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~終わりよければ全てよし~

 さてさて、異世界より帰還して数日後っす。僕らの住んでいる元の世界に帰ってきましたらば、例の異世界で身に付いたスキルは完全に消失し、使用する事は不可能となっておりましたっす。んまあ、大体予想はしていましたっすが、当然でしょうな。それに、別にそこまで使える能力でもなかったので、例え無くなったとて、別段惜しくも何ともないっすけどね。これは自慢っすけど、僕って割と料理上手だったりしますっすし。家庭科の成績は特に良いんすよ。


 あとは、敷島先輩が申していた通り、「赤鬼&青鬼コンビ」の女体化も解けて、すっかり元の体に戻っちまいやしたっす。これで僕的「どきどきトゥンクハート」リアル物語はサービス終了のお知らせと相成った訳であるんす。残念無念チックショー!! (つД<)・゜。


 それから驚いたのは、時間の流れもこちらと異世界とでは、地球の時差どころの話では無く、全く違っていた模様っす。その度合いはと言いますと、僕らが異世界に行っていた間の時間は、こちらの時間では一分くらいしか経っておりませんでしたとさっす。あれまあ摩訶不思議だね。すると、その辺の謎も敷島先輩が解明できたご様子で、僕らに懇切丁寧に解説して頂きましたんす。ですが、半端ねぇくらいつまらない話だったもんでして、一ミリも頭に入ってきませんでしたっす。なので僕的に何も憶えていないっす。


 しかしまあ、考えてみると、異世界へ行ったなんて荒唐無稽な体験……もしや、あれは夢だったのではないか、などと思ったりもしますっす。


 そうっすね、ここで、良い感じのBGMと共に、良い感じで物思いにふける描写みたいなもんが入ればまさしくイイ感じなのですが、そいつは無理なお話ってな感じなのですぜ。


 んまあ、異世界へ行った事実を否がおうにも認識せざるを得ない存在が、普通に目の前にあらせられるものですからね。そうっす。元魔王こと、今は幼女姿であらせられるカミラちゃんですが、普通に「テク校」の制服を着て登校してきているし、普通に僕と一緒の一年桃組だし、更には普通に「溜まり場」でくつろいじゃっているもんっすからね。


 んまあ、それはそれとしてっすよ。カミラちゃんは同じ辛党同士の麻宮さんと直ぐに仲良くなったみたいっす。お互いに「溜まり場」の辛めなお菓子食べまくりパーリィにて意気投合したんす。麻宮さんサイドも、カミラちゃんが異世界出身の元魔王ってな事実もあっさり理解&受け入れたんすよね。流石ヲタっす。飲み込みが早くて助かるっすな。そいでもって、今現在は辛党女子同士で、二人して仲睦まじく、キャッキャウフフをしておられますのことよ。デュフフ、イイデスネ、こう言うの。めっちゃ和む~(●´ω`●)。


 ちなっすね、当り前の様にケルベロスのケルも連れて来ているんす。や、今やすっかり「溜まり場」のマスコット兼アイドル扱いなんすわ、ケルちゃんは。聞くと麻宮さんもワンコやニャンコは大好物で、例に漏れずケルちゃんをモッフモフにモフっていやがります。ぬほほ。いやあ、かあいい女子&かあいい動物の組み合わせって、僕的にはいつまでも見ていられる癒しの風景ですのん。ああ、それから麻宮さんってば、例の禍々しきダサいマスクは取っ払っちゃって、現在では付けておりませぬのだぜ。うぬん、彼女は素顔の方が普通に可愛いですからねん。正しい判断だったと僕も思うのだわん。


「ほれほれ、じっくりご覧あれなのじゃ進よ。今日子お(ねえ)ちゃん(元魔王であるカミラちゃんの方が圧倒的に年上なのだが、麻宮さんたっての希望で今日子お(ねえ)ちゃんと呼ばせている)に妾のヘアアレンジをしてもらっておったのじゃ。どうやらこの髪型はツインテールと言う名称なそうじゃな。どうじゃな? あまりの愛らしさにひれ伏したくなったじゃろうが♡」

「うふふ、カミラちゃんは見た目が幼いきに、こっちの方が断然似合うって言うたろうがえ。と言うがわよ、ゆんべに家でTV〇rでバラエティ番組を観よったらねえ、超人気女性アイドルグループの超ときめき〇宣伝部(伏字の意味よ再臨)が出ちょったがよ。それでその時にメンバーのみんながツインテにしちょったがやき。いや、バリ可愛いやかって一目惚れしたがね(歓喜)♡ほんで絶対カミラちゃんに試したいわーってなったがよえ。ちゅうか、やっぱ思うた通りに、げにまっこと似合うちゅうやいかー。いやーーー! 最上級にかわいいくて、尚且つ超最強やきーーー!!!♡(熱狂)」←それやったら先のエピソードで話題に出とった、フ〇ーレンの普段の髪型である高めのツインテール(ハイツインテール)で良かったやん? ってなツッコミとかいらんで。ちゅうか麻宮今日子は異世界に行ってまへんしの。ふははっ、残念やったなアホボケカスナス(必死)。


 ……うひひ♡わしの「とき宣(超ときめき♡〇伝部のグループ名略称)」の神推しはな、担当カラー・超ときめき♡レモンのあきちゃんこと菅〇愛貴ちゃんじゃわい。最早あの娘しゃんは、この地上に舞い降りた天使と云っても過言ではない存在じゃて。令和一可愛いアイドルの称号は伊達じゃないんじゃわい。あきちゃん個人のY〇uTubeチャンネル・すだあきちゅーぶ〇(隠す気が無いのも大概にしろ)にて、愛犬のアテナちゃんことあーちゃん(チワワとトイプードルのMIX犬✨チワプー)との共演はの、誰しもがハートを鷲掴みにされる堪らなさで満ち溢れておるからして、一見の価値ありじゃぞい。むほほ♡きゃわわ女子×かわちい動物の組み合わせって無茶苦茶最強で、てぇてぇ(尊い)なんじゃよ。←の掛け算で発生する現象が世界的に浸透すれば、現世に蔓延る争い事は完全に消失すると、わしは本気で思っとるんじゃぞい。そうさのう、正に先述のケルベロスと女の子達との掛け合いの尊さを裏付けする物的証拠映像となっておりますですじゃよ、うひょひょ♡←どうせまた天の声なのだろうけど一応ツッコんどくわ。てめえは誰だよ(CV:中〇悠一で再生してお楽しみ下さい)。※CV:杉〇智和でも可。←なんでやねん


