~入学初日は出会いでいっぱい・ヤンキーてんこ盛り~
四月初旬。まだ桜も散りきってはおらず、天気も快晴。まさに入学式日和となった本日です。
幾分か暖かくなってきた春を存分に満喫しながら、優雅に余裕をもって「私立㋢㋗㋨㋜学園高等学校(通称「テク校」)」への初登校と洒落込みたかったのではありますが、そんな呑気な事も言ってられない事態に陥っちまいましたよ。
ええ、そうですね。僕こと一本気進は、初日からいきなりのハプニングをかましちゃっておりますです。
今日と言うこの日は、めでたき入学初日と言う事も御座いまして、自分も相当気合を入れて「テク校」へと赴く所存だったのです。何なら滅茶苦茶早起きをして、半端なく早朝に登校してやろうと思っていたのですが、例によって「どきどきトゥンクハート」で抜き過ぎ……もとい、徹夜プレイのし過ぎで不覚にも寝坊をするってな、初歩的大失態を演じてしまったのです。
んまあ、それでですね、この僕は大急ぎで、ベタながらパンくわえダッシュってな現況な訳なんっすわ。ここでポイントとなるのがただの食パンではなく、超ロングサイズのガーリックフランスパンである所が何とも粋ではないですかね? ……あ? 「そいつは遅刻しそうな美少女ヒロインがやってこそ映える場面なんだよ」ですって? ええい、黙らっしゃい! 平凡なセオリーに従って、一体それの何が面白いのか。型があるから型破り。型が無ければそいつは単なる形無しなんだよ! ……そう、そんなライフスタイルにて、僕はこの先も生き抜いて行こうと決意したのでありまする……とりま、ガーリックによってニンニク臭マシマシとなった僕の口臭を喰らいくされ! ハァ~~~ッ!! ……と言うような電波な別人格の僕が脳内で一人まくし立てているのを感じつつ、「テク校」へと向かっておった訳なのです。
ですが、その道すがらにて、これまた例によって「ヤバ校」生徒と思しき一匹の猿っぽい顔立ちのチビ男子に絡まれておる、一人の女子学生をお見掛けしちまいましてね。……ほうほう、つうか、こりゃまたベッタベタな展開ですな~(笑)。
ははっ、それに流石は「ヤバ校」ですわ。この辺りならば「テク校」まで歩いて大よそ10分程度で到着できる距離なのですが、「ヤバ校」は全く真逆の立地でごぜいます。そうですね、ここから徒歩ならば、少なくとも小一時間は掛かってしまいますし、公共交通機関を利用したとしても、最低30分のお時間を要します。
ええっと、スマホにて時刻を確認してみますれば、現在は午前8時20分ですよ。うちの「テク校」の始業時間は8時40分ですが、他の高校もそこまで大差はないでしょうや。んまあ、要するにあの「ヤバ校」のチビ猿男子は完全に遅刻コースまっしぐらって事なのですな。ちなみに「テク校」は遅刻を三回かましますと、一日分の欠席扱いにカウントされまする。でもまあ「ヤバ校」ってな悪の吹き溜まり学校に至っては、遅刻なぞと言う言葉や概念が存在しているかどうかも疑わしいですけれどもね。むしろ「ヤバ校」側が生徒に遅刻を推奨しているまであるからね。うい、「ヤバ校」ってそんなトコ。
んまあ、今はそんな事はどうでも良いっすわ。その「ヤバ校」のチビ猿男子はと申しますと、件の女子学生のお手々をバッチリ掴んでおりましてな。そこへ持ってきて女子学生の側も、あからさまに嫌な顔をしながら「イヤイヤ」と首を横に振っており、明らかに拒絶の態度を取っておりますのよ。……ったくよー、このチビ猿男子めが、頭髪は緑を基調としたソフトモヒカンなんぞにしくさりおってからに。悔しきかな、ちょっと似合ってるじゃねーかよ。んまあ、っちゅう訳ですので、このチビ猿男子の髪型に対して嫉妬をしつつ、こいつは誰がどう見ても、確実に無理やりによる連れ去りであるなと僕は判断致しました。
ふん。でもって、近辺では他の通行人らがちらほらと確認出来るものの、「ヤバ校」が関与していると言うだけで、どいつもこいつもスルーして行きなさる冷たき態度だぜ。んまあ、気持ちは分からんでもないが、マジで世知辛い世の中だなと思いましたでするます。あざざます。
その瞬間に、僕が「赤鬼&青鬼コンビ」に助けられし、あの日の記憶が蘇ります。そう、今のこの状況を、彼のお二人なら絶対に見過ごす訳が無いでしょう。彼らならば、あのお困り事マキシマムな女子学生をササッとスマートにお助けし、颯爽と風のように去っていく事でしょうや。
うぬん、そうだよな! そんなお二人の姿に憧れて、この僕は今日この日を迎えたんだろうがよ! なれば! 僕の取る行動は一択しかねーっつー話だよ!
いざや! 目の前の女子学生を救うべく為に、不肖、一本気進は渦中に飛び込む次第なのでありまする!!
咥えていたガーリックフランスパン ~一旦は手元に添えて~ ←フレンチメニュー風
「やいやいやい、そこな「ヤバ校」の顔面お猿なチビっ子男子よ! 薄汚い手でか弱きおぜうさんの美々しきお手々を掴んで困らせてんじゃねぇぜ! 今すぐに件のおぜうさんを解放し、貴様は即刻この場から立ち去りやがれぃ!」
フッ、バッチリ決まりましたな。最期の方はちょびっと声が裏返ったものの、完璧過ぎる台詞の言い回しに、この僕の威風堂々たる態度よ。これにてチビ猿男子は、ビビッて住処のお山にでも退散してくれるとありがたや。
だがしかし、当のチビ猿男子は「ああ? なんや、おんどれは?」と言い放ったのち、鬼の形相でこちらを睨みつけ、引き下がる様な気配は皆無で御座いまする。……あはん、ですよねー。
そうして、チビ猿男子は続けて喚き立てまつります。
「おうおうおう、兄ちゃん! えらい威勢がええやんけ! ワシが「ヤバ校」の現番長の右腕、猿渡小鉄と知った上で、いちゃもんをつけとるんやろな、こらァ!」
あれま。名は体を表すって本当ね。いやはや、ご案じ召されるな。あんたは決して名前負けをしてはおりませぬぞ。胸張って生きませう。おうよ、勿論これは、これなるチビ猿男子を小馬鹿にしてのものですよ。
ああ、何だか急速に気分が良くなったので、パン食の続行でも敢行しちゃいましょうかってね。帰ってきた、いただきます。おかえりなさい、ごちそうさま。
「ムシャムシャ、モグモグモグ……モグモンモッグ、モグモグモグモグモゴ、ムシャコラッタ、モグン……」
「ああ!? なんて? ったく、おもむろにニヤケ顔でフランスパンなんぞ食い始めよってからに。取り合えず何ぞ喋りたいんやったら、その口の中のもんを全部飲み込んでから話せやカス! 何を言うとんのか全然分からへんっちゅうねん!」
うむ、至極ごもっともなご意見だ。僕はかじりかけのガーリックフランスパンを暫しズボンのポケットにしまう。
「……うっわぁ~、お前正気か? 食べかけの食いもん自分のポッケに叩っ込むとか、ようもそないな芸当出来んな。そんなんポッケの中がカオスになるやろうで……あーあ、そないな事やる奴とか、ワシは絶対友達になれへんわ……素直にドン引きやで……」
「フッフッフ、そんな事よりも、君は「ヤバ校」の現番長・「黒鬼」の異名を持つお方の右腕なのだと仰りましたよね? てか、それって何気に凄くないっすか」
「おっ、よう知っとるし、よう分かっとるがな兄ちゃん。感心やな。その物知りに免じて半死半生で勘弁しといたるわな」
「フフン、更に申しますと去年の大事件、「ヤバ校」の元番長は入学してきたある一人の新一年生にボコボコにされ、その際に「ヤバ校」番長の座は、件の新一年生と入れ替りになったってなお話ですよね。そんな「ヤバ校」新番長の側近って事は、貴方様は超絶すんばらしいお人じゃないっすか」
「お、おう、せやな。せやけど、そないに褒めたかて何もでえへんぞ」
「おおっと、めっちゃ照れ顔じゃないっすか。いやはや、貴方様には賞賛の拍手で御座いますですよ~パチパチパチパチポチ~」
「なんや最期のポチて。ベタなワンちゃんの名前かっちゅうねんアホンダラ。もうええわ」
「あはは~。じゃあ、これにて解散ですねぃ。では、さようなら。おつでーす」
「了解や。ほなな~、お疲れさん~……ってなるかいやこらァ! おどれがワシに上等こいてきた事実は消えへんのやぞこらァ!」
「あっ、やっぱこのままスムーズに見逃してはくれませぬか」
「あったり前田のチョコビスケットやんけ。まあええわ。ワシもちっとばかしむしゃくしゃしとってん。この喧嘩買うたるわい。うだうだメンドイのは無しや。ホレ、かかってこんかいや」
チッ、やはりバトルは避けられないか。コヤツめは典型的な好戦的&野蛮人の「ヤバ校」生徒って感じだし、当然っちゃ当然か。おまけにこのチビ猿男子ってば関西弁ときておる。関西圏では老若男女問わずに全国民が、目と目が合いさえすれば速攻で喧嘩になる修羅の土地であると聞き及んでいる。なるほど、噂は本当だったみたいだな。
んまあ、こうなったらやるしかないって感じっしょ。やれやれ、相変わらず喧嘩の実戦経験は一度もないままここまで来ちまったけれども、流石にまずいのかもしらん。
だがご安心召されい。格闘関連の動画サイトやゲーム、或いはバトル漫画での鍛錬により、僕の頭の中のシミュレーションではバッチリなんだぜベイベー。
