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エルフの少女グラティア〜永遠の命を持つエルフに人族が恋をしたら、こうなってしまう〜  作者: くろくまくん


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マグヌス伯爵ラグルス・ラジールの思惑とは?

マーズとギルドで交渉している途中、


一度退席してあらわれたマーズは、中央都市マグヌスとその領地を治めるマグヌス伯爵を連れてきた。


連れてきた意図はなんなのだろうか?

「あれ?ラグルスくんもいたんだ。今来たの?」


「お久しぶりです、ムジカ様、グラティア様。あとマーズから聞きました。お二人のご友人のアルド様。私はここ中央都市マグヌスと周辺の領地を任されております、ラグルス・ラジールと申します。よろしくお願いします」


 ただポルトゥスに行きたいだけなのに、また大層なやつが来てしまった。なんとなく、嫌な予感がしてきたぞ。


 ラグルスとはマグヌス伯爵の名前だ。私はこのあたりのややこしさもあって貴族がなんとなく苦手なのもあるかもしれない。一応説明しておくと、ルミノース王国の中央都市マグヌスと、その周辺の領地を治めているのという意味でマグヌス伯爵という肩書き。マグヌスを治めてる偉い人ですよ、という感じだな。ちなみにラジール家というところのラグルスくんという名前ということだ。エルフ族も人族の貴族以外の民もそうだが、名字というのがあまり馴染みがないから、なんとなく長ったらしい、偉そうだなというイメージしか付かないのだろう。


「ラグルスさん、はじめまして。アルドと言います。父は亡くなってしまいましたが、父と僕と2人でここマグヌスで長く暮らしています。いつもありがとうございます」


 お、アルドが珍しく気を使っているな。もしこれが自らで心から出た言葉なら、これは大したものだな。私はラグルスにそんなことを言った覚えがない。


「いえいえ。先ほどマーズも申していたかもしれまさんが、グラティア様とムジカ様のお二人にはマグヌスの、いやルミノース王国全体の危機を救っていただいているのですから、御礼を申し上げるのはこちらの方です。そうそう、マーズから話は聞きましたが、ポルトゥスへ行く依頼を探されているとか?」


「うんうん、そうなんだよ。こちらのアルドくんがまだ冒険者成り立てだから、少し経験を積む目的も兼ねて、ね。そういえばちょうどここに立ち寄ったのは何か用事があったのかな?」


 ラグルスの言葉にムジカが答える。やはりラグルスに対しても、いつもの調子よりは少しはっきりと話すムジカ。場合によって変えるというやつか。


「ええ。それをマーズに伝えようと来たのですが、たまたまお二人もギルドに来ていただいていると聞いたもので、直接お話に来たのです。単刀直入に言いますと、私の娘の護衛を頼みたいのです」


 あ、そういえばラグルスには子供が2人いたのだったな。上が女の子で下が男の子だったか。


「あ、そうなんだ、ちょうどいいや。ラグルスくんの娘…といえばルシーダちゃんだっけ?ポルトゥスに何しに行くの?観光旅行かな?」


「さすがムジカ様、よく覚えておいでですな。ルシーダはもう18になります。私も娘が可愛いのでついつい甘やかしてしまい、あまり外に出さなかったのですが、この度ポルトゥスの方のあまり良くない噂も聞いたもので、見聞も兼ねて様子を見に行かせようとしたのです」


 ムジカに対してラグルスは答える。


「そうなんだね。まぁラグルスくんの娘ならどこぞの貴族の護衛よりずっといいよ。で、いくらかな?」


 いくらとは、報酬のことを言ってるのであろう。


「報酬についてはマーズに任せております。私より金勘定も得意なもので。そして、申し訳ないのですが、私は他へ用事がありまして、ここで失礼いたします。出立しゅったつは明日の日の出から一刻ほど後でよろしいですか?このギルド前に、私の馬車を迎えによこします」


「わかった。じゃあ明日の朝、よろしくね」


 ラグルスはすぐに退席した。


「ムジカ様。さっそく今回の報酬についてですが。マグヌス卿のお嬢様ということも踏まえ、金貨100枚でどうでしょうか」


「えっ!!」


 マーズの言葉に驚くアルド。自分が普段聞かないような大金だからびっくりしているのであろう。


「んー、マーズくん。僕とグラティアのこと、舐めてもらっては困るよ。どこぞの王国騎士団が束になっても、僕たちよりは弱い。逆に言うと、僕たちがいれば絶対に安全ということだよ。200でどうだい?」