 ちな、わしの二推しはじゃな、担当カラー・超ときめき♡ブルーのかなみん宣伝部長リーダーこと辻野か〇みちゃん&担当カラー・超ときめき♡パープルのジュリたんこと杏ジュリ〇ちゃん(2026年3月29日をもってグループ卒業)&担当カラー・超ときめき♡レッドのひとちゃんこと坂井〇香ちゃん&担当カラー・超ときめき♡ピンクのおはるちゃんこと小泉〇香ちゃん&担当カラー・超ときめき♡グリーンのひよりんこと吉川ひ〇りちゃんじゃい! にゅほほほ♡←全員じゃねーか! そこはあきちゃん寄りの箱推しです~、で済む話だろうがよ! にわかアイドルファンなのがバレバレやんけ! つか、おめえの推しメン情報なんぞ、最上級にどうでもいいの!


 ……にゅほほ♡これは余談じゃが、何よりわしが「とき宣」に夢中になった発端を述べ表す事としようかの。それはな、彼女達が某ニンゲン観察バラエティ番組なるものに出演しておるのを、ふと何気にわしが聴視した際の事じゃった。放送内容は全面透明のカラオケBOX部屋にて、外側の周囲に集まったファン達の目の前でカラオケを熱唱。そこで95点以上を叩き出せっちゅうシンプルな趣旨のコーナーじゃったわい。そして彼女達の選択した歌は、勿論本人達の大ヒット曲である「最上級にかわいい〇!」じゃった。先に結論から言わせてもらうとじゃな、彼女達の獲得点数は92点であり、残念ながら挑戦失敗と相成った訳である。じゃがしかし、そんなもんは取るに足らぬ問題なのじゃよ。ここで最も特筆すべき点なのは、「とき宣」が歌唱に励んでおる間に、彼女達自身が如何なる行動を取っておったのかが肝腎であるのじゃな。そこん所に気が付いたその拍子に、このわしは心底感心してしもうてのう。そう、それはじゃな、何と彼女達は歌っている真っ只中にも拘わらず、快活に応援をしてくれておるファンの人達に向けて、隙あらば笑顔&手振り&手ハートポーズ等々のファンサービスを敢行しておったのじゃよ。それのみか、特に(いとけな)い子供達のファンに対しては、彼女達が弾けるスマイルと共に、何度も繰り返して声援に応えてあげちゃうと言う徹底ぶりよ。言わずもがなじゃが、その様な慈愛のファンサを返してもらったラッキーキッズ界隈はそりゃもう大喜びよ。左様、幼少期の記憶や経験諸々は、その後の人生に大きな影響を及ぼすからしてのう。だもんで、件のちびっ子達からするとじゃな、斯様な嬉し過ぎる神対応だとか、一生物の素敵な思い出となったじゃろうし、益益以てして「とき宣」の事が「すきっ!〜超ver〜」となった事であろうて。それと、これは後で聞いて知った事なのじゃが、「とき宣」メンバーの小さなお子様への応対がとても優しいとの逸話は、以前からのファン達の間では既知の事柄だったみたいじゃわい。しこうして、かくの如き微笑ましき模様は、しっかりと地上波でオンエアされた形な訳じゃの。そうした心温まる理想郷の光景が、随分と長らく空虚であったわしの魂をぐわんぐわんに揺さぶりまくりで、延いては心拍数もガンガンに上昇でヤバヤバなのじゃよ。……ぬう? 何じゃと? 「それ恐らく加齢による不整脈やで」じゃと? じゃかましいわ(笑)……と言いたい所じゃが、ひょっとしたらば、そうかもしれんのう(素直)。脱線した。時を戻そう。よもや精も根も尽き果てて→アイドルと名の付くカテゴリにはこれっぽっちもアウトオブ眼中で年齢を重ねてしもうたわしみたいなもんが→まさかのゾッコン状態にされるとは青天の霹靂だったと言えようぞなもし。まあ、要するに何が言いたいかと申し上げるとじゃな、心も体も美しいうら若きお嬢さん方アイドルの、誠に天晴れで真摯な態度に、とうの昔に老いさらばえた「わしのハートですらもロックオンっ♡」されたっちゅう事じゃてな、ふぇふぇふぇ♡←いや、まだ続けるんかよ! しつけえ割にはペラくて長げえしwww あのさ、この場はお前の日記帳じゃねえんだわ。個人的な感想だったらチラシの裏にでも書いてろよって話な。だからもう二度とここには来るんじゃねえぞ、キモい爺さんよ。大人しくずっと家で寝てろや、もうええわ、はい終了(笑)。


 キモジジイは さいきふのうの ダメージを うけた!! キモジジイは しんでしまった! キモジジイは ぜんめつした。


 ぼうげんのしょをつくる ▷ぼうげんをスルー


 天の声は滅びぬ! 何度でも蘇るさ! このワシの力こそ本作の肝 (キモいだけに)だからだ!! by ロムスカ・パロディ・キモウル・ラピュタ(宮〇駿監督の欲望を具現化した姿)←怒られてもろて(笑)



「にゅふふん。響輝からも念を押されて注意を受けておったのじゃが、こちらの人間界では、この妾の頭の角は目立ってしまうらしいからの。このツインテールなる髪型ならば、妾の角を誤魔化す事も出来て、尚且つ愛らしさもアピール出来る一石二鳥のヘアスタイルなのじゃよ♡」


 ……ええっと、お言葉ですっすが、カミラちゃまの頭から天に向かって鉛直に、それでいて逞しく聳え立っておりまする角は全く隠せてもいないし、誤魔化せてもおりませぬっす。むしろ丸見え状態ですぜ、おぜうさん。ですが、ここは空気の読める男の僕で御座います。黙っておきやしょうね、そうしやしょう。