僕の作戦はこうである。まずは利き手をブラブラさせた状態でリラックスさせる。そこから手首のスナップを利かせた平手を相手の目に素早く叩きつけるのだ。初手であるこの打撃を喰らえば、100パーセント相手の視界は奪われ数秒の間は怯むであろう。しかも安心して欲しい。この攻撃は眼球を直接痛めつける訳では無いので、相手側も失明する心配はないからして罪悪感も皆無だ。知らんけど。
さて、ここで一気にボコボコラッシュを仕掛けるのは愚の骨頂だ。喧嘩のド素人にありがちな問題行動である。←お前が言うなw
ここは相手の次に取る行動を一定の距離を保って観察しつつ、こちらが次に仕掛ける攻撃を取捨選択する方が宜しいかと。んまあ、殴りつけるもよし、蹴りつけるもよしのやりたい放題ボーナスタイム到来であるからしてね。はやる気持ちは分かりやすが、一時踏み止まりましょうや。
そうです、喧嘩の最大必勝法。それは常に冷静で居る事なんな。自身が熱くなってしまっては、負ける確立が爆上がり権蔵になってしまいます故にね。……と、僕と同じく喧嘩とか一度もした事のない、僕の父親がそのように申しておりました(笑)。
「ふぅ、やれやれ、仕方が無い。中学校時代は「喧嘩無敵の進」ってな異名を全国に轟かせたこの僕であるが、相手になってやろうじゃないか」
「は? そんな二つ名とか聞ぃた事も無いで。ワレふかしこいてんちゃうやろな」
「ふん。御託はいいから、さっさとかかって来いよ、チビ猿君」
「そらそっくりそのままジブンにかえしたるわ! チビはお互いさまやろがい! 見た感じ、オノレもそないに背丈は変わらんやんけ! なんならワシのがちょっと高いで絶対に!」
「おっと、そいつは聞き捨てならない言動ですね。身長に関しては僕の方が少しだけ勝っていると思われまするよ?」
「ああ? なんでやねん。そんな証拠ドコにあんねんな。何なら今ここで背比べでもしたろかボケ!」
「ふっ、証拠ならありますよ。何せ去年から僕の身長は一ミリも伸びなかったものでね」
「ジブンマジでアホやな。そんなマイナス要素引っ張り出してきて何ぬかしとんねん。オノレの負け確定やんかいさ」
「ふふん、だがしかし、そんな僕なのですが、周囲からは『なんか小さくてかっこいいやつ。略して「ちいかっ」』などと呼ばれておりますからな。その辺が君とは天と地ほどに差があるんですよな」
「関連グッズが発売すれば即完売レベルの大人気ウェブ漫画作品、別名・名だたる有名企業との「コラボの鬼」と謳われるち〇かわみたいに言うてんちゃうぞコラ! ちゅうか、「ちいかっ」て、どないな切り方してんねん、歯切れの悪い! それやったら「ちいかこ」とか「ちいかっこ」でええやんけ!」
「怒涛のツッコミ感謝です。流石は関西族ですね」
「何や族て。それこそ、ちい〇わファンによる便宜上の呼び方の、ちいか〇族みたいに言いやがってホンマに。普通に関西人て言えや」
「これからも頼りにしておりますぞ。通訳のプロフェッショナルことハ〇ワレさんや」
「それって……つまり……〇いかわ作中にて、狂言回し的役割を担ってくれとる名脇役のハチ〇レ……ってコト!? ……って、誰がハチワ〇やねん! 完膚無きまでしばくぞワレ!」
「おー、見事なち〇かわ構文完全再現ツッコミでしたねぃ。何気に〇チワレとしばくぞワレで韻まで踏んじゃってるし」
「なんとかなれーッ!! ヤーッ!!! ←(さすまたをツンッッってやる(突く)所作) ……って、何をやらすねんな! それにワシは狂おしい程のう〇ぎ推しなんじゃハァ?」
「フッ!!(ニコッ)」
「何やねんな。ちい〇わが嬉しくて思わず笑みがこぼれた時みたいにええ顔しよってからに。ちょっと可愛いやんけ!」
「ふふっ……んまあ、僕が「ちいかっ」などと呼ばれているとか、余すところなく全て嘘なんですけどね」
「おいおい、こんだけ散々っぱら、ちいか〇ネタで引っ張った割に全部嘘なんかい!」
「デュフフ、「ちいかっ」なんぞ誰にも言われた事も無いですしな。だって僕ってばフレンズがゼロよりのゼロですし」
「……お、おう……せ、せやな……ジブンに友達がおらんのは今の一言で十二分に伝わったで……まあ、なんやよう分からんけど謝っとくで……すまんな……」
「ええんやで。あと気になったのですが、君ってばチビは認めなくとも、猿呼ばわりされる所は肯定してんですね」
「じゃかあしいわ! ホンマ失礼なやっちゃで! 猿顔は自覚がありよりのありやっちゅうねん! ったく、ワシかてもうちょっと男前やったらな、地〇楽(ワシ一押しの漫画やで)主人公のがらんの画〇丸みたいな、むっさかっこええ通り名くらい付けとるっちゅうねん」←好きなものをにわかにぶっ込み、推し活をしていくスタイル
「あはは、画眉〇ってば腕っぷしの強さも含めてイケメンだし、身長も150cmと低いですしで、これはもう我々の同士……いえ、ホビット族全体の期待の星で希望の星と言っても過言ではない存在ですものね」
「せやせや。そこはワシも完全に同意するで。ほんなら兄ちゃんよ。なんぞワシにフィットしそうな、地獄〇の主要登場人物的な呼び名とか考えてみてくれや」
「はい、よろこんで! ええっと、アカンの関西丸とかってどうですか? うわ、安直でイマイチ。てな訳で、もう「ヤバ校」のちび丸でいいっしょ」
「おいコラえらいテキトーやの。あっさり諦めんのも然ることながら、ひとりノリツッコミもおざなりやしで大概にしいやホンマに」
「正直、すみませんでした。はっちゃけ過ぎました。かの鬼滅〇刃屈指の名シーンより、竈門〇治郎及び鱗滝〇近次&冨岡〇勇よろしく、一本気進及び――……猿渡小鉄が腹を切ってお詫び致します」
「いや、ナチュラルにワシを巻き込んでんなや。死にたいなら勝手に死に腐れよ(笑)。まっ、物事は最期まで面倒見切れへんのやったら、軽々しく安請け合いやらせんこっちゃで。そないな事よりジブン、今まで喧嘩の一つもした事があれへんめっちゃ初心者やろ?」
「むう? 何故にバレた。うん、そうだよ。今までろくに喧嘩なんぞした事もねえ人生を送ってきた、喧嘩未経験の喧嘩童貞ちゃんですだよ」
「正直者かいな。ええ子やんけ。あんな、一つ忠告やわ。喧嘩するんやったらハッタリも戦略の一つになるんやで」
「ふむふむ、なるほど参考になります。はい、ここに取り出しましたるは、僕のスクールバッグに忍ばせておいたメモ帳です。あぃ、メモメモっと」
「何やねんな。手品師のテンプレ口上みたいに言いよってからに。恐らくはガチで種も仕掛けも御座いませんやろうしの。ちゅうか、マジに今このタイミングでメモ取るんかいな。ホンマ気が抜けるやっちゃで」
「うひひ、恐縮です」
「アホか。微塵も褒めてへんわ」
「ふひひwサーセンww……あのう、ところでですね、この僕が喧嘩の実戦経験が無いってのを、どうして君は見抜けたのでしょうか? 簡潔に教えてプリーズ」
「なんでワシがワレにそないな事言わなアカンねん。仮にもワシはお前の敵さんやぞ? 対戦相手に甘えんなナス」
「んまあ、そうですよね~……しゅん……(落ちこみ)」
「そんなしょげた顔すんなや。んなもん、喧嘩慣れしとらん奴のファイティングポーズ見たら速攻で分かりよるもんなんやって。ワシら喧嘩玄人からしたらバレバレやからな」
「あれれ? てか、結局教えてくれてるし。君って実はとっても良い人?」
「やめやめ、褒めても何も出えへんって、さっきもそう言うたやんかいさ。ホレ、飴ちゃんやるわ」
「わーい、有難う御座います、いただきます再びー。パクッと、ゴクリンチョ。あー、パイン味のキャンデーとってもおいちかった、ごちそうさまでしたー」
「うーん……君は飴ちゃんを舐めんと、いきなりノーモーションで飲んでまうタイプかいな。珍しい人やね。……っちゅうか、しんどない? その食べ方?」
「そうですね。十回に一回くらいは噛み砕いて食していますけれども」
「いや、飴ちゃんなんやからじっくり舐めて楽しもうや……って、まあ、味わい方とか人それぞれやし、そこんとこの強制はよぉないな。ちゅうかそないな事よりもやね、ジブンの拳の握り方が既におかしかったっちゅうねん。親指を拳の中にブチ込む握り方してたやん。あんなん親指骨折してまうで」
「あんれまあ、確かに」
これはこれは僕としたことが。ほらほらほらね? 例の手をブラブラさせといて一撃を放つってな作戦も忘却の彼方だった訳ですよ。……たはは、やっぱ喧嘩の一つもした事のない野郎ってのは本番で失敗しがち説立証ですな。初戦からいきなり蹴躓くとか、僕ちゃんってば本当に駄目な子ねぇ(苦笑)。
「ま、そんなんで実戦経験ないのはモロバレやったっちゅう訳やね。せやけど大丈夫や。喧嘩の強さなんぞ、これからゆっくり精進していけばええねや。焦らず頑張りや」
「なるなる。長い人生ですし、充分間に合うって事ですね。アナタの言葉、しかと僕の心に刻みましたよ、師匠!」
「だ、誰が師匠やねんな、誰が! お前なんかにそない言われる筋合いはないで!」
「おや? お顔が真っ赤っ赤に染まり、かなり嬉し顔ですね師匠!」
「そ、そらお前、そんなん言われて頬が緩まん訳が無いがな!」
「赤面しちゃって、本当にリアルのニホンザルさんみたいですよ、師匠! ウッキッキー♪」
「やかましいわ! ワシの事を上げるか下げるかどっちかにせえやホンマに!」
「そうやってツッコミを入れつつ、顔は笑ってるじゃないですか師匠。えへへ、僕らって普通に良き友達になれそうですよねぃ」
