狂おしいほど誰かを愛したい
思い付きで書き始めたのでつたないところもあると思いますが適当に見ていってください
学校の屋上。本来なら封鎖されているこの場所に僕は忍び込んでいた。
「…つかれた」
本当に疲れた。どうして僕は生きているのだろう?夢なんてない。やりたいこともない。毎日ゲームをして無駄な時間を過ごす。こんな生活に何の意味がある?今までは勇気がわかなかった。誰かの迷惑になると思った。だけど、もういい。そんなことを考えるのは面倒くさい。
「さっさと終わらせるか」
手すりの外側に行き下を眺める。高い。これだけ高ければさすがに即死できるだろう。「おやすみ、世界」そう言って飛び降りる。
「まって!」
…はずだった。急に声をかけられた。振り向くと、視界の先には黒色の長い髪をなびかせている、いわゆる美少女と呼ぶべき人間がいた。なぜ?どうしてこんなところに人がいる?
「ねえ君、そんなに死にたいの?」
なんだこいつ?自殺する人を見逃せない!とか言うタイプの人間なのか?
「ねえなんで無視するの?」
そう言われてハッとする。質問に答えていなかった。
「…別に死にたい理由があるわけじゃないよ。それと同時に生きる理由もないだけ」
「どうして?好きな人とかいないの?」
「いないよ、そーゆーのがいたらこんなことしてない」
こいつのせいで無駄な時間を過ごした。こっちは早く飛び降りたいというのに。
「じゃあ僕は飛び降りるから。お先に失礼」
「ちょっと待ってよ!せめて名前とか教えてよ!あたしのこと気にならないの!?」
「どうでもいい」
「もっと話そうよ!」
「お前と話す理由がない」
「わたしにはある!」
「なぜ?」
「君のことが好き!」
「は?」
は?何を言ってるんだこいつ?急に好きって、意味が分からない。
「僕とお前は初対面だろう、何を言ってるんだ」
「初対面じゃないよ。前に一度会ってる」
いつのことを言っているんだ?こいつと会った記憶なんて一ミリもない。
「悪いが記憶にない。人違いじゃないのか?」
「この高校の受験本番の帰りにナンパされている女の子を助けたでしょ」
そういえばそんなこともあったような気がする。しかし彼女はあの時の女子と似ても似つかない。
「助けたけど、まさか僕が助けたのってお前?」
「そうだよ」
まじか。ただの暇つぶしで助けただけなのに、こんなところでじ邪魔になるなんて。
「ずっと君のこと探してたの。それで今日やっと見つけて、それなのになんか自殺しようとしてるし…」
「それで慌てて止めたってこと?」
「うん」
「ばかばかしい。僕の邪魔をしないでくれ」
「…ずっとお礼を言いたかったの。助けてもらったとき君はすぐにどこかにいちゃったから」
「お礼なんていらない。あんなのはただの暇つぶしだ」
「それでも言いたかったの」
律儀な奴だ。だからと言って邪魔してきたのは許さないが。
「なんで死のうとするの?」
「お前に関係ないだろう」
「私は君に死んでほしくないの」
「お前が僕のことが好きというなら僕の好きにさせろ」
「やだ」
なんともまあ我儘な奴だ。
「わたしは君に幸せになってほしいの」
「随分と気持ち悪いことを言うね」
「気持ち悪くてもいい。君の幸せが私の幸せだから」
「じゃあ死ぬことが僕の幸せだったらどうする?」「一緒に死ぬ」
…こいつ、狂ってる。
「そんなに飛び降りたいんだったら一緒に飛び降りよ」
「いやだよ、お前まで一緒に死ぬ必要ないだろ」
「優しいんだね」
「チッ」
本当にむかつく。僕が優しいって?「僕は優しくなんてない」
「優しいよ。私みたいなよくわからない人でも死んでほしくないんでしょ?」
「そんなの誰だってそうだ。僕だけ特別優しいなんてことはない」
「それでも君は優しいよ」
こいつと話していると妙にイラつく。とても、ストレスがたまる。こんなことなら無視して飛び降りればよかった。
「ねえ、一緒にご飯食べに行こうよ。おなか減ってきてゃった」
そう笑顔で話しかけてくる。
「君は何が何でも僕を助けたいんだな」
「さっきからそう言ってるじゃん」
「うっとうしいんだよ!」
そういったとたん彼女は驚いた表情を浮かべる。
「僕はなあ疲れたんだよ!もうこの世に未練なんてないんだよ!だから早く死んで楽になりたいんだよ!」
彼女は困ったような顔でこちらを見る。
「それをたかが一目惚れして好きくらいで邪魔してくんなようっとうし…」
言い終わる前に僕の口は彼女の唇によってふさがれていた。
「わたし、君が思っている以上に君のことが好きだよ。だからさ、一緒に死の?」
彼女と話しているときにたまるストレスの原因が分かった。簡単なことじゃないか。僕は素直になれない僕にイライラしていたんだ。こいつならいいのかも。いやむしろこいつじゃなきゃ言えない。一目ぼれしていたのは僕のほうじゃないか。
「僕、君のこと結構好きだよ」
そう言って二人で飛び降りる。