5 ヘイオン3
1月たって、遠山たちのことがだいたい分かってきた。
私は遠山たちと合わないようだ。
遠山と木村が微妙なラインでを口撃をして、笑っている。
標的は、ぽっちゃりした佐藤だ。
それを私がたしなめるという流れができていた。
全く、楽しくない。
佐藤がどうして、遠山と一緒にいるのかがわからない。
口撃は、聞いてるだけで少し不愉快になるのに。
「この服カワイクな~い。どうかしら?
穂香(佐藤)もどう思う」
「可愛いと思うよ」
「そうよねぇ。私にはとても似合うわよね。アハハハハ」
「そうだよね。アハハハ」
これが遠山と、お供の木村だった。
この同調を求める口撃、
一見何もなさそうだが、いつも佐藤に聞くのだ。
裏の意味として、"あなたには似合わないんでしょうけどね。"
がきっと含まれている。
私に口撃が来ることはない。
というか、もしかしたら私とは親しくないのかもしれない。
だけど、なんだか、むしゃくしゃする。
もし、私にやってきたら、と考えるだけで、
腸が煮えくり返る。
他に話すことと言えば、私が興味のないことだ。
今流行の~。とかだ。
私は流行をあまり追い求めないタイプで、そこは仕方がない。
しかし、ゆっくりと本を読んで佇んでいる知的そうな男を、
ありゃ、ひ弱でボッチな男よ。とバカにした。
そして、本なんて読んだって、なんにもならないのにね。
と言った。
遠山たちとは全く合わない。
私は、遠山らと距離を取る。
そう決めた。
この学校の学食はまずく、高い。
だから殆どが弁当を持ってきて、教室で食べる。
遠山たちは、遠山の席に集まって食べている。
最初だけは私の席に来てくれたが、初回限定だったようだ。
私を仲間に組み込めたと思っているのだ。
一緒に食べなければいい。
話には適当に答えて、過ごせばいい。
無視する相手には、突っかかってこないだろう。
もし、ちょっかいを掛けてこようとしたら、
先生を呼んで、真っ向勝負をする。
今も不仲のような状態だ。
1月あれば、縁切ることができるだろう。
というのを縁切り計画を実行した。
すると、2日で縁が切れた。
私は孤独に戻ったようだ。
静かで本が読みやすい。
でも、本を読んでも寂しさがたまに訪れるところに。