「ブハハ、全然誤魔化せてねーっつーの! 角とかモロ見えじゃねーかよゴルァ(大爆笑)」


 おっと、ここに僕と同じくらい空気が読めない甘味君(クソ)が居たんだったよ。


 異世界から帰ってきてから数日経つが、あれから甘味君は何時の間にやらこの「溜まり場」に勝手にたむろするようになったんす。


 なので、僕は数日前に蘭丸先輩&響輝先輩に聞いてみたんす。そん時に、こっそりボイスレコーダーにて録音した会話の記録がコレっす。↓


『あ、あの、蘭丸先輩に響輝先輩……甘味君が何の違和感も無く、ここ「溜まり場」に居座る状況なんすけど、これは何も問題無いんすかね?』

『あー、別に良いんじゃね(笑)。変な奴だけどさー、甘味っちも一応ヤンキーだし(笑)。だよなー、響輝ー(笑)』

『ふふっ、蘭丸が構わないのでしたら、私からは特筆すべき事項はございませんよ♪』

『そっすか。了解っす。そんな事より、昨日僕は男女の陰部の新しい呼び名を思い付いたんすけど――(音声はここで途切れている)』


 とまあ、んな感じでとあっさりと受け入れられたんすよね。かくして甘味君も「溜まり場」に出入りする権利を有したという訳なんす。


「おいおい、(すす)ちゃみよーゴルァ。オレ様の本日のヘアスタイルはどうよゴルァ? いつもは洋菓子が基本なんだけどよゴルア。今日は和菓子のお饅頭ってな気合の入れようだぜゴルァ。感想プリーズだぞゴルァ」


 うおおおお、超どうでも良いわ。そいつに答えるカロリーは、恐らく和菓子百個分のソレを軽く凌駕するだろうから、テキトー言って軽くいなすとしようっと。


「あー、そうね。別に良いんじゃね?」


 僕の淡白な返事に、当の甘味君はこの世の終わりの様な悲しき表情をする。流石にちょこっとばかし可哀そうかなと思ったので、僕は話題を変えるネタを探してみたんす。すると二種類のチョコ菓子が視界に入ったもので、咄嗟に手に取って思い付いた事を口にしたんす。


「そ、そんな事よりさあ、このエ〇ゼルパイとチョ〇パイって、買う時にどっちがどっちだったか迷ったりする事ってありますっすよな?」


 すると僕のこの発言に対して、烈火の如くブチ切れた甘味君が反論してきた。え、何よコイツ。ウザ。


「馬鹿やろうゴルァ! あれは迷うまでもなく別物じゃねーかよゴルァ! 見た目はどちらもチョコレートに包まれた円盤型のケーキだがよゴルァ! エン○ルパイとチョコ○イは、メイクとすっぴんの差くらい違うんだぜゴルァ! いいかゴルァ! エンゼ○パイの中身はビスケットで挟まれたマシュマロだぜゴルァ! チョコパ○はケーキ生地の中にバニラクリームだよゴルァ! そしてエンゼル○イは森〇製菓製造で、チョコパイはロ○テ製菓製造だぞゴルァ! 迷う迷わないじゃねえんだよゴルァ! つまりは両社は別物ってこったぜゴルァ! 今度舐めた事抜かしてっと殺すぞゴルァ!」

「えぇ……たかがチョコ菓子一つで命まで取られるレベルとは……もうチョコ菓子食うの止めるっすわ」

「うおっと、そいつは駄目なんだぜゴルァ。チョコレートに罪はねえからなゴルァ。これからもどうぞ、末永く宜しくお願い致しますだぜゴルァ」

「はい。かしこまりましたっす」

「いや、素直だなゴルァwww 所でよゴルァ。進ちゃみはきのこたけのこ戦争の事をどう思ってんだよゴルァ?」

「ああ、明○製菓のチョコレートスナック菓子「き〇この山」と「たけ〇この里」のどちらが美味しいのかと言う、消費者間の論争の事ですよね。うーん、そうっすね……僕はどっちかと言うとキノコ派で……」

「ばっきゃろうゴルァ! ここ迄の流れで空気読めやゴルァ! ここはどっちも派と答えるべきだろうがよゴルァ!」

「え、あ、はい、すみませんっす……」

「ったく、甘党ってのはなゴルァ。全ての甘露を愛してこそ甘党を名乗れるんだぜゴルァ。甘党を極める道ってのはよ、甘いけど甘くはねーってこったよゴルァ」

「ちょっと何言ってるか分からないっす。そもそも、そんなもん極めたくも無いですしっす」

「お、そうやなゴルァ。まあよ、要するにオレ様が言いたい事はだなゴルァ、お菓子の事ならこのオレ様に何でも聞けやってこったよゴルァ。どんな事でも答えてみせるぜゴルァ」

「あっ、じゃあさ、僕ってばカメが好きなんだけど、ソイツの質問はオッケイ?」

「あ? 何でこの流れで爬虫類の亀の質問なんだよ進ちゃみよゴルァ。いくら世界一優しき、このオレ様でもだなゴルァ。話がいきなし飛び過ぎで、怒りが頂点に達しちまいそうだぜゴルァ(笑)」

「いや×2、れっきとしたお菓子の質問ですだよ。カ〇リーメイト、略してカメだよ」

「いや×2、そんな略し方をしている野郎は初めて見たわゴルァ。まあ良いやゴルァ。ほんで質問ってのはなんぞやゴルァ」

「うん、そのカメのブロックタイプの事なんだけどさ。あれって遠足の時にお菓子に入れて良いのか迷うよね。それこそ、これはきのこたけのこ戦争に匹敵するレベルの討論ネタなのだと思うのだけれど、どう思うっすか?」

「いや、そうはならねーわゴルァ。紛れもなくカロ〇ーメイトブロックタイプはお菓子だわゴルァ。パッケージ裏にも名称で「菓子、栄養調整食品(固形タイプ)」ってしっかり明記されとるわゴルァ」

