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birthday・time  作者: 架世 凪鎖
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その眠る姿は、いつまで続くのだろうか?

佐織視点


私は、杠と校門の前で別れた後、商店街に向かった。

お見舞いの品として、私は花を選択した。

無駄になるようにはしたくないのだから、食べ物はやめておくことにしている。

「あ、その花をください。…………お見舞いに持って行くので鉢植えはいいです。別件で買うときはそうするかもしれませんけど…………。」

なぜか毎回鉢植えを薦められる。

「分かりました。え~っと、ラッピングは………。」

「いえ、このままで大丈夫です。」

そう言って私は花を買って病院まで歩くのだった。



トボトボと歩いて20分。日が少し落ちてきた頃、私は、奈月大付属病院という所に着いていた。


「あぁ、この人のお見舞いです。はい………。五時までですか。」

受付の人に許可証を貰い、中に入った。

面会は五時まで許可された。今は4時27分だったから、ゆっくりできそうだ。


エレベーターで3階まで上がり、少し歩く。

松葉杖で歩く人と挨拶を交わして、私はある病室に入った。

「…………相変わらず、だらしない寝顔だな、透。」

そこで点滴と呼吸器をつけ、静かに眠っている男に私は問いかけた。

「………やはり、答えないか…………。」

それもそうか。

もう、何ヶ月も眠っているのだから。


彼の名前は未出 透。

白龍の前の生徒会書記であり、私の許婚だ。

「………実は、私がいないときには起きてるんじゃないか?ははっ。それなら私はさらに透の事を嫌いになると思うがな。」


私が笑いかけても、透は何も反応しなかった。

いつもは意味もなく笑っている人間だったのに。

「……なぁ、まだ目が覚めないのか?あの時はいつもいつも私よりも早く起きて目覚めのキスをするとかと言っていたじゃないか。」

そんな恥ずかしいことを言っても、透は何も反応しないのだった。



私は、杠に何個か嘘をついていた。



第一、暴れただけで牢の中に入るような出来事は起きないだろう?本当は別にあったんだ。


…………透が、暴れていたAに剣で刺されそうになったところを、透が庇ったのだ………私が刺されそうになったのは、会長だったからだろう。当然殺人未遂でAは牢に行くことになった。


透が刺されたのは、心臓の近くで、危機一髪だった。

あの時に心臓に刺さっていたのなら、Aだけでなく、この高校も危ういことになっただろう。


あれから透は、普通に高校に通っていたが、卒業式の直後、耐えてきた何かがプツリと切れたのか、そのまま倒れてしまい、今の状態になっていた。なぜ、あんなにも耐えたのだろうか?生徒会を早めにやめたのも、余計な仕事を増やさないためだったのではないか?そもそも耐えることはできていたのか?と思った。



これが、一つ目の嘘。


そして、私は恋愛をしたことが無いと言ったが、あれは……………。半分本当で半分嘘だ。


私は、透の事を嫌っていた。

親の仲がいいからと勝手に決められたのだし、一応透は年上だ。


私は、ずっと透を嫌っていた。心の底から。

一言一言、二人きりになると話される言葉が鬱陶しい。

一緒にいると非常にイライラする………などだ。



逆に、透は私の事を愛していたらしい。

と、いうのも、演技なのか、はたまた本心なのか、いつもの透からは分からなかったからだ。

実際、二人の時の透と他の人がいるときの透は全くの別人のように成り代わるのだ。

いつもは私に好意を一切持っていないように錯覚してしまう。



そんな透を見ていると、答えを聞かない限り、なぜそんなことをしているのかが分からずじまいだった。まぁ、当時の私は透の事が嫌いだったから、そんなこと聞かなくても良かったのだ。


もしかしたら、愚弟の祐也に聞けば、何か分かるかも知れなかったが、聞こうと思ったときに愚弟はロシアにいて連絡不能だった。


まぁ、そんな演技をしていた透も、私が刺されそうになったときにはその演技をやめたかのように豹変したのだ。



それからの透の演技は、まさに滑稽で、最高で………愚かだった。

なぜそこまで正常を装おうと思ったのか?

ただの強がり?

私に心配をかけたくないから?



まぁ、これが、杠についた二つ目の嘘に繋がる。

私は、恋愛対象として透を見ているのか、と言われれば、そうでないと答えた。



それは、恋という感情がどんな物かを私が知らなかったからだ。この高まりは恋と言うのだろうか?と、恋をしたことのない私の頭はグルグルグルグルグルと回っていた。

透が倒れてしまったときに、私に言った言葉………。

聞き取れなかったが、多分大丈夫ですよ。と言ったのたろう。

最後の最後まで、彼はお人好しだった。

誰も悲しませたくなかったのだろうが………。

「それでも、私はお前がいないと悲しいんだよ…………透。」



「だから………だからせめて。」

私の事を本当に好きなのかを教えてくれ。

私は少し涙をためながら、透の手を握った。

どうせこんな事をしても、透はなんの反応も起こさないのに。起きあがるわけでも、急に回復する訳でもないのに。



「………もう、終わりか………。また来るぞ、透。」

私が他の男に盗られる前に、起きて本当の事を教えた方がいいぞ。

「その時に、私はどんな答えでも、受け入れてやるからな………。」


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