「ホンマそれやわ。ワシも久々に家族以外で漫才的な会話が出来て気分が良かったわ。せやけどな、こっちも一応「ヤバ校」生徒としての面子があるさかいにな。取り合えずお前はしばいとかなアカンねや」
「ええっー! 最早師匠と弟子の絆が強固となった矢先なのにー! それにもう僕ごとき雑魚助は見逃しても良いのではー?」
「いやあ、なんぼなんでも、そらアカンわ。一応喧嘩売られたからには買わんとな。兄ちゃんええ奴っぽいけど、かんにんな。まあ、ワンパンで鎮めたるさかいに、安心しいや。ほなイクで~。歯ァ食いしばりや~って、ぷへぇ!」
そこまで言い終えたところで、背後から女子用スクールバッグで強烈な一撃を後頭部に食らい、盛大に意識を失う猿渡師匠です。てか、僕以外にも「ぷへぇ!」って言う人居たーwww。
見ると、どうやら先ほど絡まれていた女子学生さんが、ご自身の鞄を振り下ろす事によって、猿渡師匠を亡き者にしたっぽいですのよ(笑)。
しかしまあ、不意打ちとは言え「ヤバ校」の生徒を、しかも「ヤバ校」番長の右腕と称する人物をバッグで一撃必殺とはねぇ……ひょっとして、僕が助けなくても自力で何とか出来たのかしらん。だとすれば、イヤン、お茶目な僕ったら早とちり。
とりま、再起不能となった猿渡師匠は、交通の邪魔となるので道の隅っこに寄せておいた。師匠はちっこくて軽いから、足蹴にしてどかしたら面白いくらい転がってた(笑)。
「あのう、大丈夫でしたか、お嬢さん……って、僕の出る幕は全く無かったですけれども」
「あっ、いえいえ! 危ない所を助けて頂き有難う御座いました! 貴方様と小鉄の奴めが……コホン……この猿顔の人がしゃべくり漫才をしていなければ、私が攻撃する隙は出来ていなかったでしょうし(笑)」
「あはは、やっぱさっきのやり取りって漫才に見えていましたか。超ウケる~」
「ふふ、その漫才が面白過ぎて、ついつい見入ってしまい、小鉄の奴めを……コホン……この猿顔の人への打撃を忘れちゃっていましたけれど(笑)。それに、実を言うと私自身も、〇いかわの大ファンですしね(笑)。楽しんで見させて頂きましたよ(笑)」
「ほむほむ、なるなるうー、納得ですん。ち〇かわ面白いですよねぃ。多彩なキャラクターの魅力も勿論あるのですが、飽くまでそれは表面的であって、実はストーリーの面でも結構奥が深いんですよねー」
「あっ、流石ですね。分かっていらっしゃる! そうなのですよ。小さなお子様達が見る場合は、単純にあのプリティなビジュアルにハマるのですけれど、ある程度成長した人達が見た場合だと、楽しくも意外に過酷な世界観を目の当りにして、どっぷりと沼っちゃうのですよねー(笑)」
「あはは、それ分かります。貴女の仰る通りで、まさしく僕もキャラと世界設定のギャップにて、すっかり落とされちゃったクチですからね」
「うふふ、ですよねー(笑)。ああ、何だか小鉄以外の……コホン……身内以外でちい〇わトークが出来て嬉しい限りですよー(笑)」
ふうむ……およよ、ちょっと待ってみて。この女子学生さんってば、よく見たらしれっと黒髪ロングのすっげー美人さんである事が発覚ですぞ。こんなもん、漫画やらアニメやら映画やら小説やら、或いはゲーム……それこそ「どきどきトゥンクハート」の世界とかならロマンスが始まっちまいますのよい。
ですが残念。そうはならんのよ。
言わずもがな、僕の好みのどストライクは「どきどきトゥンクハート」攻略キャラが基準です。故にこの黒髪女子学生さんの容姿ってば「どきどきトゥンクハート」の攻略対象の中では、ユーザー人気も最下位のキャラにソックリで御座いましてな。だもんで僕的には圏外なんよね。つまりは端的に言ってタイプじゃないのよ。
逆にメインヒロイン(ピンクの髪色でポニーテールに健康的な褐色肌)と準ヒロイン(水色の髪色でショートカットに色白美人さん)推しな僕は、常にそんな彼女らに激似のヒロインを現実世界で捜し求めているってな寸法なのよね。
「ともあれ、貴女に怪我が無くて本当に良かったです。んまあ、それはそれとして、その灰色を基調としたセーラ服を着用していると言う事は、貴女も「ヤバ校」の生徒さんだったのですね」
「あっ、はいっ! 実はそうなのです! そして、何せあの「ヤバ校」ですからね(笑)。この様なトラブル事は割と日常茶飯事だったりするのですよー(笑)」
「ああ、やっぱりですかあ……流石、噂にたがわずの「ヤバ校」って事ですねぃ。てか、そんな魔窟で貴女の安否が非常に気がかりですよ」
「うふふ、でもご安心下さいまし(笑)。私も伊達に「ヤバ校」女子をやっておりませぬので(笑)。もう若干慣れっこだったりするのですよねー(笑)」
「ほへー、たくましや。お世辞抜きに尊敬いたしますぞい」
「あはっ☆「ヤバ校」女子を舐めないで下さいねー☆みーんな纏めてやっつけちゃいますよー♪……とか何とか、言ってみちゃったりしてー(笑)」
そう言った彼女は、これまでで一番のチャーミングな笑顔を見せるのであった。おっふ、いっけね。多分僕の性的嗜好が二次元中心ではなく、延いてはもしも件の彼女が「どきどきトゥンクハート」の推しヒロイン似であったのならば、あっさりと恋に落ちてる展開だよコレ。
「あはは、いや、頼もしい限りですね「ヤバ校」女子。ですが、それでは再びトラブルに巻き込まれる可能性が大よりの大ですね」
「まあ、仕方が無いですよね。その点は私も諦めていますよ。でも、今までも何とか死なずには済んでいますので、これからも頑張って生きて行こうかなって(笑)」
「あいあい、オッケー、ようがす。今日この日に貴女とお会いしたのも何かの縁です。今日から僕は「私立㋢㋗㋨㋜学園高等学校」のぴかぴか一年生ですので、何か再びトラブったらば、また言って来て下さいよ」
「あっ、はいっ! 分かりました! ……って、年下のお方だったのですね。ちなみに、私は「ヤバ校」の二年生です!」
「何と、てっきり同い年かと思いきやまさかの上級生でしたか。これは失礼ぶっこきました」
「ちょっ、ちょっとちょっと! そんないきなり、おでこを地面にこすりつけての土下座なんて止めて下さいましな!」
「ううっ、お優しいこと此の上無き先輩女史ですこと。だからこそ、次こそは僕が絶対にお助け致すと、八百万の神様に誓い倒しますね」
「そんなそんな、むしろお礼を言うのは私の方なのですからー(笑)」
「むふふ、それはそうと、その「テク校」には、あの「赤鬼&青鬼コンビ」も御座す学園なのは御存知でしたかな?」
「あっ、存じておりますよ。何なら私は彼らとはお友達でして……コホン……いえ、お強いですものねー「赤鬼&青鬼コンビ」のお二人ってー(笑)」
「そうなんですよ! 何を隠そう、僕は超有名人であるお二人に助けられた過去が有りましてね! そんな彼らに憧れを抱き、コンビを追って「テク校」に入学したんですよね! ふんす!」
「うふふ、そうだったのですねー……(てか、鼻息を荒くして興奮気味に話しつつ、目をキラッキラに輝かせちゃってかわよ♡この子の溢れ出るウブさ加減やら、初々しさ全開の純情ボーイっぽいトコとかメッチャ好きだわぁ♡それに顔面だって私好みの童顔ピンポイントだしぃ♡んもう、ガチンコで一目惚れよぉん♡♡♡)←丸括弧内は小声です
「ほあ? ただ今、何か仰りまして?」
「あっ、いえいえー、改めて有難う御座いました、と言ったのですよー(笑)」
「ほむほむ……うおっと、ヤバい、もうこんな時間だ! すみませんね! この僕ちゃんってば、入学初日にして遅刻しそうだったもので、これにて失敬! ではでは!」
「あっ、あの! お待ちになって下さいまし! せめて貴方様のお名前をば! 私は桃喜多香奈子って言います!」
「おっとっと、じゃあこれを受け取ってくだされ」
僕は取り合えず自分の名前が刺繍されたハンカチーフ(持ち物に名前付けは小学校からの習慣)を桃喜多香奈子さんに渡します。実は例の忌々しきリーダー格っぽいデブ野郎さんに殴られからの鼻血ブーイベント発生事件から、外出時はハンカチとティッシュを必ず3ヶは所持する様になったのだ。
それからついでと言っては何ですが、ポッケから先程のガーリックフランスパンも取りだし、残り全部を桃喜多香奈子さんに手渡してやった。もうお腹いっぱいだから要らん。
するとどうだろう。何と彼女ってばさ、躊躇なく思いっきりガーリックフランスパンにハフムシャッっとかぶり付いちゃっているしサァ!! うへぇ、マジに食べちゃってるよこの子ったら……普通ポケットから出した、それも人の食べくさしのパンとかよく食べられるわね……しょっぱみがあって……うまッ……とでも言いたそうな顔をしちゃっているし、しかも秒で完食だい! ……ウ~ン、マジ引くわー……。
……あん? それよか何故にアドレス交換をしないかだとぉ? しゃらくせえや! 「赤鬼&青鬼コンビ」ならそげなナンパ野郎みたいな事は絶対にしないだろうからな。よって、僕もその真似を実践したに他ならぬのだよ。《以下本音》→バカモン! 今この時とて、女子と会話をするだけでも必死こいてるチェリーボーイでぼっち・ざ・ろっくの僕に、そんなアドレス交換を持ちかける勇気なんぞがある訳が無かろうが! 恥ずかし過ぎるわ痴れ者め!