「うん、知ってる。知ってて敢えて甘味君をおちょくってみたんす」

「何なんだよ、お前はゴルァ。オレ様の事は馬鹿にしても、OCM(大〇製薬のカロリ〇メイト)のことは嫌いにならないで下さいませだぜゴルァ!」

「はは、受ける。元A〇Bである、あっちゃんの伝説の名言みたくなっとるやん。トゥームレイダー! じゃなくって︎フライングゲット!」←それキンタ〇ー。や←伏字で卑猥になっとるしよ(笑)


 すると甘味君は物凄く物悲しい顔になるんす。終いにはめそめそと泣きだしてしまう始末だっす。いや、そこは自身でボケたんだから満面の笑みを見せるとこだろうがよ。今の時代そのリアクション取られたらもう終わりなんだよボケが。はいはい、僕が悪かったっすよ。ごめんねっす。てか、何だこの会話は(笑)。


 そんなさめざめと泣いている甘味君に、麻宮さん&カミラちゃんが甘味君の頭をよしよしヾ(・ω・`)して、今回のコントは終了っす。ああん、んだそのご褒美はよ! 卑怯だぞ! その位置、僕と代われや、甘味この野郎! くそが! 羨まし過ぎるっす!


 さてと、そんな感じの本日「溜まり場」なんすけど、今日は蘭丸先輩も響輝先輩も来るのが遅いっすな~と思っていた矢先であるっす。僕のスマホに蘭丸先輩からのメッセージが届いたのだっす。


『(笑)ウチってば「ヤバ校」の番長に響輝共々拉致られちったwww 「ヤバ校」校舎の2階・2年A組の教室まで助けに来て進っちー(笑)』


 うーん、攫われたにしては軽い文章だなあっす。しかしながら、ちっとも緊迫感の無い文体に違和感を感じつつも、これはヤバい事になったと思い立つ僕っす。


 そしてそんなタイミングにて、松本先輩&敷島先輩が「溜まり場」に乱入して来やがったので、お二人にもメッセージの内容を話したんすよん。


「いやぁ~ん、「ヤバ校」の連中共、いい度胸じゃないのさぁ~ん。全校生徒まとめて地獄送りならぬ「桃源郷」送りにしてやろうじゃないのさぁ~ん♡」

「ふむう。良い機会なのですぞ。これから「ヤバ校」に乗り込んで全面戦争なのですぞ」


 ……あれま、いやに血気盛んで好戦的な姿勢ですことよんっす。とまあ、こげな感じで二人してやる気満々で仰りまするっす。おおっと、何だか大変な事になってきたっすな。


 そして、更にこれに甘味君が続く流れなんすしんすせんす。


「そう言えばよーゴルァ。進ちゃみのスマホの着信で思い出した事があんだよなゴルァ。……オレ様がここの「溜まり場」に来出してから数日が経つけどよゴルァ。オレ様ってば、この「溜まり場」にたむろってる連中の連絡先を誰一人として知らねーんだよなゴルァ」


 かくして、「溜まり場」の空気がピンと張り詰めるんす。そして、暫しこの場に居る全員の沈黙が続くっす。……や、そりゃそうだろうとっす。だって頭がケーキのサイコパス野郎と、喜んでお友達になりたいって人間がこの世に居ると思うのかよってねっす。


 そこで僕は咄嗟に叫んだっす。


「い、今はそんな事よりもっすね! 先輩方が拉致された事が優先でしょうがっす!」

「ああん! 何だとてめーゴルァ! そんな事とは何だゴルァ! オレ様に取っちゃ、かなり重要な事でゴルァ……って、まあ、それは進ちゃみの言う事が正論だわなゴルァ……すまんなゴルァ……今の話題は、また後日に聞いてくれよなゴルァ……」


 ふぅ、何とかこの場はやり過ごしたぜっす。甘味君が素直でよゐこで助かったぜっす。別名馬鹿とも言うっす(笑)。←オイ


 ついでに言うと、カミラちゃんも響輝先輩からスマホを与えられているんす。驚くべきは、ケルちゃんにまで携帯を持たせている事っすよ。果たしてワンコにスマホって扱えるんすかね……GPS代わりにはなるんだろうけどさ……って、今はそんな事どうでもいいやっす。


 そんなで、先輩方を助ける為に、全員総出で「ヤバ校」へと救出に向かう事になったんす。移動手段はと言いますとっすね、現在三年生で既に車の普通免許を所有する敷島先輩のハイエースワゴンにて、ヒアウィーゴー「ヤバ校」ってな感じでお決まりしたんすな。


 ……と、その出動前にっすな、この僕が瞬間的に閃いたナイスアイディアがあったんす。そいつを皆に即刻その場でお話したんすよ。


 そのナイスなアイディアとは、まずは僕が「ヤバ校」に一人で乗り込みやして、何やかんやあったのち「ヤバ校」生徒に囲まれて僕ピンチっす! ってな絶体絶命状態で、他のみんながカッコ良く現れて助けに来てくれるってな作戦だっす。だってこっちの方が映像化した際に、演出的にも映えまするし、何よりもエモいじゃん――と、僕は満面の笑みで言い放ったんすな。


 するってーと、つかの間の静寂のあと、皆の顔が呆れ顔でドン引きしているのが伺えるんす。あららん、また僕ってば何かやっちゃいました? そして、その直後に間髪入れず甘味君に「馬鹿かテメーはゴルァ! こんな時にヘラヘラと笑いやがってふざけてる場合かよゴルァ! 空気読めよなゴルァ! ……ったく、サイコパスかよゴルァ」とマジ切れされた。


 そうして今度は僕の方が泣き出しまするっす。と同時に、ラッキーとも思ったんす。だって、これにて麻宮さん&カミラちゃんに頭をヾ(・ω・*)なでなでしてもらえるっすからね♪


 しかし、そんな思い描いた風には一切ならず、皆は敷島先輩の車に乗車する為に、さっさと「溜まり場」から退室してしまったっす(泣)。


 ふふん、どうかね、僕のこのKY&人望の無さっぷりはっす。こんなもんっすから、伊達に今の今まで友達ゼロカロリーのぼっち・ざ・ろっく! はヤってませんやっつーの、わっはっは(泣笑)。あと甘味君に空気云々を言われるのが一番効いたっす(号泣)。


