ダンボとディズニー
少々遅きに失したが、映画「ダンボ」を観て来た。
監督がティム・バートンということで、期待はしていた。ぼくの中でティム・バートンという監督は「信頼できる」という評価があって、まず失敗作はないだろうなと思っていた。
だったんだが、うーん……。今回はどうなんだろう。
ちょっと「猿の惑星」が思い出されてしまう。
というのは、主役がダンボじゃなくって、人間の姉弟になっていたからだ。
ダンボという映画は、主役のダンボが耳が大きすぎて仲間の象から差別される、まあ言い換えれば人種や、障害者への差別の暗喩だったからだ。それが母親象との関係のみで語られるもんだから、テーマがずれてしまっているように感じた。
でもちょっと「おや?」と思うところもあった。
物語の序盤で出てくるV.A.ヴァンデヴァーというキャラクター。この映画では悪役で、さんざんダンボにひどいことをする拝金主義の怪物的人物として登場する。
これが……どう見ても……おほん!
ウォルト・ディズニーなんだよな!
ヴァンデヴァーはドリームランドというテーマパークを運営している。
その動機がコニー・アイランドという遊園地に対抗するため、と説明されている。
コニー・アイランドというのは、ニューヨークにあった……今もあるのかな?……有名な遊園地で、映画の舞台になった20世紀初頭では、誰もが知っている場所だった。
ウォルト・ディズニーは、このコニー・アイランドに家族連れで出かけた経験から、自分が理想的な遊園地を作ろうと決意し、ディズニーランドを建設する、となっている。
映画のドリームランドは、様々なテーマパークに分かれていて、その中に「科学の館」というパークが登場する。
ディズニーランドにもサイエンス・ワールドというテーマパークがある。
ドリームランドの中心は常設のサーカス小屋だが、当時、映画はまだ娯楽の王様ではなかった。このころの娯楽で、常設館で提供されるのは、いわゆる「レビュー」という形式の娯楽だった。
古くは「巨星ジーグフェルド」という映画で描かれる、歌と踊りの一大イベントで、まだミュージカルは登場していない──と思う。
ええと、演劇史にはあまり詳しくないので、このへんあてずっぽうです。
でも、ヴァンデヴァーという人物をディズニーとして読み換えて映画を鑑賞すると、何となくティム・バートンの意地悪な狙いというのが透けて見える。
とは、ぼくの勝手な解釈である!




