夕日
日がゆっくりと傾いた。太陽が部屋にオレンジ色の光を射す。俺と彼女は二人っきり。何人かで集まったことはあるけど、二人っきりは初めてだ。緊張する。無駄に部屋のカーテンを凝視したりしてしまう。
そして手を握ってる。握っていい?って言ったのは、俺だったか彼女だったか。
正直になると、彼女だ。女の方から言われるなんて軽くショックだったから、よく覚えています。はい。
今は、沈黙。さすがに二人で3時間は無理。彼女は沈黙が大丈夫なタイプで、今はケータイをいじってる。
俺は沈黙が駄目な上ケータイを忘れた。緊張して、最重要必需品を忘れるなんて。
だけど、彼女今男とメールのやりとりしてるんじゃないか。何て嫌な考えが浮かぶ。女でもちょっと嫉妬するかな。俺の方を見てほしい。
ケータイをいじってる彼女は冷たい横顔で、嫌だ。・・・笑ってケータイ見てても嫌だ。
合図のつもりで少し手を動かしてみる。
ちょっと間をおいて、彼女が顔をあげた。そして微笑みながら一言。
「ねぇ、翼を持ったら何処へ飛びたい?」
「へ?何、急に」
翼ってどっから出たんだ?
「ね。どこ行きたい?」
そりゃ、お前の所に。なんて答えられたら苦労しないな。
「え、・・・た、太陽?」
すると彼女は朗らかに言った。
「やけちゃうね」
ああ、俺はその笑顔に惚れたんだ。
俺は、意外とごついです。