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全てが終わったはずだったのに・・。

 夏休みが終わった。今日から二学期が始まる。

憂鬱、憂鬱、憂鬱。

夏休みが終わる二週間前からこの日が来るのが怖くて頭の中で、その二文字がぐるぐる回っていた。

学校に私の居場所はない。もちろん友達もいない。今の学校が大っ嫌い。私は学校っていう小さな社会で殺されかけていた。

憧れて入った高校だったのに。でもね中学生三年生で進路を決めるために訪れた現私の高校を見たとき私は他の学校では感じなかった憧れを覚えたの。可愛い水色のスカーフのセーラー服、温厚そうな先輩たち、頼りがいがありそうな教員たち。ここなら私は輝けるって、楽しい高校生活が送れそうだってその時確信した。


頑張って受験勉強してやっと受かった高校。最初は思い描いていた高校生活だった。友達もそれなりにいたし、私が言うのもなんだけれど友達には好かれていた方だと思う。けれどね。そんな幸せ、私が願っちゃいけなかったんだ。きっと、きっと、きっと、きっとそうだったって今でも思ってる。最初は些細なことだった。私は一部の人から悪口を言われるようになった。理由は不理屈だった。“いつも笑顔で何を考えているか分からない。だから嫌い。”と。その悪口はあっという間に友達の間に広がった。もちろん「そうかな。」と反論してくれる子もいた。けれど私は私のことを良く思っていなかった友達から段々無視や仲間外れにされるようになり私の周りには友達が一人もいなくなった。


馬鹿だよね、私。きっと罰が当たったんだ。そう思って笑っていられたらカッコいいけれど正直私にそんな余裕なんてない。

現に、周りの人からどう思われているのか全てを知ってしまったのに私はこの現状を受け入れることも出来ていない。

悪口なんて今の時代にはありふれたことなのに、私はどうしても受け止められなかった。誰にも相談できない。だから私の心は確実に壊れていった。


 入学当時と比べると失ったものはかなり多い。そのなかで一番つらかったのは笑えなくなったこととか感情が表現できなくなったことかな。


こんな私はボロボロになったのに、私の周りから友達が離れていった後からも、彼女たちによる毎日私に対しての嫌がらせは日常で続いていって、エスカレートしていったって言っても過言ではない。


でもね、心は正直みたいで、”心このままは絶対にいやだ!”て叫んでいた。だってこんなのおかしいよ。もう友達が欲しいだなんて思わない、人から好かれようとも思わない。ただ普通の高校生の暮らしに戻りたい、そう思った。いつまでも終わらないクラスメイトからの攻撃に抗いたかった。でも私ひとりじゃ無理だ。だから私は最後の力を振り絞って担任の秋山先生に相談した。


秋山先生は「つらかったね、もう大丈夫だよ。」って言ってくれた。


私は秋山先生の前で大号泣した。話を聞いてもらった後、該当生徒には話をしてくれると約束もしてくれた。その後、秋山先生はすぐに私に害を与えている生徒に話をしてくれた。けれども次は


「悪口言われてたくらいで先生にチクるなよ。」


と陰で言われるようになった。もし、秋山先生が注意してくれていたのであったら、こんなこと陰で言われないはずだと思い、秋山先生にまた相談してみた。

一通り話すと

「ちょっと待ってて。」

と言われ秋山先生は学年主任の近藤先生を連れてきた。そして、該当生徒の中で私に嫌がらせをしているといった生徒がいなかったことを告げられた。私は信じられなかった。

「でも、今も悪口を言われているんです。」

と反論した。すると近藤先生から


「君のクラスはそんな陰湿ないじめをする生徒なんていない。君は思いやりを持ちなさい。」


と怒鳴られた。秋山先生に目を向けると黙り込んでいる。私は絶望した。信じていた人に、もう最後の助け舟だと思っていたのに、その光が一瞬で消え去った。だから私は最後の力を振り絞って先生たちに言った。


「そうですね。」


と、満面の笑みで。今考えるとそれが私の抗いだった。それが夏休み前の暑い日のことだった。



 それから私の中で沢山の感情が上がった。孤独、つらい、苦しい、怒り、絶望。終いには何もかも“もういいや”って思うようになった。だから、私は今、こんなところに立っている。周りには見慣れた風景、下を見ると登校している学生がちらほら見える。

もうこんなところにいなくていい、目を向けなくてもいい、そう思うだけで心が軽くなる。

上を向けば青い空が広がっている。まるで私を歓迎しているみたい。私は固まった頬を上に持ち上げた。そしてカバンから遺書と日記帳を取り出して地面に置いた。


「ごめんね。お父さん、お母さん。」


私はそうつぶやいた。今日も笑顔で送り出してくれたお母さんきっともう私と生きて顔を合わすことなんてできなくなるとは思ってもみないだろう。私だって心残りだよ。何も親孝行していないし。でも、私の最期のわがままだったらきっと聞いてくれるよね。最初で最期の手紙が遺書何て本当に親不孝だけど一生許してもらえなくても良い、ごめんね。私は、屋上の柵をまたいで立った。風が心地よく吹いてる。


「私、地獄行きね。でもいい。私にとっての地獄はこの世界だから。」


私は少し震えている体にそう言い聞かせた。そして

「さようなら。」と言って目をつぶり空へと飛び立った。


これで全てが終わると思っていた。けれどこれからが、私の地獄の戦いの始まりだったのだ。


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