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エルフの少女グラティア〜永遠の命を持つエルフに人族が恋をしたら、こうなってしまう〜  作者: くろくまくん


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2/2

アルドとの出会いはこうだったぞ

ルミノース歴911年


グラティアは248歳、


プロローグの961年からちょうど50年前のことです。

 時はルミノース歴911年。広大な大陸には3つの国があり、海を隔てたところには、小さな島国があった。世界はその4つの国で成り立っていた。


 小さな島国はインスラー皇国。主に人族じんぞくが住み、天皇という人族の長が国を治めているらしい。大陸には中央に大きな山脈があり、山脈の北の方、暗黒の大地と呼ばれている土地にオプスクリタス帝国という、とても強力な魔族の皇帝が治めている国があった。山脈の南側には、東のほう、大森林が広がる土地に、獣人族が治めるシルヴァ王国がある。その同じく南側の西の土地に、私の生まれ育ったルミノース王国があるのだ。ちなみにルミノース王国は多種族国家なのだが、今はルミノース21世と呼ばれている確か人族と魔族のハーフの王が国を治めている。


 私、グラティアは自分の生まれ育ったこのルミノース王国を割と気に入っている。もちろん多種族国家ならではの、種族間のいさかいであったり、揉め事がないわけではない。だが、エルフ族、魔族、獣人族、人族のそれぞれが、それぞれの特性や、長所短所を踏まえた上で、上手く寄り添えていると思う。まぁ結局その中で上手くやれないという者が、他の国に移り住んで行くということだ。


 私もまだ248歳なのでよくは知らないが、元々このルミノース王国が、世界ではじめにできた国らしく、それから分かれるようにして、北のオプスクリタス、東のシルヴァ、島国のインスラーとが建国されたらしい。まぁ私はそこまで他の国に興味はないので、あぁそうなのかと、誰かの言うことを聞くだけなんだけど。


 今、私が歩いているのは、ルミノース王国の都市のひとつ、中央都市マグヌスである。たぶんこの国の中では1番大きな都市じゃないかな。私が住む集合住宅があったり、色々な露店がある市場や、酒場、賭博場、冒険者ギルドなど、店もたくさんある。


「グリーちゃん、こんにちは〜」


「あぁ、こんにちは」


 今、声をかけてきたのは誰かは知らないけど、通りすがりの街の住民の人族だ。たぶん名前はあるんだろうけど、そこまで覚えていない。というか人族自体が短命だから、覚えていたとしても、そのうち死んでしまうから覚える気もない。しかも、ついでに言うとグリーちゃんという呼び名は私はあまり気に入っていない。なんだか強欲ごうよくみたいな意味っぽくてイメージが悪いからだ。もちろん、許可もしていない。こういう呼び名は勝手に広まっていくようだ。


 まぁ、グラティアという名前自体、慈愛じあいという意味なんだけど、私自身、慈愛に満ちた女神のような性格でもないのも自覚しているし、だからと言って、残虐非道ざんぎゃくひどうではないが、淡々と日常を楽しんでいるという具合だな。


 先程のように声をかけられることが多いのも、エルフは寿命が長い(正確に言うと寿命はないのだけど)ので、それなりにみんなに覚えられるのだ。それにある程度成長すると見た目はそれから変わらない。老いることもないので、より覚えられやすい。


 歳の割といった人族や魔族などは私のことや、その力を知ってるから、それなりに丁重に扱ってくれるが、そうでない獣人族や、人族のガキなどはまぁタチが悪い。


「おい、そこの姉ちゃん。少し俺たちに付き合ってくれよ〜!男ばっかりで華がないんだわ」


 はい、こういう獣人のアホどもだな。獣人族の寿命は種類にもよるけども、だいたい15年くらいの短命で、その代わり成長が早い。8歳くらいで、だいたい人族でいうと30歳くらいの中年という感じかな。この獣人三人組はオオカミ系だが、まぁ腕力は強い。ただ、頭は賢くない。


「どうしたの、そんな怖い顔して〜。一緒に飲みにいこうよ〜、カワイコちゃん!」


 まぁ、こういうのも日常という感じだから、なんとも思わないけど。今日は周りに、このアホどもを止めるやつがいないから、仕方ないので自分で処理をする。


「眠れ」


「あ??あれ…体が…」


──バタッ


 3人とも、その場で倒れて寝た。アホは魔法にかかりやすい。まぁ魔法耐性もないからというのもあるんだろう。一応なんだけど、私は色々魔法が使える。何が使えるとかは特に覚えていないけど…まぁ色々だ。というかそんなしょっちゅう魔法を使って戦ったりとか、そういうことも少ないので、普段から魔法をひけらかすようなことはしない。力を誇示したがるようなやつほど、弱いんだと、私は思う。


 まぁ色んな種族がいる中で、人族は短命なところは残念だが、どちらかというと知性的なほうなのと、あと生き方が謙虚だった。んー…でも初めて出会ったコイツは謙虚というか、なんというか。


「お、お、お姉さん!こっ、こんにちは!」


「うん、こんにちは。どうした?」


 小さな人族の男の子だった。お姉さんてなんだ。


「アルドと言います!8歳です。あの…」


「うん」


「僕と…お友達になっていただけませんかっ!」


 友達?急になんなんだ、この人族は。


「ダメ…ですか?もしよかったら文通からでも!」


 なんだか面倒くさそうなやつだ。


「あー、まぁ友達ならいいよー。私のことは知ってるのか?」


 たぶん知らないだろう。どちらにしても私はこの子供のことは知らない。なんだか、男の子の顔が赤くなっている。トイレ行きたいのかな?


「うわぁっ!やった!ありがとうございます!あ、あ、綺麗なエルフのお姉さんということしか知りません。お名前を聞いてもいいですか?」


「私の名はグラティアだ。歳は248歳だから、お前よりもかなり歳上だぞ」


 アルドはびっくりしているようだ。


「えっ、えっ!エルフのお姉さんって、そんなに長生きされるんですね!でも見た目は若くてとても綺麗ですよね。グラティアって、とても素敵な名前です」


 これが、私とアルドとの初めての出会いだった。



◯登場人物


グラティア:

エルフ族の女性、248歳。ルミノース国生まれ、ルミノース育ち。精霊魔法を使える。


アルド:

人族の男性、8歳。街中でグラティアを見かけ、声をかける。冒険者の父親と2人暮らし。


◯グラティアプチ情報


グラティアは精霊魔法の使い手だが、通常だと自らの魔力と、精霊の助けを融合して魔法として発動するには詠唱や少しの時間が必要だが、グラティアの場合、膨大な魔力と数々の精霊の加護のおかげで、グラティアが望むだけで魔法は発動される。獣人族がすぐ眠ったのもそれである。あまりにも多くの魔法を習得しているため、グラティア自身も何の魔法が使えるか把握していないようだ。

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― 新着の感想 ―
うん、エルフは生き物として時間軸が違うから、グラティアはこれぐらいの性格でしっくり来ますね。
魔法が多すぎて覚えてないのか。 それだといざと言うときに困りますね〜。 (・∀・) 単語帳みたいなのを持ち歩くしか! ⁽⁽◝(•௰•)◜⁾⁾
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