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拝啓 最強を殺します  作者: ヒト
一学期
6/8

4.樹獣狩り

「う、うわぁぁぁぁ」

襲われていた生徒に、尖った岩が迫る。

しかし、その攻撃は当たらない。間一髪で一色が間に合ったのだ。


「無事か?無事なら早くここから逃げろ」

そう言って中戦級の群れに突っ込んでいった。

そこに遅れて湊たちが来た。


「大丈夫か?無茶するからだろ!」

藍太郎が怪我の有無を確認すると、幸い生徒は無傷だった。どうやら腰が抜けて動けないようだ。


「僕がここに残って戦う。藍太郎と皐月は3人を頼む」

湊が一色の元へ行こうとしたその時、一色が全員の前に立ち、盾を作り出した。


そして、とんでもない地響きと共に激しく盾が押される。その攻撃を何とか防ぎきったと思うと、左右から2体の中戦級が攻めてきた。


一色はそれを意に介さず、盾から大剣へと変形させ、片方を斬り殺した。

そしてもう1体は大きく口を開け、噛みつこうとしていた。


それにも一切動揺せず、右手を噛ませた。

「一色!」

ようやく体が反応し、藍太郎が動き出す。

それを一色は止める。


「大丈夫だ。勝ったから」

次の瞬間、樹獣の体から無数の棘が突き破って出てきた。

一色は樹獣を投げ捨てる。

深呼吸をして、双剣を作り出す。


それを見た、藍太郎と皐月は自分たちが邪魔になっていることを痛感する。

しかし、湊は違った。

「藍太郎、皐月·····3人を連れて逃げてくれ。僕はここに残る」


そう言って、一色の方へと歩き出す。

「何やってんだ!死ぬぞ!」

藍太郎が叫ぶが、皐月がそれを止める。

「私たちの役目はこいつらを無事に避難させて、救援要請をすること。これは私たちにしかできない大事な役目だよ」


藍太郎は渋々分かったと答え、3人を避難させに行った。

「一色、僕の援護だけする。思う存分暴れてくれ」

一色は諦めた顔をして、ため息をついた。

「了解」


一色が踏み込み、次々と樹獣を倒していく。

その戦い方は、実に暴虐武人。

全ての攻撃を砕きながら進み、樹獣の硬い皮膚を高い精度と技術で刃を通している。


まさに戦場は一色に支配されているに等しい。

湊も凄まじい。樹獣を凍らせて、動けないようにしたり、最も効果のあるとされる炎での攻撃でダメージを与えている。


完璧な援護により、一色の独壇場が完成する。

しかし、2人はその状況に全く有利さも勝機も感じていない。

それは漂う雰囲気だった。


先ほどから森が静かすぎる。木々が風に揺れる音すらしない。

そして樹獣たちが背を向ける方·····やけに暗い山の奥からはただならぬ雰囲気がある。


何か悍ましいものに睨まれている感覚だ。

そんなものを感じつつ、2人は順調に戦いを進め、中戦級の群れはいつの間にか、後数体となっていた。


「行ける·····。湊!こいつを倒したら、全力で逃げるぞ」

2人は戦いを終わさせるべく、身を引き締めた。

順調に、慎重に·····あと、後少し!


一色がさっきよりも速く動く。湊もそれに適応し、とんでもない速さで樹獣が死んでいく。

すると、最後の一匹が奥へと下がる。

一色は追撃に行こうとした。


しかし、それは突然きた。死が隣にある感覚·····。殺気ではない。でも、それを彷彿とさせるほどの迫力を感じる。


2人の体の動きが完全に止まる。全ての感覚を今から見えるであろう「それ」に向ける。

「バキバキッ」

木が折れる音が聞こえる。「それ」が確実に近づいてきている。


音がどんどん近づく。そして奥の山を隠していた木が倒れた。

「それ」は暗闇をゆっくりと脱ぎ、こちらに姿を表した。


鹿の姿をしている。恐らく、鹿の死体が樹獣になったのだろう。6メートルはあろう体は、木でできている。

「それ」の目は、ハッキリとこちらを見ている。

そう、「大戦級」は一色と湊を視界にとらえていた。

明けましておめでとうございます!ヒトです。

この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

2026年もよろしくお願いします。

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