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4.錬金術師レンチが仲間に

 隠れ家に戻ったレンチは、すぐに車庫に車型ゴーレムを入れて調査をし始めた。

 しばらく彼女は夢中で構造を調べていたが、少し落ち着いた頃合いを見計らって、小生は車ゴーレムの動力源を船舶に転用できないか質問してみた。

『レンチよ。この車の動力源を船舶に用いることは可能だろうか?』

「そうねぇ……」


 レンチは車の出入り口から顔を出すと、少し困り顔をしていた。

「船を動かす力と車を動かす力では、求められるモノは違ってくるから、これを取り外して船舶に付け替える……という訳にはいかないわ」

『一朝一夕で上手くいくとは思っていない。お前の力でどうにかならんか?』

「うーん……個人的には挑戦してみたいけれど、課題は多いわね」


 彼女は視線を上げて言った。

「帆は使うんだよね?」

『ああ、普段は帆や海流を頼りに進み、緊急時に魔法力で高速で動く。という形が理想だ』

「それなら、魔導士の数は少なく済ませることができるかもしれないわね」


 彼女はしばらくブツブツと、なにかを呟くとこちらを見た。

「どういう原理で船を動かすのかが問題だけど、とりあえずキャプテンファルシオンに、どれくらいのマジックパワーを出せるのかを知りたいわね」

『マジックパワー? 船を動かすためのエネルギーのようなものか?』

 そう質問をすると、彼女はしっかりと頷いた。

「そう考えてもらって構わないわ。化石燃料の調達は難しそうだから、魔法力だけで賄えることが理想ね」


 レンチはそういうと車の中から金属の紐を出し、小生の角に結び付けた。

「じゃあ、魔法力を出してみて。ジョギングするような気持ちでお願い」

『わかった』

 頭の中で重いものを動かすようなイメージをすると、車から取り外された魔導器が動き始めた。

「え? は……? ええっ!?」

『……どうした?』

「あ、あんた……熟練魔導士が5人がかりで動かすような装置を、たったの1頭で動かしてるよ!」

『そうか? 小生としては、軽く歩いている感覚だが?』


 少し脚を早く動かすイメージをすると、取り外されたモーターは高速回転をはじめた。レンチの備え付けた測定器の数字もはね上がり、8400という数字が記されている。

「ストップストップ。これ以上の負荷をかけるとモーターが焼き切れちゃうよ!」

『わかった』

 魔力を送り込むことを止めると、レンチはほっと胸を撫でおろしていた。この様子だと本当にモーターが焼き切れてしまうことを警戒していたようだ。

「モーターの規格や、中の構造を見る限り3000くらいのパワーで動かすみたいよ」

『デリケートな代物なのだな。わかった気を付けよう』


 率直な意見を口にすると、レンチはひきつった笑みを浮かべていた。

「あたしがさっきバイクを飛ばす感覚で動かしても、1500くらいだったんだよぉ……3000って5人がかりで3000の魔法馬力を出すって……ことだからね? かなりタフな代物なのよ??」

『我々ユニコーンは人間の何倍も食べるのだから、何人分も働かなければ示しが付かんだろう』

「ま、まあ……そうだけど」


 レンチは元の表情に戻ると言った。

「とにかく、動かす魔導士の心配はいらなそうだね。問題は……さすがに3人では少なすぎるし、船本体もまだ手に入っていないことだね」

 小生も、その通りだと思いながら頷いた。

『最低でも船旅に詳しい者と、商売に明るい者と、食料を保存する技術に長けた者が必要だな。他にも船内が壊れた際のダメージコントロールをする者や、他の船と旗を用いて交渉を行う者や、甲板に出て万一の時に戦う者や、海に落ちた者を空から救助できる者がいるとよい』


 その話をじっと聞いていたエマは、微笑みながら言った。

「本来なら医者とかも必要ですけど、それはキャプテンがやってくださるのでしょうか?」

『確かに治癒魔法の心得はあるが、船の上での病などは素人だ。医者の獲得も難しいだろうから、船旅に詳しい者から話を聞いて知恵を絞るしかあるまい』

「…………」

『どうした?』

「なんだか、キャプテンがいれば大抵のことが何とでもなりそう……」

『全くそうは思わん。むしろどんな人材が集まるのかが鍵だ!』


 エマは、すっかりやる気という様子だが、王国の両親たちが心配していないか気掛かりだ。

 情勢がマシだったら、いったん実家に寄って話し合いの場を設けるのもいいだろう。

【レンチからの挨拶】

 本当にファルシオンは規格外すぎてびっくりするなぁ……

 さっき5人がかりで3000って言ったけど、あれって厳しい魔導士としての訓練を受けた精鋭が、5人がかりで動かすって意味だよ。普通の魔導士なら1人で200とかそこらの数字しか出ないからね。


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 それにしても、軽く動かして8400って何よぉ……エマ王女の1200でも、十分に常軌を逸した値だってのにぃ……

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