ぬおっと、こうしちゃいられない。もう少しだけ香奈子さんの奇人変人な行動を観察していたい所ではあるが、マジに遅刻しちまうっつーの。
あいよ、とっととこの場より駆け足で立ち去る事と致しましょっと、そうしましょ。
さて、去り際にて最期に香奈子さんのお顔をチラリと拝見してみますと、何とまあ、顔面が茹でたタコの様に紅潮しているではありませんか。更には「ヤバヤバヤバヤバヤバ×5♡好き過ぎるぅ♡アリアリのアリーヴェデルチ♡(さいこうだ)♡♡♡」と呟きながら、全身を振るわせている香奈子さんの姿を確認出来ましたよ。
……ありゃりゃ~、さっきから独り言で「隙があるだのないだの」宣っておりまするぞい。あまつさえ、何か「押忍!」を連呼しながら感謝の正拳突きとか始めちゃってるしよ。ひゃあ、その直後には「ウホウホ」猛りながら、ゴリラが胸を叩くドラミング行為みたいな事まで追加でキメちゃってる始末だよっほほーい。
たはは、やっぱし「ヤバ校」で日々修羅場ってるガチもんの人は、どっか頭のネジが吹っ飛んじゃってやがるわいね。くわばらくわばら。←恋愛フラグを自らでブチ折りにいくタイプ(最高にアホ)
んまあ、一つ確実に言える事としては、残念ながら桃喜多香奈子女史は、僕的に恋愛対象にはならねえだろうってこってすな。……ってな事なんぞに思いを巡らせている内に、何とか「テク校」に到着ですん。そんでもって、僕が「テク校」校舎内へと入ると同時に、朝の本鈴チャイムが鳴り響いたのでありましたとさ。
うおっしゃあー、危なかったぜえ~。ギリギリ遅刻回避だぞっと!
*←お尻の穴じゃないよ。これはアスタリスクと申しまして(割愛)
……ぐぬぬう、尻論から……訂正……結論から申しますと、入学式にはてんで間に合いませんで。無念なり。と言いますのも、「テク校」の校門をくぐった直後に、超ド級の腹痛に見舞われましてな。校門からの肛門とはこれいかに。うぬぬう、やっぱ朝からガーリックフランスパンは攻め過ぎたのねん。そんなんで結局の所、暫くの間トイレにて引きこもっていた結果がこの体たらくですわい。
こんな感じで初日から遅刻をブチかましちまった僕ではある。でもまあ、ポジティブに捉えれば、長ったらしい校長先生の話も聞かずにすんだ訳ですし、式典に参加していなかったってな反道徳的行為も、これまた不良っぽくて逆に良かったんじゃね? と思う次第ですん。……うえ~ん、皆勤賞を狙っていたのにぃ~(泣)。←未練タラタラじゃねーか
よし、出すもん出したらスッキリ爽快じゃもんで⭐気持ちを切り替えてRe:スタートだぜぃ♩
さてさて、僕の教室は校庭にて張り出されていたクラス分け一覧表によれば一年桃組らしい。桃て。幼稚園か。……そう言えばさっき出会った香奈子さんの苗字も「ももきた」だから、恐らくは「桃」って漢字を採用しているんだろうな~……などとぼんやり考えたりしていたが、「だからなんだってんだよ」って感じだし、どうでも良かったぜ。
んまあ、組の名前ににケチを付けてもどうしようもないしな。組で揉めるのはヤクザだけにしといて下さいよ~ってな訳で、とりま、自分の教室へと向かう事にした。
その道中、とんでもない出会いが待っていようとは、この時の僕は知る由もなかったのです。僕たちの戦いはこれからだ。ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。〈了〉←※唐突なるフェイクをお詫びいたします。この後スタッフが美味しく頂きました。
何と何と、僕の真正面から校舎内の廊下を華々しく歩いて来やがりました、ギャル系女子二人組の容姿に、僕は思わず見とれてしまう。両者ともにスーパーモデルばりな抜群のスタイル保持者である。そして、もっと言わせてもらえば、それはまるで「どきどきトゥンクハート」のメインヒロイン(ピンクの髪色でポニーテールに健康的な褐色肌)と準ヒロイン(水色の髪色でショートカットに色白美人さん)に、お顔立ちが完璧にソックリのお二方だったのだ。
ええ、間違い御座いませぬ。仮に「どきどきトゥンクハート」の僕的推しヒロイン二名様が実写版に置き換えられたとしたならば、100パーセント目の前におられるお二方の見た目がドンピシャリである筈なのである。うぬ、その根拠だってある。何せ超絶「どきハト」信奉者であるこの僕が、幾度となく頭の中でシミュレーションし、云臆回以上も妄想したイメージと完全に合致しているからだ。そんな僕の単なる夢想の産物であった者が、まさに目の前に降臨なされたってな訳なのである。……あ゛ぁ? 「はいはい、生成AIも知らない情弱無知かよ乙~」だぁ? そんなもんとっくの昔に試しとるわボケ。皆まで言わすなアホ。←めっちゃ早口で言ってる
ただね、この二次元界隈と言う業界では、頭髪の色がピンクであろうが水色であろうが、設定やら肩書きに「清楚系」と銘打ってしまいさえすれば、それが全く違和感無くまかり通ってしまうバグった世界なのである。勿論それは「どきどきトゥンクハート」とて例外ではない。重複となるが、もしもこの現実世界に両ヒロインキャラクターが出現したならば、途端に見た目がビッチ臭漂う黒ギャル&白ギャルにしか見えないであろう。そう、この様に二次元と三次元のビジュアル面においては、これだけの大きな隔たりがあると言う事実である。
んまあ、僕個人としては、二次元と三次元の区別はしっかりと出来ているタイプの人種で御座いますからして、創作は創作の良さが有り、リアルにはリアルの良さが有るときっちり割り切っておりまする。しかしながら、巷では現実と妄想をごっちゃにしてしまう方々が大勢いらっしゃるとの噂も相当聞き及んでおります故に「あらまあ、大変ねぇ」と、ご心中お察し申し上げます……などと思った事は一度もないですけれど(オイ)。
んまあ、要するに何が言いたいのかと述べ立てまするとだね、件のギャルお二人が、完全に僕のどタイプ且つ、どストライクだったって事なんすよ。
ちな、身長はピンク色ギャルさん(仮)よりも水色ギャルさん(仮)の方がちょっとばかし高い模様です。そこで僕はピンク色ギャルさん(仮)に早速シンパシーを感じます。ですが、それも束の間の話です。ピンク色ギャルさん(仮)は僕よりも遥かに高身長であるとすぐに気が付き絶望した訳ですよ。例えましょう。コンビ芸人のどちらか一方が小さく見えていたけれど、実は相方の身長がめちゃくちゃデカいだけで、ただ単にそんな風に見えていただけと錯覚をしていた~ってのは良くある話です。更には小さいと思われていた方にも、実際にリアルで対面してみれば普通にデッカかったってなパターンですな。ええ、今の僕は正にそんな状況に遭遇した時のお気持ちですね。はい、こと背丈に関しては、割かし敏感に反応を示す一本気進リポーターからのリアルタイム報告でした。現場からは以上です。
しかしまあ、どうしてギャルと言う生物とブレザー服ってのは、こうも相性が良い物なのかしらね。御多分に漏れず、件のギャル二人組も破壊的にブレザー服が似合っているから困りものでありまっしゅる。
おっと、これは余談であるが、「どきどきトゥンクハート」の世界設定でも、劇中のメインキャラクターである生徒達は全員ブレザー服を着用しておりまする。そして、この僕自身がリアルでも女の子に着て欲しいと所望する学校制服としては、断然セーラー服よりもブレザー服だと感じている部族で御座いますからしてね。んまあ、確かにセーラー服も捨て難い制服である事は間違いないのですよ。だがしかし、もしもセーラー服かブレザー服のどちらかを選択しなければ、お前の「どきどきトゥンクハート」のセーブデータを抹消しますってなシチュエーションが訪れた場合、僕は迷わずブレザー服をチョイスする事でありましょうな。うむう、もっと馬鹿正直にぶっちゃけてしまうとだね、何ならブレザー服さえ着てくれれば、かなり高齢のお婆ちゃんであったとしても、僕は全然問題無くハッスル出来ちゃう性癖強者でありますからの。ヒャッハー、ブレザー最高! ブレザー万歳!! ブレザーに栄光あれー!!!
