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没案 夜  作者: 晴日 アオ
2回め
8/20

7 ヘイオン5

学校を純粋に楽しむことができるようになった。


ヒトミのときもそうだったのだが、

授業が楽しくなった気がする。

学校の行き帰りが楽しくなった。


嬉しいことに、友がまた一人増えた。

笑う門に福がきている。


いい感じだ。



その友達との出会いは、

花見さんと一緒にお昼をしていたところに、

一緒に食べていいかと入ってきたのだった。


私と同じで、反りが合わなくて、

仲良しグループから抜けてきた感じなのか、

と勝手に共感して、快く、「いいよ」といったものだ。


その子の名前は、小沢 彩羽(いろは)という。

私達のお昼はにぎやかになって、楽しくなったのだ。

私達は、最高の仲良しになった。


体育祭が近くなってきた。


練習をするようになり、

大縄跳びをみんなはやく来てやるのだ。

ただ、はやく起きるのは辛い。

私は、朝弱いのだ。


それと、いつも遅れてくる男子たちがいるのだ。

その男子たちにもムカつくが、

そいつらに対して怒っている奴らにもムカつく。


そんな、熱心にやらなくてもいいではないか。

たかが、体育祭ごときに。


そう怒っているやつは、

連帯責任にして、もっと頑張るよう言ってくるのだ。

朝にカンカンと騒がれるのはかなわない。

やめて欲しい。


お昼のおしゃべり中に分かったことだが、

小沢さん、花見さんはうまく躱していた。

つまり、彼女たちの怒りを全く聞いていなかった。


そんなこと話さず、今日もお弁当について、

酷評をしていた。


「私、集合体恐怖症なのよ。

だから、そのくろいもじゃもじゃ見せないで」

これを言ったのは、小沢さんだ。


その弁当というのは、花見さんの弁当だ。

「む。これは、ただのひじきだ。

お父さんが作ってくれた弁当にケチをつけるでない。

というか見なければよいのでは。」


「見ちゃうのよ。

だから、隠して」


「まぁまぁまあ」


なぜか、毎回この話から始まる。

テンプレというやつだ。


この弁当の話から面白い話に派生したりする。

そこに、人生のおかしさがあるというものだ。


「集合体恐怖症っていうのは、違うでしょ。

それは、こういう菌とかがいっぱいいるのが怖いやつをいう。

あなたのは違う。それは集合体恐怖症じゃない」


「どっちでも良いわ。

黒いモシャモシャ、見せないでよね。

そんなことより、最近、不穏よねぇ、

また、テロが起こったみたいよ、浄化のヒで。」


「そうだね。恐いよね。」


「宗教内部の抗争でしょ。

放置して大丈夫よ。」


そうだろうか、

大丈夫だろうか。


ま、私が襲われることなんて無いか。


「そんなことより体育祭がある方が憂鬱だ。

集まりが会って、めんどくさい」


「ああ、あれね。ま、私は皆でやるのは楽しいと思うけど。

早起きするのはきついわね。神坂はどう?」


「私は、あの熱い連中が嫌だわ」


「熱い連中、なにそれ」


「あれじゃん、あそこにいるやつら、

ま、うるさいやつの小言となんて聞いてないけど」

小沢さんはかなりストイックなやつのようだ。


花見さんは、存在自体を無視してたみたいだけど


「しかっても、どうしようもないさ。

叱ってるくらいなら、練習やったほうが全然楽しいよ」


そうかねぇ。



午後の練習時間になって、

熱い連中が、"勝つために"と宣言をした。


順番をきめるという。


熱すぎる。


そんなことしても変わらんよ。


背が高い子が真ん中に行くように配置決めが行われ、

私は普通サイズだったから、ちょっと端になった。


前が男子。

後ろが女子となった。


どちらも知らない人だ。



私はドジってしまった。

一回、縄に引っかかった。


はい、次、と言ってくれたが、

もう一回ドジッた。


今回は派手にドジった。

足にペチーんと来た。


痛い。


前の男子が気づいて、

「大丈夫?」と聞いてきた。


「大丈夫よ」

ちょっと動揺しただけだから。


話しかけられてから、その男子の飛び方が気になった。

とてもいいフォームで跳んでいる。


真似しよう!

そうすれば、熱い奴らに迷惑をかけられることはない。


私は真似をした。

でも、なにか違う。

もっと、観察をしよう。


そう意気込んでいたら、また、やってしまった。

今日 三回目だ。

ジャンプするのがちょっと遅れたのだ。


その男子が、振り返って、目があってしまった。

「大丈夫?」


顔が熱くなっていく。

「だ、大丈夫よ」

いや、見ていたのは、跳ぶフォームがきれいだったからで、

他意とかないです、はい。

それと、ドジッたのも、跳ぶフォームが綺麗すぎたからなんです。はい。

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