サンダーバードの呪い
さんざん迷ったんだが、遂に「サンダーバードBlu-ray」のBOXを買ってしまった。
で、特典ディスクというのを見たんだが、それにプロデューサーの、ジェリー・アンダーソンのインタビューが収録されていた。
それによると、アンダーソンはずーっと、人形劇について不満を持っていたそうだ。
つまり、所詮人形劇であり、リアルな役者が演じる映像作品にはかなわないという不満だ。
だから数年後「謎の円盤UFO」がスタートしたときは、長年の不満が解消され嬉しかったそうだ。
そーんなこと、言うなよ~!
「サンダーバート」というのは、人形劇としても、特撮番組としても、後世に残る作品じゃないか!
なーんで、ジェリー・アンダーソンはそんなに不満だったんだろう。
ひとつ考えられるのは、特撮シーンの出来が良すぎたからかもしれない。
驚くべきことは、初期のカラー作品の「スティングレー」から「スペース1999」まで、特撮のクォリティがほぼ、一貫していることだ。
「サンダーバード」でジェリー・アンダーソン作品の特撮は完成していた、といってもいいかもしれない。
このリアルな特撮で、登場するのが人形、というアンバランスさ。
のちに「謎の円盤~」になって、人形から人間の役者が登場しても、特撮のクォリティはほとんど変わりなかった。
これは欧米人と日本人の「リアル」に関する感覚の違いがあるのかもしれない。
特に欧米人は「リップ・シンクロ」に強いこだわりを持つようだ。
これは言葉と唇の動きが一致していることで、「サンダーバード」などの人形劇では、人形の唇が、発音と同時に動くシステムをジェリー・アンダーソンが開発したことで知られている。
ほかにも日本で、アメリカ向けのアニメを制作することがあり、いわゆる「合作」アニメだ。
この合作アニメの制作で、日本のスタッフがうるさく注文されるのが、唇の動き……つまり「口パク」だ。
日本のアニメでは口の開いた状態、閉じた状態、その中間の中割りの、三枚で済ませる。
しかし合作アニメでは、たいてい口パクに五枚の絵を要求される。
つまり発音の通りに口の動きを作画するよう、指示されるのだ。
とにかく「サンダーバード」以後、ジェリー・アンダーソン作品の人形はどんどんリアルになっていく。
ぼくなんか「サンダーバード」のころの人形の頭身くらいが、ちょうどいいと思うんだけどね。