そんな感じで、ついついギャルの事ばかり思考してしまう空間にトリップしてしまう位には、衝撃を受けた出会いであったと言う事はご理解いただけたであろうか。どうやらこの間に僕は、廊下のど真ん中で微動だにせずに立ち尽くしてしまっていたらしい。同時に件のギャル二人組の事もガン見しておったでしょうから、かなりキモい醜態を晒していただろうさね。
そうなればしかるのちに、これなるダブルギャルから浴びせられたる言葉もすこぶる納得の物で御座いましょうて。
「なぁー×2、廊下のど真ん中に突っ立っちゃって、おもっクソ邪魔なんだけどー。つーか、微動だにしてないとか、ちとヤバくねー? 具合でも悪いんー?」
そうやって最初に口を開いたのはピンク色ギャルさん(仮)の方であった。フヒッ、貴女様方の進行のお邪魔をしちまって非常にすんませんっす。
それに続いて水色ギャルさん(仮)もトーク参戦と相成ります。
「ふふっ、と言いますか、私達の美貌に見とれて立ち尽くしてしまったと言った所でしょうかね。見たところ、どうやら新入生さんのご様子ですし、私達の事も初見だったのでしょう」
「えぇー、マジかよー。それだと話は変わってきちまうなー。そんなん、むちゃんこテンション上がっちまうじゃんかー⤴⤴✨」
お二人は歩みを止め、僕の頬やら顎を撫でたり、腹部や下半身に至るまでを弄ったりしてきなさります。ああん、ぶっちゃけ気持ちよか。もっと触れて! あたいを駄目駄目な子にしてぇ!
「なぁ×2ー、君っちは何でウチらに見とれていたのかなー? ほれほれ、正直に言ってみ? 素直に吐きだしたら、もっと気持ちイイ事をしてやっても良いんだぜー?」
ピンク色ギャルさん(仮)はクスクスと笑いつつ、さながら小悪魔系を思わすようなあざとい表情で~……って、こんなん成年コミックの本番導入場面ですやん。てか痴女やん。でもこれ素敵やん。
……それに、先程ピンク色ギャルさん(仮)の仰りました「これ以上の快感」っちゅうもんが、僕ちゃん、とっても気になります! そいつは是が非でも御願いしとう御座いまする! ……と考えたその刹那、昨晩「どきどきトゥンクハート」にて飽くほど性欲を発散させまくってしまった事を思い出します。その副作用から、今もなおロングで賢者タイムが続行中なんすよね。千擦りところ……失敬……詮ずるところ、僕のムスコはぐっすりおねんね休業中。
ですので、ピンク色ギャルさん(仮)の有難い申し出は非常に魅力的ではあるのですけれど、そこは真顔に戻りまして「結構です」とハッキリお断りいたします。それに僕はまだ15歳。R-18にはまだまだ早いのにゃん。
「ふーん。……なーんだ、今時珍しく気合の入った見た目の割には、意外と真面目な後輩っちなんじゃんかー。へっへー、イイねー、気に入ったー。そんなヨイ子っちはウチらからしたらさー、大×3好物だったりするんだぜー」
「ふふっ、そうですね。私も貞操観念が高い子は嫌いじゃないですよ」
「まー、もっと気持ちイイ事ってのは、肩とか腰のマッサージの事なんだけどなー」
「ふふっ、ですが、もし貴方がお望みとあらば、性感的なマッサージだとしても、私としては吝かではございませんけれどもね?」
クッ、何なんだその、表向きは健全なメンズエステを装っており、でも実際は裏でエッチなコースも密かに用意しておりますよ~的な無許可営業の風俗店みたいな雰囲気を醸し出しやがって。けしからんもっとやれ。
そして、だからこそなのかは分かりかねますが、お二人は僕から側を離れる事は無く、相変わらずのボディタッチを止めてはくれませぬ。いやぁ~参ったなぁ~……もういっそこのまま、ありのままの流れを全て受け入れて、アダルトライトノベルに方向転換しちゃいます? ←いや、駄目でしょ(#^ω^)(天の声)。
……だってさ、ここは「テク校」校舎内の廊下だし、衆目に晒されたりしたら、とても×2、とーっても恥ずかしいじゃないの (n*´ω`*n)(引き続き天の声)←いや、そこ!?
ぬうう、それにしても、これには流石の僕も照れを前面に押し出さざるを得ません。そりゃあ、お二人ともに、今にも下着が見えそげな短きスカートだったり、ましてや生足だったりが僕のボディに密着している状態であるならば、うら若き健康優良不良少年なれば仕方なしってなもんですって。いやあ、今日が賢者モードじゃなけりゃね、フルボッキからの我慢汁大洪水フェスティバルにて、おパンツぬるぬるカタストロフでしたわい。
ちな、僕は極度の脚フェチでもあったりするのですよ。高身長でスタイル抜群女性の脚線美なんぞに出くわした日にゃ、それはもうね――※御託が過ぎるのでシャットダウン致します。
「ははっ、ほら×2ー、見てみろよー。この後輩っちってば、顔中を火照らせちゃったりして愛い奴じゃのー。よし×2ー、頭のなで×2を倍増しにしてやろうー」
「ふふっ、ですが過度なスキンシップは他者を困惑させてしまいますよ。しかもそれが思春期真っ只中の男子高校生だった場合ですと、十中八九恋愛的勘違いをさせてしまいますからね。くれぐれもほどほどに、ですよ」
そうは言いつつも、水色ギャルさん(仮)とて、僕の顎の下を撫でくりまわします。ウホホ、もうどうにでもなれって気持ち。しかしまあ、お二人ともにイイ匂いすんなぁ。なんつー名称のお香水をお付けなんすかねぇ。もしくはシャンプーorヘアスプレーのかほりなんかな? んまあ、女子の生態は、あの世界的権威のある「国際総合ウーマン神秘研究学会」でも未だ謎とされている事柄が多いので、いち早く解明される事を期待したい所ですね。
しかし、ここでふと思ったのだが、お二人の頭髪と肌の色だけならば、若干「赤鬼&青鬼コンビ」とも被るよなって所なのよねぇ。うーむ、まさか「どきどきトゥンクハート」のメインヒロインを意識しているって訳では無いだろうしなぁ……んまあ、もしもそうであったのならば、僕個人としてはべらぼうに嬉しいのだけれどもね……うん、そうだな。折角だし、その辺りの事をチョロっとお聞きしてみようかしらね。
「……あ、あのう、すみません。お忙しいところ誠に恐縮なのですが、少々お尋ね致したい事が御座います。お二人の髪型はひょっとして、ゲームの「どきどきトゥンクハート」のメインヒロインを意識しているとかだったりしませんよね?」
「おー×2、後輩っちも「どきハト」知ってんのかー?」
「うっす! てか、「どきどきトゥンクハート」の熱烈なる支持者っす!!」
「おー×2、そか×2ー。ウチの場合だと、このゲームの存在自体を知ったのもつい最近だし、ゲームの内容まではそんなに詳しく知らねーんだけどなー。ただ、商品パッケージに写っているメインキャラの女の子が可愛いなって思ってさー、髪型とか真似し始めたんよねー。ちなみにー、ウチはゲームとかはあんましヤらねー主義だし、この「どきハト」もめんどくせーから遊んでねーけどな。ま、せいぜい動画サイトにて、他人様のプレイ動画を視聴する程度だわー(笑)」
「ふふっ、逆に私は「どきハト」に沼っている大ファンだったりしますよ。そのハマりっぷりは、キャラクターグッズなんぞをアニメショップで買い占めるレベルでしてね。ただし、私はどっちかと言いますと「どきどきトゥンクハート -Girl's Side-」の方にご執心なのですけれども」
【ちょこっと補足のコーナー】→説明しよう! 「どきどきトゥンクハート -Girl's Side-」とは、昨年の夏に発売された「どきどきトゥンクハート」を女性ユーザー向けにアレンジさせた、フルボイス学園恋愛シミュレーションゲームである。内容は無印「どきハト」が男性視点なのに対して、本作では女性主人公の視点でゲームを進める内容となっている。よって、内容も女性プレイヤー向けを意識した部分が多く見られる為、僕は未プレイの完全スルーしている現況である。だがしかし、イベントシーン等々、本家「どきハト」に負けず劣らずのスケベ描写が盛り沢山であるとの噂も聞き及んでおりますもので、少しだけ気になる存在ではありまするん。←いつの日にか、K〇NAMI(だから伏字の意味よって)に本気で訴えられやしないかなと、内心ビクビクしていやがるの図
んまあ、そんな事よりもだね、単純に「どきどきトゥンクハート」のファンと、こうやって身近で巡り会えたと言う奇跡が、僕的には至りて嬉しかったりするのである。何だか気持ちも高揚して、この事実だけで今日一日ハッピー、且つご飯三杯はいけるってなもんですわい。
……ああそうか……楽しみを共有出来る友達やら仲間が大切とは、正しくこの事だったのね。いやはや、やっとこさここに来て、そんな単純な事に気が付いちゃう僕なのでしたとさ。
いよっし、そうと分かればだね、僕も晴れて高校生となった訳であるからして、これからはなるだけ気心の知れた同胞を増やして行こうや。その為にもだね、意識して声掛けなんぞを働きかけてゆこうではないかっちゅう話だよ。うふふ、一年生になったから♫友達100人出来るかな♬ってね、デュフフフ♪
「っつー感じだからさー、ウチら二人ともに「どきどきトゥンクハート」をバッチリ意識しちゃっているって事で間違いはねーんだぜー」
「おおー、やはりそうでしたかぁ。まさかあのゲームのファンがこんなにもすぐ近くに、しかもこれほどまでに美しい方々であらせられるとは。いやぁ、今日ほど「どきハト」ファンでいて心より良かったなと思いつつ、身体が震えるほどの感激を味わっている次第ですことよ」
「おー×2、悦ばしい事を言ってくれるじゃねーかよ、このパツキン後輩っちがよー♪」
「ふふっ、右に同じく。全くもってその通りですね」
「うんうん、ですです。……って事はですよね、ここ「テク校」にはあの有名な「赤鬼&青鬼コンビ」が在籍している学園と言う事は御存知だとは思うのですが、お二人のファッションは「赤鬼&青鬼コンビ」を意識しての事では無かったと言う事なのですねぃ」
「ははっ、つーか、「赤鬼&青鬼コンビ」を意識するもなにも、ウチらがその「赤鬼&青鬼コンビ」本人達だしー」
「あはは、またまた~、この様に美美しくも愛らしい貴女方がそんな訳無いじゃないですか~。んもう~、冗談もほどほどにして下さいませね~(笑)」
「おー×2、マジで嬉しい事言いまくってくれんじゃんかよ、後輩っちー♪」
「それにお言葉ですがね、僕は「赤鬼&青鬼コンビ」と同じ中学校だったのですけれど、あのコンビの身長だって、貴女方よりも随分と低かったのですよ?」
「ふふっ、私達もまだまだ成長期ですからね。そこは一年間で身長も伸びたと考えるのが自然ではないでしょうか」
「あ~、それもそうっすよね~。あやや~、それは全く持って盲点だったなあ~」
「うっは、この後輩っちってば、天然も兼ね備えてんのかよー。マジカワイイ野郎じゃのぉー。ホレ×2ー、褒美にウチのおっぱい揉んで良いぜー……って、あんま大きくはねぇし、ペッタンコなお胸だけどなー」
「デュフフ、それならば有難き幸せからのゴチになりますです。ムフッ、つるぺた、ちっぱい、よろこんで。先輩のパイパイだけに、それこそパイセンってなもんですわい、グフフン」
「バ、バッキャロー、今のはマジモンの冗談に決まってんだろうがよー、このエロ金髪小坊主後輩っちがー……ったくー、こいつめー」
そう言いながらピンク色ギャルさん(仮)に軽くおでこを小突かれてしまった僕でありんした。うっほ! やっべ! 女子と、しかも美人なギャルとのイチャイチャ・和気あいあい、めっちゃ楽しい!!