 ムジカはこういう交渉事は得意らしい。私は一切ノータッチだ。面倒なことには関わらないに限る。


「ムジカ様…お二人のことを決して侮っているわけではございません。ですが、金貨200枚というと、私どものひと月の家族の生活費よりも高うございます。では130でなんとかお願いいたします」


「んー、まぁ僕たちはいいんだけどね。依頼なんて受けなくても。でも君はラグルスくんに頼まれた以上、僕らを帰したとしたら、困るんじゃないの?仕方ない、150でいいよ」


 マーズは部屋の端のほうを見つめながら頭の中で計算をしているようだ。そして、ムジカのほうを向いた。


「わかりました。ではそれでお願いします。あ、その代わりにお願いがあるのですが…ポルトゥスに行った際に、いくつか採取いただきたい素材も聞いてもらっても良いですか?できればで構いません」


「ん、いいよ〜それは。どうせあっちに行くついでだし。んじゃまあそういうことで。受付で手続きだけ済ませて、また明日の朝に来るね」


 どうやら交渉は成立したようだ。その場でマーズと別れ、受付で手続きを済ませた。今回はラグルスから直接の依頼なので通常とは違うのだが、書面で依頼内容と報酬をきちんと文字におこし、それから依頼を受けた者の名前を書く。


「おい、ムジカ。私の分も一緒に書いておいてくれ」


「ダメだよグラティア、これはちゃんと本人が書かないとダメなサインだからね。はい、アルド。ここに名前を書くんだよ」


 アルドも名前を書く。んー、仕方ない。私もアルドの書いた下に名前を書いた。


「あははっ、グラティアは相変わらず字が下手くそだね〜。アルドのほうが上手いんじゃないの?」


 ムジカは人の心をえぐるようなことを平気で言う。まぁ私は気にしないがな。


「字の綺麗さで、人の優劣をはかることができると思うか。私はそうは思わないぞ」


「あれグラティア、負け惜しみかな?」


 相変わらずムカつくやつだ…。



◇ ◇ ◇



 そして、次の日の朝。

思いのほか、無事に交渉が済みほっとする一同。


ラグルスの娘ルシーダを護衛する依頼を受けたわけだが、


ラグルスの娘はどんな人物なのか。

ポルトゥスへは無事にたどり着けるのだろうか。


◯登場人物


グラティア(慈愛):エルフ族の女性、256歳。ルミノース国生まれ、ルミノース育ち。精霊魔法を使える。街中で出会った人族のアルドに興味を示し、行動を共にする。


アルド(情熱):人族の男性、16歳。2人暮らしだった父フィデリスは不慮の事故で亡くなる。グラティアに好意を寄せるが…。


ムジカ(音楽):エルフ族の男性、320歳。吟遊詩人。

色々な国や、世界を巡りながら、詩を綴る。グラティアとアルドの2人のことを気に入っている。女たらしだがグラティアのことは口説こうとしない。


マグヌス伯爵ラグルス・ラジール:人族の男性、42歳。マグヌス領を治める貴族。思慮深く、温和だが、したたかである。クラルス(清潔)


マーズ子爵アヴァルス・マーズ:人族の男性、38歳。冒険者ギルド、商人ギルドを管理する貴族。元商人で金で爵位を手に入れた。名前通り強欲ではあるが、経営力は抜群である。アヴァルス(強欲)


◯マグヌスプチ情報

マグヌス伯爵、ラグルス・ラジールには2人の子供がいる。ルシーダ・ラジールという18歳の女の子と、ウィルトゥース・ラジール、10歳の男の子である。娘を遠方に旅に出すと言うのは一見危険なことではあるのだが、ラグルスに取っては、婿探しとポルトゥスへの外交の意味も含んでいるので、金貨150枚という報酬は安くはないが、無茶な額ではないようだ。

金貨150枚とは現代で言うとおよそ300万円くらいである。マーズは金貨200枚が自分達のひと月の生活費より高いとボヤいていたが、ひと月で400万円かかるとしたらどんな贅沢をしているのだろうか。

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― 新着の感想 ―
出発まではいけなかったかぁ。 (╹▽╹) 次話はいよいよ出発かな? (´・ω・`)
月に400万の生活というとアレだが、封建制な地域なら金のある貴族が金を使わないと経済が回らないからなあ。 ちなみにワタシ的には、字は綺麗に書こうと努力している事に意味があるとは思うかな?
 400万円!!……しかし衣食住にも気を遣わねばならないでしょうし、使用人の給金などを考えますと、そのくらいにはなるでしょうね。むしろ貴族としては慎ましいかと思います。  ルシーダ嬢はアルドと同い年の…
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