表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/31

9.アタオカ親仔無双

 日が洋上から落ちようとしていたとき、ユニコーンの親仔が村の入り口に現れた。

 王女であるエマは、深々とフードで顔を隠して神官を装い、高原3姉妹は天使の侍女として側に控え、先頭を行くのはもちろん、エルフであるドワーフである錬金術師レンチである。


 とうぜん、村人たちは驚いた様子で一団を眺めていた。

「な、な、なんだ……あんたらは!?」

『小生は海賊ファルシオン。未だに地に縛り付けられた魂たちから船を接収しに来た!』


 当たり前だが、村人たちはお互いを見合ってざわついた。喉かな漁村に謎の一角獣の集団が出現し、更に不可能と思われる心霊スポットを攻略するというのだから、黙っている方が無理な話だろう。

 村人の中でも、お節介そうな若者が言った。

「ちょ……わざわざこんな時間でなくても、せめて昼間にしなよ? な? な?」

『それはできない相談だよ。取りこぼしがあっては、こちらとしても困るんだ』


 村人たちは再びざわついていた。心霊スポットの恐ろしさを知っている彼らから言わせれば、いくらユニコーンが2頭いても無謀だと思ったのだろう。

 だからこそ、小生は体中の霊力を具現化してから言った。

『道を開けろ』


 村人たちは誰しもが驚いた顔をして道を開けた。

 それだけでなく、物好きそうな村人の何人かがこっそりと付いてきている。気持ちはわからなくもないが、幽霊に攻撃もされかねない危険な行動だ。

『我らに付いてくるのなら誓約を立ててもらうぞ』

「な、なんだよ……いいじゃないか。俺たちの村なんだぞ?」

『霊魂との戦いは重度の危険が伴う。ケガはもちろん精神錯乱、下手したら死ぬことになっても構わないという誓いを……立てられるか?』


 村の若者の一部は青い顔をして逃げたが、その中でも肝が据わっていそうな5人が踏みとどまった。

「俺たちだって海の男だ! そんな誓いは毎日立ててんだよ!!」

「そうだ。よく言ったぞポール!」

「俺様たちは逃げねえ!」

 なかなかに心意気のある若者たちである。

『気に入った。死ぬ気で付いてこい』



 歩くこと30分。

 すっかり日も沈んで西側の空にさえ星が光りはじめたとき、小生たち2頭と10名は足を止めた。


 無数の船の残骸が散らばっており、中には横転しているだけで起こせば使えそうな船まである。しかし、小生の目には、その周囲に人の姿をした透明なオーラ。つまりゴーストが無数に映っていた。

『表にいる霊魂だけで……おおよそ140かな?』


 グラディウスが笑うと船乗りの幽霊たちは、なんだお前らはと言いたそうに小生たちを取り囲みはじめた。さすがの漁村の青年たちも怯え声を出して、小生やグラディの背中に隠れていく。

『じゃあ、お父さん……どっちがたくさん仕事をこなせるか……競争だね!』

『ふふ……言うではないか。いいだろう!』


 本当に地獄というものがあるのかは判らないが、ユニコーンの力で閻魔という地獄の裁判官がいたときに、仕事がしやすいように計らってやるとしよう。

 これから言い渡すことは、小生からの推薦状だ。


『オーラ力がたったの7か……ウマっころめ』

『一匹は俺様がやる。確実に命ある魂を食って、悪魔になるんだ!』

 船乗りの幽霊たちはグラディウスをみて呟くと、剣を抜き弓矢を構えてきた。

 その表情から、選別を行わなくても大半が悪人だと察しが付く。生前もこうやって多くの命を殺めてきたのだろう。

 グラディウスと小生は、一気に角を光らせた。


『地獄、君も地獄、君は大地獄』

『ぎょば!?』

『はぐば!?』

『ぼぐお!?』

『地獄だ。貴様は大地獄。貴様は……もう一度生まれ直せ!』

 小生も息子も、襲い掛かってくる霊魂を角で薙ぎ払ったり、魔法をぶつけて浄化したり、蹴り倒して浄化したりと大忙しだ。

『はい地獄、地獄、地獄に大地獄。君も地獄、君も地獄に、隣も地獄!』

『貴様は大地獄。お前はやりなおし。お前は……特別に天国。お前はやり直し!』

『地獄、君も地獄、君は大地獄!』


 小生はちょっと待てと思いながら息子を見た。さっきから霊魂に対して地獄としか言っていない気がする。

『グラディ、お前の地獄レシオは……何対何になるんだ!?』

『そ~れ地獄。君は血の池地獄。君は無間地獄。君は灼熱地獄。今日は地獄のバーゲンセールだよ!』


 気が付いたら、グラディから海賊と思しき霊魂たちが逃げ回っていた。というか地獄のバーゲンセールなんて、一体だれが得をするというのだろう……?

【作者からのお願い】

 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

 気に入って頂けたら【ブックマーク】や、広告バーナー下の【☆☆☆☆☆】に評価をよろしくお願いします。

 また、★ひとつをブックマーク代わりに挟むことも歓迎しています。お気軽に、評価欄の星に色を付けてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