 それからなるはやで敷島先輩のマイカーに全員で乗り込み、「ヤバ校」へと急行する僕らだっす。うむ、ハイエースに乗り込む不良と女子生徒か……何だか誘拐もののエロ漫画を思い出して前かがみになる僕でしたっす(笑)。←馬鹿は死ななきゃ治らない。マジでこいつ殺すしかねーな


 さてさてん。「ヤバ校」へと向かう車内での約一時間の道中っす。さっき甘味君に叱られたこの僕ってばさ、思いのほかショックだったらしく、ずっと「ごめんねっす」を連呼しつつ、泣きべそをかいていたのは言うまでもないだろうっす。しかしですな、流石にその泣きっぷりが30分も続いたとなりますと、他のメンバーも可哀そうに思ったのか、「もう泣きやむのじゃ進よ」「別に悪気はなかったがよね」「オレ様も怒鳴って悪かったよゴルァ」などと、何故か他のみんなが謝罪を始める奇妙な現象が起きていたんす。更には甘味君から「ほらよ、極上のアメちゃん舐めなゴルァ」と高級な飴玉も貰ったし、何だか知らんがラッキーだったっす。ケルちゃんも僕の頬をペロペロ舐めてくれるし、何だかんだ、みんな優しい。いっぱいちゅき♡愛してる。


 うおいっす、そんなで「ヤバ校」に到着だっす。校舎の窓ガラスは割れ、壁には色あせた落書きが重なっていた……ってな事も無く、案外普通の学校であったっす。いや、むしろうちの「テク校」校舎よりも綺麗まであるぞコリャ(笑)。とりま、「ヤバ校」校門は閉じられていましたので、容赦なく車ごと体当たりにて、扉をぶち破って乱入っす。敷島先輩曰く「ふむう。これくらい派手な方が盛り上がりますですぞ。こんな事もあろうかと、ハイエースの装甲を戦車ばりに改造しておいて良かったですぞ」との事っす。ちな、敷島先輩は免許取り立て三日目との事っす。


 そんなもんですっすし、何と敷島先輩は徹夜でタイムマシン制作に夢中であった為に、このあと急激な睡魔に襲われ、いきなり眠ってしまったのだっす。おやすみなさいませ。


 しかも、加えて松本先輩までもが車酔いでグロッキーダウン(タウン)状態っすよ。「いやぁ~ん、お酒には酔わないんだけどぉ~ん、己と車にだけは酔っちゃって駄目なのよねぇ~ん♡」なのだとっす。やかましいわ。そして何度だって言うぞ。お酒は20歳になってから!


 そうしますとっすね、間もなくしてから、「ヤバ校」生徒共がぞろぞろと現れくさり、ハイエースの周りをぐるっと囲むんす。ほいで、あっという間に「ヤバ校」生徒共が数百人を軽く超える人数で集合したのだっす。そいつら一人一人が「カチコミかこらあ!」「出てこいや、おらあ!」などの罵声が飛び交っているんす。幸いにして、ドアも窓もロック状態で助かったっすわぁ。


 それにしても、連れて来た「テク校」の連中は糞の役にも立たねぇなと思っていたらば、ここで甘味君が「チッ、40人や50人くれーなら、オレ様一人でも楽勝でぶっ殺せるがよゴルァ。流石に100人超えて来たかよゴルァ。こいつは骨折りを強いられるぜゴルァ」ですとっす。


 ああ、そうっすよな。最近は毎日甘味君と一緒に居てすっかり忘れていたっすけれど、この男ってば、あの喧嘩無敗で名を轟かしていた甘露甘味っすわ。アホな面と頭髪が際立って霞んではいたんすけれど、僕らの同世代間では最強クラスの腕っぷしを誇るヤンキーなんすよな。


「だがよぉ、進ちゃみよゴルァ! オレ様に妙案があるってんだよゴルァ(爽やかな笑顔)」


 なるほどっす。流石は甘味君であると感心したのも束の間である。(この阿保)が言うその作戦とは、麻宮さん&カミラちゃんを、新人アイドルユニットと称して、可愛らしいフリフリなアイドル然とした制服衣装に身を包ませ、ニセ握手会を開催して誤魔化すというゴミの様な作戦であったのだっす。


「ちなみにユニット名も既に考案済みだぜゴルァ。麻宮今日子の名前から「麻」の部分を頂き、カミラ・フローラの名前から「フロ」の部分を抽出したのち、併せて「朝風呂」ってな名称でどうだよゴルァ」

「「「「「ダサっ!」」」」」

「オイオイ、ここに居る全員で一気にハモって即答すんなやゴルァ。オレ様ってばショックでこの場で再び泣きじゃくっちまうぞゴルァ。それに宏パイセンと栗栖パイセンはグロッキー状態で喋れねーんじゃねーのかよゴルァ。大人しく寝てろよゴルァ。お大事にだぜゴルァ(笑)」

「うーん、てかさあ、甘味君ってさあ? こんなフリフリのアイドル衣装をいつも持ち歩いているのっす? ってか、どっから出したんすかよ?」

「おうよゴルァ。そんなもんドラ〇もんの四次元ポケットをちょっとだけ借りて来たに決まってんじゃねーかよゴルァ。まあ返却する気も無いからして借りパクだけどなゴルァ(笑)」


 当り前のように答える甘味君の清々しき顔よっす。行動だけはジャイアニズムっすな。しかし、あっけらかんと何を言っているんだコイツは。現実と漫画の区別が出来ないキ〇ガイかよっす。色々とややこしい事になるからもう黙ってなよっす。


「おい×2、ちっくと待ってちや! あーしにそがなフリフリのアイドル衣装を着して、笑顔を振りまけって言うがかえ。あんまりおちょくりなよ!」

「そーじゃ×2、今日子お(ねえ)ちゃんの言う通りなのじゃ! 仮にも元魔王である妾が、こんな人間の、しかもド庶民の機嫌を取る為に、なして愛想よくせなならんのじゃ!」


