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3.動力源の確保

「船舶の動力ですが……何かお考えがあるのでしょうか?」

 エマがそう質問してきたので、小生は頷いて答えた。

『ああ。魔王軍の軍勢を見ていた時に魔法力原動機……マジックエンジンというカラクリで鉄の塊を動かしていた。訓練を受けた魔導士が数人がかりで魔力や霊力と呼ばれる力を送り、プロペラを回転させる装置だ』

「そ、そのようなモノが!?」

『正確に言えば、お前を助け出す少し前に……大型の車型ゴーレムと戦いになってな。そこにある』


 車型ゴーレムを見たエマは、ポカンとした顔をしていた。

 推定で30トンもの鉄を纏った塊は、大人しく止まっているが、中に魔王軍の魔導士が5人ほど乗り込めば再びガチャガチャと音を立てて動き出すだろう。

『個人的な意見としては、正面に大筒を融合させ、無限軌道方式を採用すればもっと善戦したと思うがな』

「奇妙奇天烈なことをおっしゃいますね……」


 エマは少し表情を戻したが、首を傾げながら質問してきた。

「どうして、キャプテンはこのようなことをご存じなのでしょうか?」

 どうやらエマは、小生が魔導器に詳しいことが不思議で仕方ないようだ。

 確かにユニコーンは、森の木々や泉が枯れないように精霊を補佐するのが普通だ。このような魔導器に詳しい一角獣など小生と、息子のグラディウスくらいだろう。


『ここは四択問題と行こうか』

 エマは頷いたので、小生は言った。

『1.前世が人間で記憶が一部だけ残っている 2.炎の精霊と仲良しだから兵器に関する知識を得られる 3.魔導技術に精通した友人がいる 4.頭がおかしい一角獣だから』


 エマはしばらく悩んでから答えた。

「難しいので、もし当てたら私の願い事を1つ叶えていただいてもよろしいですか?」

『外したら小生の世話をずっとさせるぞ?』

 そう切り返すと、エマは確信を得た表情で言った。

「答えは全部ですね?」

『…………』

 さすがに図星を突かれるとは思わなかった。


「では、キャプテンの正室の座は私が頂きます♪」

『こらこら、小生はウマだぞ……王女である君は……』

 エマは珍しく、言葉を遮って発言した。

「貴方ほど霊力のある精霊獣なら、人間になることもできるのでしょう?」

 敏い娘だけあり、さすがに痛いところをついてくる。


『確かに可能だが、小生には元妻や子供たちも……』

「ユニコーンは森の王様です。奥さんが複数人いるのは普通のことではありませんか」

 そう言いながらエマは、小生の頬に口づけをしてきた。

 こいつ……清純そうに見えて、なかなかのやり手だ。尻に敷かれるのは牡としては幸せなことだが、退屈な牡だと思われないように十分に注意しなければ。



 ん……この気配は……

 小生が耳をピクリと動かすと、エマは元のまじめな表情に戻った。

 さすがに王女だけあり公私の切り替えが早くて助かる。空を見上げると、見覚えのある渡り鳥が枝にゆっくりと止まってこちらを見下ろしてきた。

『ジョニーか。どうだった?』

『ピーピー!(例の錬金術師さん、このデカブツに興味を持っていたぜ……そろそろ来ると思う)』


 数分待っていると、先ほど4択問題で紹介した友人が姿を見せた。

 とんがり耳でエルフにしては筋肉質な若い女は、作業用ゴーグル付きのヘルメットをかぶり、腰には様々な工具をぶら下げながら、バイクと呼ぶ鉄のウマのような古代器から降りた。

「情報提供、感謝!」

「こ、こちらの方は?」

 小生は早速、エマに友人を紹介することにした。


『錬金術師のレンチ。エルフの4大精霊会のひとつイフリータ会と、ドワーフの名門職人集団である鋼錬衆から立て続けに追い出された問題児だ』

「ご挨拶だね! あたしは何も間違ったことはしちゃいないよ! エルフもドワーフも……」

『その話は長くなるな。失言としてお詫びするから、この鉄ゴーレムを見て欲しい』


 レンチは不満そうに「心の籠っていない謝罪だね」と愚痴りながら、車タイプのゴーレムの周りをゆっくりと1周した。

「ふむ……」

 彼女は次にバイクという鉄馬からタイヤ付きの板を出すと、背中に敷いてから車の下部に入り込んで中をチェックしていた。

「へぇ……思った通りの構造だね」


 レンチは表に出てくると、今度は車型ゴーレムの上に跨り、出入り口と思しき場所に入り込んだ。

「なるほど……バッテリーも搭載されているから、しばらくは動かすことができそうだね」

 彼女は顔を出して、小生に話しかけてきた。

「これ……あたしの家まで持っていくから、あんたの特技でバイクを運んできて」

『わかった』


 小生は気を集中すると、レンチが乗ってきた鉄馬を浮遊させた。

 これはペガサスやユニコーンの中では、半ば標準装備となりつつあるスキル【マジックハンド】である。名前の通り目に見えない手で様々なものを持ち上げる魔法系スキルだ。

 達人になると、一度にいくつものモノを持ち上げたり、遠く離れたものを移動させることもできるが、あいにく小生は得意ではないので持ち運べるものは1つ。限界重量も自分の体重と同じ505キログラムが上限だ。


 エマは不思議そうに聞いてきた。

「あの……海賊の船員を募集している話は?」

『あいつの頭の中は、新しいガラクタのことでいっぱいだろう。頃合いを見計らってからゆっくりと誘ってみるさ』

【エマニュエルからの挨拶】

 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

 キャプテンとレンチさん、上手くやっていけるのでしょうか……なんだか不安に思えます。もし、話がこじれるようなら、私がお役に立たないと!


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