それに、ギャルのお二人も本当に嬉しそうなお顔をしていらっしゃりまするわよん。ふーむ、そかそかぁ、よっぽど容姿を褒められた事が嬉しかったのだねぇ。
「ふふっ、おっと、この地にて些か長居し過ぎてしまいましたね。小小名残惜しいのですが、ここな後輩さんとの戯れも終えまして、そろそろ我々も学園もの作品で定番のロケーションである校舎裏へと向かわないとですよ」
「ああっと、そうだった×2ー。新一年生に呼び出しを食らってたんだったよなー。ご丁寧に果たし状まで寄こしやがってよー。それにしても、きったない字だったなー」
「うぇえっ! 校舎の裏への呼び出しですか! 校舎裏への呼び出しと言えば、告白イベントかカツアゲ事件の二択だったりしますが、まさか校舎だけに後者じゃありませんよね?」
「あっはっはー、残念ながら普通に喧嘩だなー。ま、お手紙まで寄こしての売られた喧嘩だかんねー。買わない訳にはいかんだろうぜってなー」
「いやいやいやいや、駄目ですよ。貴女達みたいなカワイイ女子が喧嘩なんてしちゃ」
「やーん、後輩っちー、お前の方こそホントカワイイなー。おっと、そうだ。どうやら果たし状の差出人も新一年生なんだけどよー。後輩っちはコイツの事とか、どんな奴か知ってたりしねーか?」
「フフン、そう言う事ならばお任せあれ。何を隠そう、この僕はバリバリの高校デビュー男子ちゃんでしてね。この様な時の為に、割り合い近隣のヤンキー事情は調べているのですよ。ちなみに、その果たし状を送って来た輩のお名前は何と仰られるのですか?」
「んあっと、誰だったっけかー。確かこの果たし状の最期に名前が記してあったはずだぜー」
「ふふっ、私はしかと記憶していましたよ。甘露甘味さんと言う名の男子生徒さんでしたね」
「ぬぇえっ! あ、あの! かかか、甘露甘味ですってぇ!!」
「お、何だよ後輩っちー、やっぱこの果たし状野郎の事存じ上げとるんじゃーん」
「ぞ、ぞぞ、存ずるも何も、僕らの世代では好戦的、且つ同年齢同士ならば無敗の喧嘩師として、ここいら界隈にその名を馳せる、超有名な不良学生ですよ!」
「ほーん、そうなんねー。そんじゃま、ウチらにも分かるよう、もうちっとだけ簡潔に詳細を教えてくりゃれ、後輩っちー」
「はっ! 了承いたしました。不肖、ウィ〇ペディアならぬ進ペディア行かせていただきます。えー、甘露甘味とは随分なスイーツ好きでして、通称「スイーツの甘」とも呼ばれております。自慢のリーゼントがケーキの形をしており、しかも実際に食べられるとの噂です。ちな、そのどたまのケーキは日替わりで種類が変わるとの事らしいのです」
「プハハー、マジかよー。すんげーおもしれー奴じゃーん。ぶっ倒した後に、ちょこっとクリームだけ舐めちゃおーっと」
「ふふっ、私は何気にバタークリーム派なので、そちらの方のクリームだと喜ばしいですね」
「ちょっとお二人とも! そんな呑気な事を言っておる場合じゃないですって! この甘露甘味ってな男子はですね、「都立一寸堕化惡中学校(略して「ちょいワル中」)」出身でしてね。本来は「ヤバ校」に進学予定だったみたいですけれども、お受験日の前日にチョコレート菓子の食べ過ぎで体調不良となりて受験に失敗。しぶしぶ本校の「テク校」へとやって来たそうなんすよ!」
「うっは、マジかー。増々ギャグ漫画みてーな男だなオイー(笑)。しかも「ヤバ校」は落ちたのに、ここの「テク校」は受かったんかよー(笑)。でもまあ、その爆笑エピソードを聞く限りじゃあさー、おおよそ賢い輩には思えないんだよなー。「テク校」ってそこそこ偏差値が高ぇしよー」
「ふふっ、もしかしたら学業の成績だけは優秀なのかもしれませんよ。ほら、日常はぼーっとしている人なのに、お勉強だけは出来る人って稀に存在するじゃありませんか」
「あーねー、確かにウチらの同い年にも、そんなのがチラホラ居たしなー。だとしたらよー、見た目とは違って、そこまでヤバい坊やじゃなさそうじゃねー?」
「ふふっ、そうなのかもしれませんね。根は真面目なイイ子だったりするのかもしれませんし」
「いやいやいやいや、お二人とも根本的にオカシイですって。頭がケーキの形をしている時点でヤバい奴ですってば」
「おー? オカシイってお菓子だけにってかー? ヒュー、ノリ良いじゃんかー、後輩っちー、ウェーイ♪」
「んもう、陽キャのノリで、唐突なるハイタッチとか別に良いですから、もう少し僕の話を真面目に聞いて下さいよ!」
この様な感じでバ会話を繰り広げておりましたらば、「おいゴルァ! この甘露甘味様を、いかばかり待たす気だよゴラァ! しこたま遅っせーよ「赤鬼&青鬼コンビ」ゴルァ! オレ様寂しくって、油断したらうっかり泣いてしまいそうだったんだぞゴルァ!」ってな怒号と共に、一人の男が乱入してきやがりましたのよ。
「……ったくよゴルァ! 待ち合わせ場所である校舎裏にて、待てど暮らせど来やがらねぇからよゴルァ! あんまりにも遅ぇーから心配になって、ついつい探しに来ちまったじゃねぇかよぉゴルァ!」
「おう×2ー、こりゃまたすまん×2ー。今から行こうと思ってたトコだったんよー」
「ふふっ、と言いますか、本当に頭が苺の乗ったショートケーキの形なのですねw」
「それなーw するってーと、ヤンキー+ケーキだから呼び名はヤンケーキだなーw」
ギャルなお二人は大爆笑です。
「てかさー、甘いもんが好きってなコンセプトのヤンケーキっちなんだろうー? じゃあさー、それなりに特別スキル的なもんとか持ち合せとるんじゃないんー? ぜひともお披露目願いたいもんだぜーw」
ピンク色ギャルさん(仮)がそう問うと、甘露甘味は何度か鼻をひくひくとさせたのちに、自信満々のドヤ顔で言い放ちます。
「おうともよ、よくぞ聞いてくれたぜゴルァ! たった今よりこのオレ様の特技をご覧に入れて差し上げるぜゴルァ。へへっ、さっきからバニラのイイ香りがしていやがるからなぁゴルァ。てめーらの中にバニラのアイスクリームを食べて来た奴が居やがるってこったぜゴルァ。ズバリこのかほりはだなゴルァ、ハーゲン〇ッツの期間限定販売である『熟成バ〇ラ 芳醇な香り』だぜゴルァ!」
「いやー、それ多分ウチらが付けてる香水だわー。ア〇スイのス〇ドリームスってやつなー。どうよ? ウチらがっつりバニラアイスみてーで美味しそうっしょー? 試しに味見してみっかー? w」
「ふふっ、私達のお気に入りのオーデトワレですものね。アナ〇イのラストノートは、とってもバニラの芳しい香りがするのですよね」
※香水は時間が経つとともに、香りが変化していきます。つけて初めての香りがトップノート、少し時間が経ってから香るのがミドルノート、 香水の香りが消えるまでの香りがラストノートです。ラストノートは、ベースノート、ボトムノート、 ラスティングノートとも呼ばれます。←参考文献:化粧品通販サイト「アイビューティーストアー」内の「コスメの素朴な疑問」より。https://www.ibeautystore.com/beauty-lessons/10
「……お、おう、そうだったんだなゴルァ……オレ様がっぽりミステイクだぜゴルァ……」
「……うん×2ー、つか、なんかテンションを下げるような事言っちゃってゴメンなー」
「……いや、オレ様の方こそ甘党道の修行が足らなかったっつーか、なんつーかなゴルァ……兎にも角にも、すまんかったぜゴルァ……」
おいおい、何だこの頭の中がお花畑人間同士のやり取りはよ。そして、辺り一帯が気まずい空気に包まれ、甘露甘味もすっかりしょげ返っている。