 そうは言いながらも、麻宮さん&カミラちゃんはテキパキとフリフリなアイドル衣装に着替えるっす。案外ウッキウキのノッリノリじゃねーかよっす。うぬん、お二人ともに、吐いた台詞とは真逆のニッコニコ笑顔で草生えるんすよ。ったく、分かりやすいおぜうさん達だぜっす。


 更には、握手会の列に並んでくれた人達には、甘味君がこんなこともあろうかと持ってきていたお菓子の詰め合わせセットをプレゼントの出血大サービスであるっす。


 甘味君曰く「フン、日本人はロリコンとどスケベだらけだからなゴルァ。しかも、高校生でお菓子に「ときめきトゥンクハート」にならない輩なんぞいねえぜゴルァ」との事ですっす。「加えて「ヤバ校」の偏差値の低さ、延いては頭の悪さをなめんじゃねえぞゴルァ」とも甘味君は続ける。「甘味君って、「ヤバ校」に入学予定だったって言ってたっすよね? 自分で言ってて悲しくならないっすか?」と言おうと思ったっすが、大人な僕は言葉を呑んだんす。


 そして、このお馬鹿な作戦は見事に成功し、きちんと並ぶ「ヤバ校」生徒達の姿が不気味だったっす。いやまあ、流石の「ヤバ校」と言えど、ここは世界が賞賛する日本人って感じですかいねっす。うぬん、良きかなっすな。……って、しかもよく見たら甘味君も列の最後尾に並んでいやがるやんけっす。アイツは何を考えているんだマジでっす。


 僕はこっそり甘味君の側に寄り、「何してんすかアンタ」と甘味君の耳元で囁くと、甘味君は小声でまさかの返答ですぞっす。


「いいから進ちゃみよゴルァ。ここはオレ様たちに任せて先に行けやゴルァ!」

「いや、それって典型的な死亡フラグの台詞なんだよなあっす……んまあ、多分コメディ小説なんで死ぬ事は無いだろうけどもさ。てか、常識的に考えて、甘味君が一緒について来てくれた方が安心だし心強いんだけれどもっすけど」

「馬鹿やろうゴルァ! アイドルの握手会で並ばないのは礼儀に反するだろうがよゴルァ! 良いからはよ行けよ進ちゃみよゴルァ! このオレ様も後から必ず追い付くからよゴルァ!」


 ああ、駄目だっす。甘味君がこの様なアタオカモードに突入したのなら、もう何を言っても聞く耳はもたないでしょうなっす。さてと、こりゃあもう覚悟を決めて一人で赴くしかないですわなっす。しかしまあ、あんな緊張感皆無な「お前は先に行け」が、未だかつて有ったのだろうかしらんっす。


 んまあでも、件のニセ握手会のお陰で、「ヤバ校」の全校生徒が全てそっちに吸い寄せられたのはグッジョブですだよおっかさんっす。結果、「ヤバ校」校舎には生徒がゼロに相成りまして、東京ディズ○ーリゾートのファストパスを使った時ばりにスムーズに行けますぞいっす。


 そしてですな、滞りなく目的の2年A組の教室に辿り着いた僕なのでありましたっす。


 そうして教室の入り口からそっと覗いてみますれば、おやおやおややん? どうやら蘭丸先輩&響輝先輩も元気そうに談笑しておりますっすし、隣の屈強な御人は恐らく「ヤバ校」の番長さんだと思われるっす……やややん? それに何だか見覚えのある猿顔の人間も側に居られるんすよね。


「オイコラ誰がサルじゃこらあ! って、よう見たらオノレ、いつぞやのシャバ僧やんけ!」

「あっ、バレちゃったいっす。そして、僕の地の文(心の中)を読まないでいただきたいっす……ってか、お久しぶりっすね、猿渡師匠!」

「むむ? お、おう、そうやったっけか! ひ、久しぶりやのう弟子よ! まあ、ジブンの名前とか全然憶えとらんかったけどな!」

「や、それにも拘わらずにノリに乗っかってくれて感謝しますっす猿渡師匠! 流石は関西の人ですっす! ノリが良いですねぃっす!」

「あったり前田のチョコビスケットやで! ちゅうか、ここで会うたが100年目じゃこらぁ! あんときの勝敗は有耶無耶になったからのお! 今ここで決着つけようやおらぁ!」

「ふふふ、猿渡師匠よっす。あの時の僕とは違う所を見せてあげますよっす。相変わらず喧嘩は一度もしてないですけどねっす!」

「いや、なんも変わってへんやないかーい! まあ細かい事はええねん! ワシを倒してこの師匠を超えたらんかいや! 名無しの弟子よ!」

「いやはや、そうやって猿渡師匠が、ちゃんと人語を介している姿を拝見いたしますとっすね、脳味噌は猿並みじゃないのなって安心するんすよね。ウフフ、失笑師匠」

「全然うまないんじゃカス! オノレはホンマに人を上げるか下げるかどっちかにせえよ! ええかげんにしぃ! もううええわ!」

「ええ、そんな所が猿渡師匠の長所であり~――」

「おいおいおいおい、ちょう待てコラボケカスナス。ワシの最期の台詞聞いとったか? 漫才やったら締めの言葉やねんで? ここで舞台袖にはけてくねん。要するに終わりっちゅうこっちゃで。ったく、そういうトコやぞ~……って、ぷへぇ!」


 すると、ここで猿渡師匠が背後からの打撃を受けて立ったまま気絶したんす。そうして猿渡師匠は、ゆっくりと地面に沈むのであったっす。OH(おお)Mecha(めちゃ)déjà vu(デジャヴ)HAHAHA(ははは)


 そんな憐れな猿渡師匠に一撃を喰らわせたのは、何と「ヤバ校」の番長さんと思しき人物なのでしたっす。……ちゅうか、この番長さんってばさ、屈強と言うよりかは、見た目がまんまゴリラそのものなんですがっす……有り体に申しますと、ゴリラが辛うじて「ヤバ校」の制服を着こんでいるって感じであるんす……。


 しかし、醸し出されるオーラから察する事が出来るっす。これだけは間違いないんだぞっす。この僕の目の前に居られるこのゴリラな親方様こそ、噂の「ヤバ校」番長の「黒鬼」であるとねっす。……あいわかった! その上でだよ、これだけは敢えて言わせて欲しいのだわっす。「黒鬼」ってか「黒ゴリ」やんけっす!


