名前が無いだと...?!
やっちゃたぜ☆
女の子が眠っていた場所から離れ、再び植物VS私(俺)の戦いが始まる。
そして、サバイバルナイフらしきものを振り回し、30分は経過したところで私はある重大な問題に気付いた。
「名前がねぇ........。」、である。
そう、私はこの世界での名前を持っていない。
生前の私の名は鏡兎景であったが、この身体にその名はいかんだろ?
たいていゲームに出てくる主要人物はほぼ、いや訳7割は漢字では無い。
戦国ゲームや三国関係ゲームの世界なら漢字だけど、この世界はきっとカタカナ辺りだと思う。
「どうしようか?名前がなかったら、この先苦労しそうだしな...まいったなこりゃ。」
生きて行くためには証明がいる。
どんな形であろうと、どんな姿で有ろうが自分の存在を認めさせればいいだけのこと。
罪悪感が少しあるが、ここは一旦名前を決めよう。
「あ.....。」
そうだ…!そうだよ!
この体の持ち主の名前があるじゃん!
さ~て、私(俺)の持ち物は腰に巻いてあった袋の中をあさり、そして見つけたのだ。
こいつ(私)の名前が書かれた証明カードらしき物が!!!
「え~と、何々?ミラー……クロッ、クス?」
わかんね!英語だよ!?
しかも何語か分からんような文字で書いてあるんですけど!?
理解できてるのはきっとこの体のお陰だとおもうけど、名前のセンスないだろぉおお!
「下手したらミラー・クロックス、、、。は?ちょ待て待て待て待て!準備が良すぎだろ!」
ミラー・クロックス、、、、、。何というオチ。
被ってる、、、漢字変換したらきっと鏡時計だけど、俺…じゃなかった私は兎景!
あぁ、神よ…。
どこまで私を苦しめたいんだ……。
私はもう気苦労でもう一度死にそうだよ。
ハァ~、と出てきそうなため息を押し殺し、名前の県はひとまず落ち着いた。ちょっと…いや大いに文句はあるが名前があっただけでも良しとしよう。
他にも袋の中に使い方は分からないが道具が色々と入っている。
「(文字は読めたけど、道具の使い方合が分からないんじゃ宝の持ち腐れだよな。)」
ゲームでも最初は武器の説明や道具の使い方、それに戦闘の仕方や物語の進め方、、、、ゲームによっては説明は違うけど最初は教えてくれる。
だけど、ここはゲームの様に丁寧に教えてくれるはずもなく、ましてやゲームなんかじゃない。
本物の…正真正銘の異世界だ。
そんな中に私(俺)は右も左もわからずやって来たのだ。
…一回死んでからな。
ここがもし、死後の世界ならば私のお爺ちゃんやお婆ちゃん、それに近所の悪猫でもあった悪之助(私命名)やらその他大勢の死者の皆様がいてもいいのにいないのだ。
それだけでも、ここは死者の世界じゃないことが分かる。
「う~ん。何か使えそうな道具ないのかな?」
袋の中をもう一度確認する。
「(何も入っていないカラの瓶x1。意味不明な形をした翠の石x1。鳥の形をした3cmくらいの水晶x1。タオルっぽい布が2枚。最後に・・・メジャー?)」
「……。ツッコミどころは沢山あるが、まずは言わせてもらおう。」
「どうやって今までの私は生きてこれんだぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」
私の渾身の叫びによって木にとまっていたであろう鳥達が慌てて逃げ出す。
悪いな。でも叫ばずにはいられないんだ。
私、どうやってここまで来たんだろ。
てか、装備ってサバイバルナイフだけ!?
おいおいおいおい、嫌がらせか?新手の嫌がらせなのかこれは?!
どう見たって周りは古代の建築物にうじゃうじゃ生えまくる植物!それにさっきから聞こえてくる獰猛な呻き声!やだもう帰りたい!!!泣きたい!辛い!!!
この世界で生きて行けっていうのなら、もっとちゃんとした装備くれ!!!
あと、使えそうな道具もっと入れとけよ!!!何だよメジャーって!何を図るんだよ!?
ぎゃあぎゃあ言っていた私は気づかなかった。
さっきから聞こえてくる呻き声の正体が私のすぐ後ろにいたことに。
私は気づかなかった。
呻き声の正体が5mあるんじゃないかって思う位の巨大な食虫植物だったことに…。
私は気づかなかった。
食虫植物があと少しで私に触れそうな距離に差し掛かって来た事に。
そして私はついに気付いた。
巨大食虫植物の後ろにあの少女がいたことに、、、。
私は眠っていた。
私の生涯を捧げる人物が来るまで私は眠り続ける。
眠り続ける中、私の元に誰かが滑り落ちてきた。
滑り落ちてきたそれは人間だった。
眠り続ける私にはこれも夢なのかと思えた。
でも、そうじゃなかった。
その人間は私の揺り籠に触りこう言った。
「私は君の主じゃないけど、きっとこの世界の主人公が貴女を起こしに来てくれる。」と。
その言葉を多分私は待っていたんだと思う。
ずっと眠り続けていた私にこんな言葉をかけてくる存在などいなかったから。
あぁ、私はきっとこの方に出会う為に眠っていたのだろう。
自然と目を開けた時にはあの方は居なかった。
大丈夫。夢じゃない。
だって、お姫様を起こすのはなにも王子さまって訳じゃ無いもの。
さぁ、待っていて下さい。直ぐ貴方の元へ参ります。
「私の主。」
え?これ続くかな?
やばいシンパイダ!