でもまあ、これは良い傾向かと思われだぞ。この空気を引きずったままに、校舎裏での決闘をチャラにして避けられるやもしれぬ。ここはこの僕が一肌脱いで、その突破口を切り開くべきであろうよ。
かくの如き考えに至り、僕が真っ先に口火を切った。
「ええっとですね、と言いますか、ギャルなお二人の髪色と肌の色が「赤鬼&青鬼コンビ」とクリソツなせいで、甘露甘味氏が勘違いしちゃったのだと思いまするよ?」
「んもうー、後輩っちったらさー。だからよー、ウチらがその「赤鬼&青鬼コンビ」なんだって、さっきから散々っぱら言ってるじゃんかー。……って、ウチは確実にそう言ってたよなー、響輝ー?」
「ふふっ、確かに仰ってはいましたけれど、蘭丸がその事に言及したのは一度だけでしたよ。そこまで頻繁には発言しておりませんね(笑)」
「なははー、そか×2ー。それだったら、もそっとウチのうっかりミスだわー(笑)。失敬×2ー」
「いや、ご自分の名前まで「赤鬼&青鬼コンビ」に寄せて捏造しちゃわないで下さいよ。マジで冗談抜きに無理しないで下さいってば」
「ふふっ、ではこうしましょう。我々の実力を生で見せつけて差し上げるのですよ。さすれば、後輩さんと甘露甘味さん共々に納得すると思われますし」
「んー……ま、それもそっかー。つー訳だから後輩っちよー、これからウチらと甘露甘味によるー、気高くも美しき泥試合を見学して行ってくんろー」
「気高くて美しく醜い争いだぁ? 何ですか、その不一致も甚だしいキャッチフレーズもどきみたいな表現は。んまあ、どうでもいいですけれど、これだけは何度でも言わせていただきますね。喧嘩なんてしちゃ駄目ですってば!」
するってえと、先程までとことん凹んでおり、又もやほったらかしを食らい続けていた甘露甘味氏であったのだが、僕らの一連の会話劇でやにわに反応を示したのである。ついに堪忍袋の緒が切れちゃった彼が、プルプル震えつつ、プンスコしながら声を荒げちゃうのでした。
「いい加減にしやがれよてめーらゴルァ! 「赤鬼&青鬼コンビ」っつったら、髪の色で判断出来る人類種だろうがよゴルァ! だから裸眼で両眼の視力が2.0であるこのオレ様が見間違う訳がねぇってんだよゴルァ!」
あん? 何言ってんだこいつ。混じりっけなしのアホの子かよ。何でこの知能レベルで普通に「テク校」の筆記試験で合格出来たのだろうか。ったく、こんな馬鹿を入学させてしまう「テク校」側にも問題があるってんだよ。そんな事をしていたら世間様から底辺高校だと勘違いされても仕方が無いし、延いては「テク校」のテキトーさ加減に一抹の不安を覚えますよってな話ですよ。だからこそ「テク校」の名誉の為にも、甘露甘味氏は即刻退学にするべきだと、僕は強く思うね。
そんな僕の想いもどこ吹く風よってな具合で、立て続けに甘露は咆哮をいたします。
「それにだなゴルァ! 「赤鬼&青鬼コンビ」が男だとか女だとかどうだって良いんだオレ様はよぉゴルァ! 時代はもう令和だぞゴルァ! 今はそんな些細な事に固執する御時世じゃねぇだろうがよゴルァ! 違うかよ、ああんゴルァ!!」
おやや? 見た目こそ出来損ないのアバターみたいな彼でしたが、何気にぽろっとド正論パンチでぶん殴りに来やがる御仁なのですな。もしかして根っこはきちんとしているお子さんやもしれませぬ。うむう、この様に優れた人材を大事に養成する事こそが教育現場のお役目でしょうや。将来的には甘露甘味氏こそ、この「テク校」をしょって立つ逸材、延いては「テク校」の宝や誇りと称される存在となり得るやもしれませぬからの。←烈々たる手のひら返し
そう僕が思いかけたのも束の間、甘露甘味氏は続けざまに、懐から鋭利なナイフの様な物を取り出しやがります。
「つうかゴルァ! どうしてこのオレ様が落ちこまなくっちゃいけねーんだよゴルァ! このオレ様をケチョンケチョンにコケにしやがっていい度胸してやがんよゴルァ! このナイフでテメェらの顔面をグチャグチャにしてやるぜゴルァ!」
ぬう? 予想外のGYE (ガチヤバイベント)発生である。ぷへぇ! ←ツッコミ待ち
さぁ、こんな時に「赤鬼&青鬼コンビ」ならどうするってな、毎度おなじみのフレーズが僕の頭の中を駆け巡る。導き出された答えは、ギャルなお二人の盾となり、この僕が全力で御守りするってな選択肢一択であった。
「おうおう、この様な美しきギャル女子お二方に対してマジ喧嘩を申し込むとは何事かね! しかも物騒なナイフまで取り出しやがって恥を知りませい、このヘンテコお菓子ヘッドマンめ! 貴様ごとき胸糞変人外道丸は、この僕こと一本気進が相手になってやらあ!」
うーぬ、とは言え相手はナイフっちゅう凶悪なる武器をお持ちである。超絶怖くて震えているくせに、僕自身が相手になると甘露甘味氏に宣言しちゃったい、どうしましょ。かと言って、今更後に引けないしのう。……あれ? これってもしかして、僕ってば詰んでんじゃね?
これに対し甘露甘味氏は「へっ、貧弱そうな童顔の面構えとは裏腹に、そこそこ根性あんじゃねえかてめーゴルァ。髪型と服装のヤンキーファッションは伊達じゃねぇって事かよゴルァ。ふん、オレ様てめーの事を、ちいとばかし気に入っちまったぜゴルァ。その勇気に敬意を表して、まずはてめーの全身をこのナイフでグッチャグッチャにしてやるぜゴルァ!」
はは、やっぱ見た目通りの危ねー奴だったなコヤツは。うん、僕の人生終わったなコレ。
だもんで僕は覚悟を決めて、「お二人は早く逃げて下さい!」と、ギャル御二方に向かって言い放つ。
しかし、とうに猛スピードで僕に近付いて来ていた甘露甘味氏のひざ蹴りを、諸に僕は土手っ腹に食らってしまう。だがしかし、ただでは終わるまいと、僕は一切怯まずに、甘露甘味氏の胴体を両腕でがっちりロックして身動きを封じたのだ。恐らく一年前の僕ならば悶絶していたであろう本シチュエーションであるが、筋トレやマラソンで身体だけはガッチリ鍛えていたお陰で傷は浅いぜぁ。
「ああんゴルァ? てめー力だけは相当あんのなゴルァ! くっそゴルァ! その手を放せよてめーゴルァ!」
「ううう、死んでも放すもんか! 「赤鬼&青鬼コンビ」みたく、僕だって誰かを守る人間になってやるんだから!」
「おおんゴルァ! 何だかよく分からんが、血迷ってんじゃねえぞクソガキがゴルァ! 取り合えずここいらで大人しく死んどけゴルァ! おらぁ! ナイフ攻撃を喰らいやがれやゴルァ!」
そうやって甘露甘味氏が、僕に対してナイフを打ち下ろそうとした次の瞬間、ピンク色ギャルさん(仮)さんと水色ギャルさん(仮)が瞬時に甘露甘味氏との距離を詰める。そこから続け様に、まずは水色ギャルさん(仮)の回し蹴りでナイフをはね飛ばし、透かさずピンク色ギャルさん(仮)のアッパーカットが甘露甘味氏の顎を直撃する。そうして、そのまま甘露甘味氏は「ゴルァ!」と一言漏らしてからの、口から泡を吹く&仆れ込みの刑にてジ・エンドです。
※↑ずっと悩んでいたここのシーンですが、やっぱり一人称視点ではちょっと無理があるとの結論に至り、特別措置として一時的に神の視点でお届けしたっつう体にしといてくりゃれのクドリャフカ。
すまんちゃい(o*。_。)oペコッ
その直後、お二人は僕に向かってこう仰るのです。
「めっちゃカッコよかったぜ、後輩っちー。ぶっちゃけ超シビレたわー♪」
「ふふっ、私も蘭丸に同感ですね。先ほど起こした後輩さんの勇気ある行動は称賛に値します。そう、誰しもがおいそれと出来る行為ではありませんので、後輩さんは胸を張って良いのですよ♪」
そんな風に、立て続けにお二人からお褒めの言葉を頂戴したのである。ヤベー、ギャルに褒められるとか、嬉し過ぎておしっこ漏らしそうなんだが。略してうれしょん!