 するとここに来て、「ふふっ、思わせぶりなメールの方が面白くなると思ったのですよ。私の入れ知恵ですね♪」と響輝先輩がドヤ顔でぶっこんできます。おいおい、勘弁しておくれよっすよ。


 あいよ、ここでゴリラの体で「ウホウホ」としか喋れない「ヤバ校」番長さんの代わりに、響輝先輩の口を通してご説明して頂いたんす。話の内容は主に番長さんの特異体質の事ですなっす。何でも先祖代々受け継がれている呪いによりて、思春期になると身体的に劇的な変化が訪れるのだと言う事なんす。それが屈強なゴリラの様な見た目になってしまうとの事ですたいっす。や、百万歩譲って見た目だけならばまだしもっすな、言葉まで「ウホ」しか喋れなくなってしまう事がこれまた厄介なのですなっす。しかし、月に一回だけは元の超絶美少女に戻れる模様らしいんすよね。


 うっす。古来より番長さんの実家が格闘一家の家系だからか、いつ、どこで、どこの誰からの恨みを買ったのかも不明であり、呪いの解除方法も全く分からないのだそうっす。


 勿論、現在の番長さんの家族達も、この呪いの問題をば、ありとあらゆる方法を持ってして解決しようと試みてはいたんす。しかし、この強力な呪いの力具合をと言いますと、かの有名な特級呪術師・五〇悟氏が匙を投げたと言えば、この呪いの煩雑さっぷりが理解できましょうぞっす。んまあ要するにっすね、ちょっとやそっとでは、この呪いは祓う事ができぬ代物なのだと言う事ですっすな。


 そんな中でありながらも、番長さんはこの「ヤバ校」に入学してきたんすな。そうなんす。当時「ヤバ校」の番長であったリーダー格っぽいデブ野郎さんをソッコーで打ち倒し、現在の番長さんが現「ヤバ高」の番長となったんでありますっすな。


 そうして、ここで一番重要な事なんすけど、番長さんと蘭丸先輩&響輝先輩は幼少期の頃から大の仲良しであったんすよ。そんなで、番長さんが「ヤバ校」の番長となってからは、蘭丸先輩&響輝先輩と「ヤバ校」が揉める事は劇的に少なくなったのであったんすな。なるほど、どおりで、納得したっす。近頃の「ヤバ校」が大人しかったのには、そう言う理由があったのだからなのっすねん。


「そいでなー進っちー、今日「ヤバ校」に赴いた理由ってのがなー、何か香奈子ちゃんが「ヤバ校」で四天王的なものを作りたいって言うからさー、さっきまで香奈子ちゃんとウチらが「ヤバ校」四天王オーディションの審査員をやってたんだよなー(笑)」

「ふむふむっす。……おおっと、何ともまあ、とってもくだらねーっす! マジで心配して損したのねんのねんっすすすっす! ってか、番長さんってそのお名前からして、性別は女子なんすかあ! 驚き桃の木山椒の木っす!!!」

「ふふっ、それともう一つ付け足しをば。香奈子さんは入学式の日に勘違いとは言え、助けて頂いた進さんとお近付きになりたいそうなのですよ。そして、延いてはその時に借りたハンカチをお返したいみたいなのですよね。その相談が今回「ヤバ校」に来た理由のメインテーマなのですよ♪」


 なるなるほんどっす。ここで僕は「ああー、入学式の日の黒髪ロングな美少女戦士っ子で、「どきどきトゥンクハート」の攻略対象の中ではユーザー人気も最下位のキャラ似であった、あの時の「ヤバ校」女子が香奈子さんだったのかぁ」と、完全に思い出す&理解する僕なのであったっす。


 てか、どうやって「赤鬼&青鬼コンビ」のお二人はゴリラになった香奈子さんの言語を理解しているのだろうかっすよ。んまあ、もうここまで来たらそんな些細な事はどうでも良いですけれどもねっす! なんせ僕ら異世界まで行っちゃってますしね!!


 代わりに全てを話してくれた事に満足したのか、番長さん a.k.a.香奈子さんは「ウホウホ」と叫びながら大喜びの御様子ですっす。


 そうしますと、香奈子さんが感極まったのか、辛抱しきれずに僕に対してハグをばブチかましてきやがりますっす。


「ぐぬおお……香奈子さんの経緯は理解しましたけれどっすね、今現在現実に僕を抱きしめるは、見た目はゴリラそのものの香奈子さんぞっす。無理無理むりいっすよ。どう見ても「ヤバ校」の制服を着たゴリラにしか見えないですうっすよ」


 そこまで言わしめた僕に対して、蘭丸先輩&響輝先輩は「いや、普通にカワイイ美少女やん」とケロっと言い放ちますっす。


「い、いや……お、お二人とも……眼科へ行った方が良いっすよ……」


 しかして、僕ももう限界が来ているっす。あかん、意識が朦朧として来たっすわ……。そんな中、ゴリラな香奈子さんに思いっきり抱きしめられている僕を見て、蘭丸先輩がモヤっとした気持ちになり、「少し離れるようにー(笑)」とか言いながら乱入してきたみたいなんす。「ふふっ、それは恋心ですよ♪」と響輝先輩が煽ったりしている内に、ここで他の「溜まり場」メンバーも全員が合流したみたいっす。甘味君&松本さん&麻宮さん&敷島先輩&カミラちゃんっすな。おいでませっす。


 うふふん。何だかこれってば、僕が逝く前の走馬灯みたいっすな。


 僕がもう駄目だと思う中、すっと僕を抱きしめるゴリ香奈子さんの力が弱まったんす。その原因は直ぐに理解したっす。僕は頭がぼんやりとしながらも、ケルベロスのケルちゃんの姿が見えたからっす。ああ、ケルちゃんも一緒に付いてきてたんすね。


