
というのは、ほら、あの事件……。
ああ、文字にするのもいやだが、京都アニメの放火事件。
あの犯人は「自分の小説がパクられた」と主張して、犯行を思い立ったらしい。
自分の小説?
まさか、あの犯人、なろう作家じゃないんだろうな?
だいたい、原作付きのアニメを制作している会社に対し、自分の小説をパクった、などとは筋違いじゃないか? 文句を言うなら、原作者に対してだろう。もっとも、それはそれで、原作者に被害がおよびそうだから、問題外だが。
ニュースを知れば知るほど、あるマンガを思い出す。
そのマンガは「ルサンチマン」だ。
作者は花沢健吾。
そう「アイ・アム・ヒーロー」の作者の、初連載マンガだ。
ルサンチマンとはWikipediaによれば「主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことをいう」だそうだ。この言葉通り、マンガの主人公は中年・童貞・ハゲの絶対弱者で、リア充な強者に理不尽な怒りを抱いている。
多分あの犯人は社会に対し、ルサンチマンを抱いていたんだろう。
そのルサンチマンは、犯人だけじゃなく、ぼくだって抱いている。
なんで自分の小説の閲覧数が伸びないんだ!
答え。それは読者の支持がないからだ。
ちぇっ、まったくその通り。反論しようがないがな。
まあ、ぼくは自分がいわれのない怒りを抱いている、という自覚があるだけ、ましだろう。
しかしルサンチマンを抱いているのは犯人ばかりじゃなく、ありとあらゆる「認められたい」と思っている人間すべてだ。
第二、第三の事件が憂慮されるが、どうしたらいいのか?
警備を厳重にする?
でも、それには限界があるし、肝心のルサンチマンを抱く人物の発生は抑えられない。
祈るしかないのか?




