日没
日が沈み始めた。あれほどきつかった日差しは急に衰えて、少し寒くなってきた。
特に野外にいるからその違いは切に感じる。
「寒くなってきた。」
「ん」
少し肩を出してる彼女の服だと余計寒いだろう。
ココは、俺が上着を差し出して着とけよ。とか言う所だろう!
「寒いだろ!」
「え?今、そう言った」
「・・・おう」
よく考えたら俺急いで来たから、上着脱いだら半袖だ・・・!寒い絶対寒いよ。
だけど、俺はやるって決めたらやる男だ!
「手、繋がないか!」
彼女は、俺の顔があまりにも厳つくなってたのか、少し戸惑いながらも手を出してくれた。
「ん」
可愛い!手が絡んで、うっ、俺急に汗かいた気がする。ていうか前も思ったけど女子の手って柔らかいなぁ。
しばらく無言が続く。
何か話そうと思うが、昨日さんざんネタを出した挙句、朝から今までほとんど何もしてないに等しい。
「ねぇ、私から告ったよねー」
「・・・うん」
誠に遺憾ながら、そうですね。
「私の事、ちゃんと好き?」
「・・・うん」
めちゃくちゃ好き。
「ホント?」
「・・・うん」
そりゃもう。
「変な間があったよね」
「・・・そう?」
言葉が出るまでに、ちょっと時間がかかるんだよな。ホントはめちゃくちゃ考えてるから。
「今も、あるよ。本当は私が告ってきたから、断る理由がなくて、受けたんじゃないの?」
「違う!」
なんでそっちに行くんだ!
「いっつも、否定だけは早いよね?」
「・・・そう?」
何で俺そう?しか言えないんだよ、本当に違うから早いんだとか他にもっと言い用があっただろうが!
「そうだよ。本当は、私の事何にも思ってないんじゃない?」
「・・・うう。チ、違うって。俺、本当に」
俺、本当にお前のこと好きなんだよ!
「ほら、グダグダじゃん。」
「・・・う」
「ごめん、私、今日変だよね。さっきも、さ」
さっきって、あれか?あの、会いたかったか?否か?みたいなヤツ。別に、あれは俺が悪かったと思うし。これも俺が悪いと思うし、謝る必要はないんじゃ。
「俺の方こそ、ごめん」
「やっぱり。同情だったんだね?ごめんね、付きまとっちゃって」
ずっと家の前で喋ってた俺も俺だと思うが、彼女はまた家に入ろうとした。待て待て!デジャヴとか言ってる場合じゃない!
掴んだ手は―――振り払われた。振り返った彼女は泣きそうな顔、じゃなくて泣き顔だった。
「さすがに、つらいよ!」
そう言って、彼女は扉を閉めた。
そうして、俺の光は沈んだ。
彼女の家は目の前にちょっとした公園があって、前で喋りやすい環境なんだよな。