 どうやら例にもれず、ゴリラ香奈子さんにもケルちゃんの愛らしさがバッチリ効いたらしく、僕の拘束を解いてケルちゃんに気が向いてくれたご様子っす。今はゴリ香奈子さんはケルちゃんをモフるのに夢中になっているんすな。……へへっ、マジ助かったぜ、ケルちゃんよっす。


 とは言え、先程までの異様なゴリ香奈子さんの腕力でのゴリゴリな抱擁によって僕は泡吹きブクブク状態であるっす。そんな僕の意識が遠のく中で、改めてこの可笑しな空間に負けるもんかよっす、こんな所で死んでたまるかと気力を振り絞る僕であったんす。でも意識は間もなく飛びそうっす(笑)。


 僕が完全に逝く寸前に、甘味君や麻宮さんやカミラちゃんが「大丈夫か進!」と話し掛けてくれたんす。あっ、こうやってみんなに見守られながら気絶するのも悪くないかもな(末期)。


 そこで、僕はみんなに、どうしても聞いておきたかった事を聞くことにして、最期を遂げようかと思ったんっす。


「……ううう……一つだけ教えてほしいっす。君らの目から見て、アソコにいる「ヤバ校」制服を着こんだ人物はどう見えているんだい……?」

「お、おう、どう見たって「ヤバ校」の制服を着こんだだけののゴリラだぜゴルァ」

「いやぁ~ん、どう見たってゴリラよねぇ~ん」

「そうやね。どう見たってゴリラやね」

「ふむう。どう見てもゴリラですぞ」

「そうじゃな。どう見たってゴリラじゃな」


 そうやって各々が親指を立てながら答えてくれたみんなの言葉に、僕はニッコリと笑って答えるんす。


「ああ、良かった。僕だけが頭のおかしい人だった訳じゃなかったんっすね……あと、君達が立てたのは中指じゃなくって、本当に良かったっす……」


「ふむう。実に興味深い現象ですぞ。これが噂に聞く「黒鬼」殿こと桃喜多香奈子殿でありますか。うむう。ゴリラへと変貌を遂げる肉体の変形なのですな。ふむう。タイムマシンの開発と同時並行にて、元の体を常時維持できる薬なぞを研究してみるのも面白いかもですぞ」

「おー×2、宏っち先輩マジかよー。そんな事が出来るなら期待しちゃうぜー(笑)。香奈子ちゃんもそうなれば嬉しいだろうしよー(笑)」

「ウホッ×2、ウッホッホー(笑)」

「ふむ×2ー、香奈子ちゃんも宜しく御願いしますって仰ってるぜー。それだったらマジで、ウチからも宏っち先輩の事を応援するしなー(笑)。マジ御願いするしー(笑)」

「ふふっ、めっちゃ喜んでいますね、香奈子さんも♪ それでは是非にも宏さん、私の方からも香奈子さんの体の事をば、宜しくお願い致しますね♪」

「ふむう。了解しましたぞ。任されましたですぞ。うむう。良い玩具、乃至は良い人体実験の材料が手に入ったですぞ。ふむう。これからは香奈子殿……貴殿をモルモット代わりに酷使してやりますから覚悟しておく事ですぞ。うむう。理解しましたかな、この雌ゴリラめですぞ」

「ウウウ……ウッホォ……(怯)」

「ちょっと×2ー、ウチらの親友に対して何つー事言っちゃってんのさー宏っち先輩ー。そう言うんじゃないでしょーにー(若干怒笑)」

「ふふっ、可哀そうに。香奈子さんったら怯えてブルブル震えているじゃありませんか。めっ、ですよ(若干怒笑)」

「ふむう。冗談に決まってますですぞ」


 いや、目が笑っていない敷島先輩マジ怖いっすよ……でもそれはそれ、これはこれで、流石は敷島先輩っす。発明部部長の名は飾りじゃないっすね。呪いの解除……それが本当に実現されたのであれば、香奈子さんもお喜びになられるでしょうしなっす。


 んまあ、ってな感じで、僕は凄い世界に足を踏み入れちゃったなと、改めて思うと共にっすね、多少なりの後悔が頭の隅をよぎるも、安心して意識を失える僕なのでありましたとさっす。


「進ちゃみゴルァ! 死ぬなゴルァ! 進ちゃみぃゴルァーーー!」


 いや、さっきの地の文で終りでええやんかっす。何で続けよんやっす。何かハ〇ワレが「ひ〇りごつ」を歌った時に、ち〇かわが歌い終わったと思って拍手しようとしたら、まだ歌の続きがあった時みたいなタイミングのズレを彷彿とさせるわいわいオイっす。


「くそがゴルァ! 折角「ヤバ校」の生徒を残らず全員ボコってきたって言うのにようゴルァ。これじゃ何の意味もないじゃねーかよゴルァ!」

「……うう、最期の気力を振り絞って言うけれど、「ヤバ校」の生徒を全員シバいたんすか? てか、それだと握手会の意味はなかったんじゃないっすか……」

「おうよゴルァ。そんなもんオレ様が握手会を開催したかっただけだぜゴルァ! それが終わった後は、用済みになった「ヤバ校」のボンクラなんぞボコボコにして終了よゴルァ。知ったこっちゃねーってなゴルァ。麻宮今日子とカミラもまあまあ強かったしなゴルァ。まあ「ヤバ校」の雑魚共なんぞ瞬殺だったぜゴルァ」

「そ、そうなんすね……斬新な髪型で忘れがちだけど、甘味君って普通に強いもんね……あと、麻宮さんが喧嘩が強いのは知っていたけども、カミラちゃんも喧嘩が強いんかよおっす……なら僕も、もうちょっと頑張らないとって思いましたとさっす。そいでさ、そろそろ僕も本格的にログアウトしちゃいたいんだけどね。んじゃま、そう言う事でバイバイなのさ。……ガックーン♡」

「進ちゃみーーーーーーーーーーー!!! (しん)だ……じゃなくって死んだーーーぜゴルァ!」


 死んでねーよ、とのツッコミは口に出せずに、僕は今度こそ本当に無事意識を失った訳っすな。ぷへぇ!

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