日向
扉が開いて、まだまだ薄暗いところに立ってる俺に光が当たった。
ラフな服装な彼女は、扉を開けてすぐ俺を睨んできた。
「なんで、」
「お、俺!翼があったら、真っ先にお前のとこに飛んでく!」
彼女がなんか言ったら心が折れると思ったから、すぐに切り出した。
「・・・・え?」
「真っ先に、お前のとこに飛ぶと思う!」
「うん。・・・えーと。ありがと?」
俺はくすっと笑いながらお礼を言った彼女の眼が、赤い事に気付いてしまった。
「・・・・。」
「何でそこで黙るの・・・。」
「ごめん。でも、俺。泣かしたんだなぁ、って思って。」
「っ!な、泣いたわよ!めちゃくちゃ泣いたわよ。で、訪ねてくれたと思ったらよく分からないこと言い出すし・・・でも、その、簡単に好きって言わず、お前の所に飛んでくとか?言うとこ、ろめちゃくちゃ好きだけど・・・。でも、でもぉ!」
彼女は、ちょっと泣きそうになってる。だから、俺は必至で弁明したほうがいいと思うんだけど。でもさ。こんな時なのに、彼女の泣き顔可愛いなんて思ってる俺って、酷いかな?
すっげー可愛く泣くんだな。俺の彼女。
「好きって言って欲しかった・・・・。」
とうとう涙を零した彼女が可愛くて可愛くて、胸が苦しくなった。触れたい。触りたい。
俺はそっと手を伸ばして、玄関先に立ってていつもより上にある彼女の手をつかんだ。
びっくりして俺を見つめる彼女にかまわず、思いっきり手を引いた。
「キャッ?」とか言いながら俺の肩あたりに落ちてくる彼女。・・・悲鳴もかわいいな。
どんっと衝撃があって、すぐ暖かさが広がった。さっと腰に手をまわして、抱きしめる。
「な、何?急に、そんなキャラじゃない、でしょっ!」
キャラ?知るか。俺はお前に触れたいんだよ。
耳に顔を寄せて、囁く。
「・・・好きだ・・・。俺の、光莉。」
「今、名前呼ぶのって、反則・・・・。」
かわいい俺の彼女は何か言ってるけど。彼女を抱きしめてるっていう状況や、今言った言葉とかのせいで、俺は壊れそうだった。ていうか胸、胸が当たってるのが普通にわかる。・・・熱い。
恥ずか死ぬ。
ああ、けど、幸せだなぁ。俺、幸せだ・・・。
太陽がまだ抱き合ってる俺らを温かく照らした。
俺の心は、光莉が温かくしてくれた。
とうとう完結しました。
この話はフィクションです。なんか聞き覚えあってもフィクションです。