いや、そんな事よりもだよ、僕はたった今、ギャルお二人が甘露甘味氏を瞬殺するのを目の当たりにしてしまった事実っすわ。
そう、一度見たら忘れもしない、「赤鬼&青鬼コンビ」の攻撃方法だ。お二人の息の合ったあの連携技……それに、何よりも相手を一撃で完璧に沈めていくスタイルである、蘭丸先輩のパンチ&響輝先輩のキックの威力である。それらがつい今しがた、僕のすぐ傍にて完全再現された形なのだから。
……ああ、目の前に居るこの美しいギャルお二人が、あの「赤鬼&青鬼コンビ」であるとは、にわかには信じがたい事ではあるのだが、どうやら間違いないのであろうよ。理由は単純明快。何せ、あれら強力な技を繰り出す人間が、他にこの地球上ではDRAG〇N BALL(ふ、伏字ェ……)の登場キャラクター以外に存在するとは考え難いからだ。従いましては、この面前に御座すギャル御二方こそが、紛れもなく僕の尊敬する「赤鬼&青鬼コンビ」なのであると、僕の中にて確証が得られた瞬間なのでありましたとさ、チャンチャン♪
しかしまあ、立て膝の姿勢で呆然としながらも、又もやお二人の背中を見ているしかない、相変わらずふがいない僕なのである。これじゃあ某有名高校のバスケットボール部監督である安西先生に「まるで成長していない」と罵られても仕方が無い失態でごわすよ……。
「ふふっ、それよりも、甘露甘味さんからの攻撃を受けたお腹の方は大丈夫なのですか、後輩さん?」
「それなー、つうか保健室とか行っとくー?」
「……そっすね……や、身体の方は一年前からせっせと鍛えてたんで、謂うほど、そこまでのダメージは無かったみたいっすね! んまあ、実践経験が皆無でしたから、こう言った局面でもヤられ慣れてないんで、ちょびっとだけビックリしちゃっただけっす!」
「そか×2ー、そいつは重畳×2ー。つーか、後輩っちの名前って一本気進ってんだなー。フルネームだとより一層カッケーじゃーん」
「あっ、恐縮っすっす!」
「うん×2ー、ええっとー、じゃあ呼び方は進っちで良いよなー。って事でー、進っちも今日からウチらのダチな。字面は仲間と書いてダチなー(笑)」
「ふふっ、これからもよろしくお願い致しますね、進さん」
「ああっと、ええっと、……こ、こちらこそ、よ、よろしくお願い致すますますっす!」
と、この僕の返事に対して、お二人は揃って「言葉がカミカミだねー(笑)」と笑顔でお言いになりまする。たはは、ものごっつい既視感ワッショイ、ヨーソロー。
しかしまあ、何やら流れで「赤鬼&青鬼コンビ」と早々にお近づきになってしまったぞい。よっしゃ! 結果オーライ、棚ぼた、イエイ! ……と素直に喜んで良いものかどうか、色々有り過ぎてて、僕の脳味噌がオーバーヒート気味ですからしてな。ちょびっと休憩したいかもなのですのん。
「おー×2、そうだ×2ー、ヤンケーキっちのナイフを回収しとかねーとだなー」
そう蘭丸先輩が口に出しつつ、甘露甘味氏の手元から離れて、廊下の端っこに転がっているナイフ。そいつを蘭丸先輩が拾って手にしての開口一番をば、張り切ってどうぞ。
「あー、やっぱこのナイフってさー、ここんとこ話題になっていた、単にナイフの形を模したチョコレートバーじゃんかー」
「ふふっ、最近になって人気のY〇uTuberやTikT〇ker(ですから伏字の意m……もういいや、諦めた)等のインフルエンサーがこぞって紹介をしていたお陰でバズっていますよね。実の所、私もついつい通販で大人買いをしちゃいましてね。ほんの10ダースほどです」
「それって単純計算で120本じゃないっすか。いや買い過ぎっすよ。多分ですけれど、ポチる時に数量をトチったと予想するっす」
「ふふっ、淡々と冷静なるツッコミを賜り、厚く感謝申し上げますね、進さん」
「なーんだー、響輝もやっぱ気付いてたんだなー。まあよー、確かにチョコレートならさー、顔も体もチョコでグチャグチャになっちまうよなー(笑)」
※ナイフ型チョコバーは、この後、スタッフが美味しく頂いたのかもしれません。
すると、ここで甘露甘味氏が、倒れたままだが突然に語り始めたのである。あまみ、生きとったんかワレ。
「……くっくっく、このオレ様がたったの一撃で地面に沈められたのなんざ初めてだぜゴルァ。……見事にオレ様の完敗だぜゴルァ……」
「あー×2、まーた仕損じまったよー。なんかさー、最近ワンパンで沈んでくれねーヤツ増え過ぎ説立証なんじゃねー?」
「ふふっ、この女装姿を維持する為に、我々が過酷なるダイエットを頑張ってきたツケが回ってきたのでしょうね。そいつの副作用にて、多少のパワーダウンはやむを得ないかと」
「だなー。あとさー、ネイルを施した爪を守る為にはよー、どうしても全力で拳を握るのを躊躇しちゃうんよなー」
「ふふっ、下手をすれば爪が割れてしまいますものね。かと言って地爪(付け爪などしていない、元々の自分の爪の事)やショートネイル(短く切った爪でのネイル。デメリットとしてはジェルネイルが剥がれやすく、ネイルデザインの幅が制限される点etc.)では味気ないですし、はてさてどうしたものか」
「それなー。あっ、そーだ。今度宏っち先輩にイイ感じの人工爪を発明できないか聞いてみようぜー」
「ふふっ、それは妙案ですね。早速今日にでも相談に伺いましょうよ」
……へぇ~、一匹狼ならぬ二匹狼の「赤鬼&青鬼コンビ」って、一切他人と接していそうにないよなって、勝手に僕自身が決めつけていたのだけれど、どうやら思いっきり偏見だったみたいだね。反省。その点を踏まえた上で、どうもそんなお二人が慕っているっぽいその先輩さんと言う御方が、はたしてどの様な人物なのかが非常に気になる所ではありますねぃ。
うーん……しかしまあ、全く相手にされてない感じの甘露甘味氏が、ちょっくりだけ不憫になってきたでござるよ。しかも、そんなものはお構いなしとばかりに、彼は喋り続ける事を止めはしないしよ。メンタル強ぇなこの野郎。
「……つうか、このオレ様はなゴルァ、空前絶後のドMなんだよゴルァ。むしろ痛めつけられて、快楽を得たいが為に喧嘩を吹っ掛けるまであるからなゴルァ。今のこんな屈辱的敗北状況なんぞ、まさしくご褒美以外の何者でもないのだぜゴルァ。だからよぉ、もう一発キツいのを御願い致しますぜゴルァ……」
恍惚の表情で鉄拳制裁をおねだりする甘露甘味氏に、一同ドン引きで御座いますわよゴルァ。
そうして、当の甘露甘味氏はむくりと起き上がると「頼むぜゴルァ! オレ様にもっと痛みと言う名のエクスタシーを恵んで下されやゴルァ!」と雄叫びながら「赤鬼&青鬼コンビ」にゆっくりと迫り寄りやがります。その姿はさながらホラー映画のゾンビの様でありんすな。
「うええー、キモッ! 近付くんじゃねーよ、このヤンケーキゾンビっちがー! えいやー! こんにゃろめー!」
そう言って蘭丸先輩が甘露甘味氏の頬っぺたを一発ぶん殴ります。しかし、甘露甘味氏は全く怯む様子も見せずに「もっとだ! もっとだぜゴルァ!! もっと甘美なる痛みを与えておくれやゴルァ!!!」と「赤鬼&青鬼コンビ」に詰め寄ります。
「ふふっ、これはいけませんね。蘭丸や、ここは一旦退散する事と致しましょうよ」
「お、おう×2ー、そうだな響輝ー……くっそー、「赤鬼&青鬼コンビ」の喧嘩史上初の敗退&逃走は悔しいけれど、こんな薄気味の悪い相手とはもう戦いたくねーぜー」
「ふふっ、しょうがないですよ。こんなゾンビみたく、不死身で得体のしれない相手には逃げるが勝ちですよ」
「それなー、ほんじゃま退散じゃあー」
蘭丸先輩の掛け声とともに、「赤鬼&青鬼コンビ」はものごっついスピードで一目散にこの場から去っていきまする。ですが、甘露甘味氏も負けず劣らずの俊足でコンビの後を追っかけて行っちゃいました。……んー、走るゾンビってマジで怖いよな。ゲームのバイ〇ハザードのリメイク版であるbi〇hazard (もうツッコまんぞ)に出て来る、ダッシュするゾンビのクリ〇ゾン・ヘッドとか、掛け値なしにトラウマもんなんだが。
さてと、周辺にて一連の様子を見学しておった幾人かのモブ生徒共も各々が解散と相成り、残された僕は一人むなしく佇むのみです。
んまあ、ぼけっと突っ立っていても意味が無いので、当初の予定通り、僕は一年桃組の教室へと向かったのです。うぬん、取り合えず、今日は入学式&教室にて学級担任と生徒の顔合わせだけで授業は無しとの事である。であるのならば、本日はもう精神的に疲れたので、とっとと家でゆっくり寝るべきかなと思われまする。
そう判断した僕はそそくさと下校し、スピーディーに帰路へと付いたのであった。
ふう、しかしまあ、入学初日でどえらく濃い一日だった気がするが、これからどうなるのだろうか僕の学園生活は。
……てか、何で「赤鬼&青鬼コンビ」は女装なんてしてんすか! ←反応が遅い! (CV:大塚〇忠)
そう、この僕はあの途轍も無くカッコよくて男らしい先輩方に憧れている事は周知の事実なのである(知らんぞ)。しかし、今のお二人はあの「ドキドキトゥンクハート」のヒロインが、丸でゲームの中から飛び出してきたかの様なハイクオリティ美貌を備えていなさるのですぞい。
ぬぬぬう……基本的に僕の恋愛対象は二次元ではありまするが、確実に言えるのは異性愛者であると言う事でありまする。しかし、当の先輩方は生物学的には♂であるという悲劇ですわ。……ぬおおお……僕としては、どちらの先輩方の出で立ちを推せば良いのやら、自身の心が右往左往に揺れ動いておりますばいよ……ううう、もしかしたら、この僕が今まで生きて来た中で、断トツトップで悩んでいる案件やもしれませぬぞ。
ああ、何だか今日は矢継ぎ早にイレギュラーな事が起こり過ぎて頭痛がしてきちゃったよ。こげな仕打ちとか、この僕が世界一柔らかいと言われる、ゆし豆腐メンタルだと知っての暴挙かよぉ! ←知らんし。なら主人公なんか辞めちまえよ。
よし、どっと疲れたから、今日はもう寝てしまおう。なあに、明日には明日の風が吹くってなことわざもありましょうしな。うん、本日のまとめ。あんなに可愛い憧れの先輩方が男の娘のはずがない! ……んあ? ( ゜ ρ ゜ )ボー ←色々あって頭の中身がバグったのだわね。ご愁傷様でした。