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birthday・time  作者: 架世 凪鎖
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笑う要素の無くなった部活紹介

「なにがあったかなんて、ただ、誰かが暴れただけだ。」

会長は語り始めた。



「一昨年、その前の年にオリンピックでフェンシングの銅メダルをとった選手がここに入学した。鋭美 剣という私と同い年の少女で、前副会長だ。」

「卒業した訳じゃないんですね………。」

「あぁ、転校したんだ。」


「まぁ、一年の時に生徒会副会長になっていて、部活に顔は出せなかった、というより、部活に所属することができないんだよ、生徒会にいると。」

「は、はぁ………。」

「役員交代して、丹波が広報に、金国が会計に、私が会長になったときに、私が新しい副会長を次の年にスカウトするからお前はフェンシング部に行ってもいい。生徒会棟に遊びに来てもいいと言っていた。」

つまり、ここに残るつもりだったんだ、その人は。


「フェンシング部は人気が無くて、同好会に格下げ中だったが、内申点とかの目当てで入る当時の一年二年が殺到した。」


「学校側はこれを利用して、フェンシング部の設備をとんでもないほどにして、毎月の部費をとてつもなく高く設定したし、合格者の先行入部の受付までしてた。」

「ちなみにどのくらいなんですか?」

「一ヶ月で30万。いや、50万かなぁ………。部費だけで600万とかってあり得ないだろう?お嬢様高でもないのに。」

多すぎる。

普通は学校側がどうにかするんじゃあ………。


「学校側は高級な剣やスーツを何個も買っていって、ここの警備だけ厳重にして………。コーチもオリンピック選手のレベルをやっているのを選んだんだ。内申目当ての奴らがどんどん入部してきたな。」

聞いてみると、未経験者どころかやる気の無い人まで集まったという。

「全国優勝のチームのメンバーならスポーツ推薦なんか受け放題だし、内申だって鰻登りになるんだ。まぁ、それは学校側が予算の確保をしようとした結果だがな。親も、たった50万でとてつもない内申が手にはいるならそのくらいの金パーッと出しちまうだろ。受験失敗だけで何百万も損するよりはさ。」



「でも、なんでこんな反乱が起こったんですか?」

「そりゃあ勿論その元副会長がスポーツの名門高に転校していったからだろ。それで、部費で雇ったコーチも引き抜かれて行っちまった。そうなれば、未経験者ばかりの部員にフェンシングのフの字も知らない顧問がコーチまがいの事するだけだ。当然全国優勝は愚か全国に行くことすら無理だった。」

「でも、ここまでしたのは誰なんですか?」

「当時の三年生達だ。仮に、A、B、Cとしておくか。後はモブだ。」


「Aは確かスポーツ推薦で一発逆転を狙っていたんだ。ちなみに部費はすべて援交で稼いでいたらしい。次に、Bは親からの有名大学に行けというプレッシャーが非常に重く、成績がなかなか伸びないから、ということで。Cは両親が有名人と友達になりたいという感じだったな。そのせいでやっていた手芸部を退部させられた。まぁ、このぐらいだろう。」


「部費は一年分即日払いだった。まぁ、推薦を楽に取れるのだからな。学校側は一銭も返さないそれがそいつらの反乱を誘発したんだろうな。」

「でも、ここまでなるには結構なことが………。」



「部員たちがここで暴れたんだよ。備え付けられていた冷蔵庫なんかを全て壊した。ってか後から確認したらビールの缶まで入っていたよ。」

会長はため息をついてからまた話し始めた。

「さっき言っていたAが始めに暴れたんだ。」


「『あたしはここに入るのに処女すら捨てて援交に走ったんだ!!私はこれからどうすればいいんだ!!』と、言いながら備え付けられた冷蔵庫の中のビールを一気飲みした。そして、暴れ出した。剣を持って壁を切り始めた。何回かやっていれば当然折れる。それがこの残骸だ。コーラの缶は部員達が持ち込んだもので、ビールはAとCが持ち込んでいた。理由は、AもCも玉の輿狙ったんだろう。コーチとして来る奴はまだ若かったからな。酒飲ませて籠絡しようとしたんだろう。Aは援交してたから当然金目当て、Cはコーチの伝手で両親を喜ばせようとしてだったな。だから酒を使おうとした。」


「まぁ、結局そのコーチも来ずに無駄になっていたがな。それでも一応大会には出た。まぁ、真面目に練習していないから当然なんだが、すぐに負けたんだよ。」


「そんなこんなで顧問に頼まれて生徒会で鎮圧することになった。湯空と御蔭は不参加だが。当時の書記と私、監査の日向、広報の丹波で止めに入った。」


「で、その後にフェンシング部は廃部。責任をとらせる形で当時の三年生は浪人決定、二年生も停学になったりしたがほとんどが親に言われたとかで自主退学。まぁ、あの部費は学校側が返していないからな………生徒会へはなんの責任もない。部費は勝手にやられていたことだったし、あのくらいの設備なら私なら生徒会予算のいい消費になるから部費は剣のメンテナンスとか安くて丈夫なスーツだけで良かったんだよ。」


「停学になった奴らの理由はまぁ、飲酒を疑われたからだな。それを受けて停学になってお金も戻ってこない………Bはそれで親からネチネチネチネチネチネチ言われ、睡眠薬を大量に飲んで自殺してしまったよ。他の部員もそんなこんなで非行に走ったり引きこもったり……。」

「でも、なんで片づけないんですか?」

「……世間はここをきれいにしたらこんなことがあったのにまたやらせる気か?となるだろう。それを避けるためだ。さすがに酒の缶は処分したが。」


「Aは確か今牢の中だな。Cは枕営業させられてるんじゃないか?多分。」

「でも、なんで会長はこれをここまで淡々と話せるんですか?」


「私はな、そういう女だから、仕方ないんだ。」

その時の会長の目は、少し曇っていたのだった。

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