丹波炎樹の本気
いつもとは雰囲気の違う生徒会棟に入ると、可愛らしい声が聞こえた。
「みーねー!!尻尾ふさふさ~。」
「く、くすぐったいよ湯空~。」
この光景を見て、私は可愛いと感じた。
狐耳にふさふさ尻尾、巫女服のコンボに私は悶え死ぬ寸前だった。
しかし………。
「この姿になったんですけど制服なんかは追加されてなかったです。前までのだと身長的にも着るのが無理でして……。」
御蔭は少し残念そうに答えた。
この学校はオーダーメイドの制服を作らないし、サイズも限界がある。身長だけなら一応サイズはある。しかし、胸のサイズが合わないのだ。身長が平均的なものなら胸のサイズは大丈夫なんだけれども、高いと学校側が手を抜いたのかあまり大きい物がない。つまり、御蔭がこの学校に通えないかもしれないのだ。何より………。
「でも………みーねーとおそろい、できない?そんなのいや…。」
湯空ちゃんの泣き顔……かわいいんだけど、いつまでも見れるものじゃあない。
どうすればいいか………元会長の立場だったときの力を最大限に使うとて………。
私は名残惜しいけれど、これをやるために仕方なく生徒会棟をでた。
その時、巫女服と制服を認めさせる案が出来上がった。
これなら校内での支持も受けられ、学校側も納得させられるはずだ。一番の敵もくるめられる。それに、これがダメでも御蔭は来れるようになる!!
早速、一番の敵である風紀委員長のもとへ向かった。
「直葉、この案件を教師側に納得させるために協力して欲しい。」
「風紀は乱さないでしょうね?」
こいつは末期のロリコンのくせになぜかこういうのはまともなんだよな……。
「心配ない。私にも直葉にも得になる案だ。湯空のケモミミ姿………見たいだろう?」
「もちろん!!ケモミミの湯空ちゃん……、ちゃんとカチューシャ用意できるんでしょうね!!」
「問題ない。私の家はそーゆー類のものをやっているのは知っているだろう?」
「………丹波、私も協力するわ。この件、やりがいがありそうじゃない!!」
校長や理事、事務の人や先生方の説得は簡単だ。すべて経営に関係づければ楽に落とせる。ふふ、やっぱり無理矢理押し通すのは気持ちがいい。理想に一歩一歩近づいているのだから。
さぁ、準備は整った。
最後の仕上げは……………、緊急生徒総会。
本来ならば生徒会長が宣言するものだが、今回は私が宣言する。生徒達はどんな校則が追加されるのか不安になっている。不安からこの校則なら、ほぼ全員賛成するだろう。
先生側で反対したのはすくない。堅物の幸甚先生や、40手前で未だ独身の悩山先生ぐらいだ。
「聞け!!生徒達よ!!これから新しい校則を発表する!!が!!その前にお前達に言う!!」
生徒達は段々とざわざわしている。ちなみに今ここには黒江しか生徒会メンバーはいない。が、気にすることはない。
「まず、この高校の経営についてだ!!お前達はここに入学する理由はなんだった?この学校は制服は多少普通とは違うがあまりオリジナリティーがない!!」
男子の制服は完全に手抜きだ。まぁ、別に興味はないが。
「ここは少し立地が悪く、基本的に地元民がほとんどだ!!!しかし、年々地元民自体の人数が減ってきている!!これでは、たとえこの湾沖高校が公立校だとしても生徒数が少なくなる!!つまり、廃校になる日も近くなるわけだ!!」
生徒達の顔が段々青くなる。
「お前達は近い将来、就職し、大学どこだったか?と聞かれた後に、高校も同じように聞かれるだろう!!そんなとき、高校は廃校になりましたとは言えないだろう!!」
校長達がこのことに真剣に考えていたのだ。私立でなくとも経営が厳しいのは避けたいことだろう。
「だから私はそれについて!!ある一つの校則を掲げる!!なお、このことについては風紀委員長も賛成している!!」
どよめきがどんどん大きくなる。
そして、私は新しい校則を発表した。
「これから、この高校の制服を、制服とカテゴリされるものならば、自由に着用して登校しても良いこととする!!当然少し過激な[桜咲いた乙女学園]の制服でも、巫女服などの勉学に邪魔にならない程度のものならば着用を許可する!!」
質問がかなりあったがほとんどはあまりここで書くようなことは無かった。
これは、コスプレイヤーや、制服がメインで入る高校を決める人達へのアプローチだ。それにここは学力が幅広いので、それなりに人が入るようになるだろう。
役目が終わり、私は壇上から降りる。
たぶん、会長だった時よりも盛大な拍手だったのだろう。
体育館が揺れるほどの大歓声だった。
これが学校のためではなく私の私利私欲のために行ったわけだ。
後日、湯空ちゃん用に用意した巫女服と狐耳カチューシャ、後巫女服につけるタイプの尻尾を用意した。
私の家はコスプレ衣装などを生産する会社だ。これくらいお茶の子さいさいである………しかし………。
「みーねー!!おそろい~。」
この笑顔が見たかった!!私は大満足してその様子を眺めていた。ちなみに、御蔭は生徒会棟通学にするということになった。




