①《白髪騎士の日常日記》
実はフリーの小説家。
ツイッターやってます。
「@Ichigo_Milk___」
キャラクター紹介
ウィンド・アール・グレイス
レイディアント学園1-1組
白髪騎士団隊長の白髪の女の子。
鎧を身に付け、腰には長剣と左手にはスパイクシールドを装備している白髪の女の子。
シルフィード
レイディアント学園1-1組
白髪騎士団書記。
鎧を身に付け、腰には短剣と大きな魔導書を装備している緑髪色ショートヘアの女の子でウィンドの同級生。
シュガー
レイディアント学園1-1組で飼われている犬
白髪騎士団遊撃隊。
神速の番犬と世界各地で言われている白い犬。
用語紹介
《人体実験》
闇の組織がレイディアント学園の地下室で悪質な企みをしている者がいると言うクローン実験。
《超振動》
強過ぎる力がぶつかり合う時、時空に歪みが生じて亜空間の中へと気付かないうちに吹き飛ばされてしまう現象の事。
序章
神界マクスウェル。
八つの大陸が繋ぎ合わされ初めて存在する世界。
一つの大陸リヴァイアサン大陸に住む女の子、ウィンドの物語が今始まろうとしていた。
始まりは王都オーロラ。
空が綺麗で頻繁に虹が見えるほどの大都会であり、そこの白銀城に住む女の子がウィンドである。
第一章
行かないでお兄ちゃん……待って……行かないで……。
走っても走ってもお兄ちゃんのところには追いつけない……何故ならお兄ちゃんはもう……。
「待ってお兄ちゃん!」
ガバッと起きたらもう朝の七時。
「また、あの夢か……」
翡翠色の瞳から零れ落ちる雫を振り払って朝の支度をした。
今日からまた月曜日!頑張らないと!っと……。
「行ってきます、お母様」
そう言ってロケットペンダントにキスをして学園へと登校した。
「うわー!遅刻だ遅刻!ちょっとやばいかも知れないわ!どいてどいて!」
こうしてドタバタな一日の幕が開けたのであった。
◇
「ウィンド・アール・グレイスさん。貴方、月曜日初日から遅刻とはどう言うつもりでしょうか?」
私は教室前であはは……ごめんなさい!とマイア先生に謝罪した。
「明日から気を付けてくださいね、それではそろそろ授業が始まりますので席に着きなさい」
みんなは退屈な授業、だと思っているけど。
私はそうは思わなかった。
強くなれるなら、何でもしようと決意したから。
しかし現実、そんなに甘くは無かった。
「ウィンドちゃん、ウィンドちゃん。昼寝なんてしてたらマイア先生にバレちゃうよ!」
何だか声が聞こえる。
同級生で隣席カリンちゃんかな……。
まぁ……もう少しだけ、もう少しだけ……。
教科書を立てて昼寝しているウィンドは気持ち良さそうに寝ている。
「……それではここのページをウィンドさんに読んでもらいましょう」
悪運は憑き物で早速マイア先生に呼ばれてしまうウィンドは良く分からない状況でガバッと勢い良く立ち上がり直感でページを読み上げて何とか居眠りしていた事を回避して席に座ってはまた居眠りを始めてしまった。
「え、今のどうやったのウィンドちゃん……ってまた居眠りしてるし!」
カリンは静かにかつ冷静にツッコミを入れた。
◇
レイディアント学園 放課後。
ウィンドは剣術部と言う部活に所属しており、体操服に着替えて毎日体育館で木刀で素振りをしている。
「せい!やっ!はっ!私は!師匠を!超える!んだ!」
そんな頑張る姿を見るシルフィードとシュガー。
「そろそろ休憩されてはどうですか隊長」
そう言ってシルフィードはウィンドにタオルを渡した。ふかふかだ。
「ん?そうね、ありがとう。ふかふか〜……」
汗をかいた時にこのタオルはたまりませんなぁ……。尚シュガーは退屈なのか寝ている。
「そう言えば隊長は一年前、この学園で虐められていた生徒を助けてあげたんですよね。その木刀で」
◇
一年前、レイディアント学園 夕方の体育館裏にて。
「おら!この不細工!金を出せ!」
「それとも体で払うか?ん?」
その男子生徒は腰を抜かした女の子の生徒に恐怖を植え付けるかのように暴力を振るっては制服を破られたりしてきっと怖くて泣いていたに違いありません。
しかしそんな時、遅くまで練習をしていた一人の白髪の女の子が助けに来てくれました。
「こらーっ!そこの不良生徒!そこの女の子から離れなさーいっ!」
そう言ってこちらに向かって走って来た白髪の女の子は一人目を木刀で顔面強打で気絶させ二人目を回転蹴りでダウン気絶させた。
「ほら、立てる?」
白髪の女の子は笑って手を差し伸べてくれました、虐められていた女の子はその時凄く安心して白髪の女の子の前で思わず泣いてしまいました。
「もー、ほら泣かない泣かない。良く頑張ったね」
癒すように虐められていた女の子の頭を優しく撫でてくれていました。
そしてその日の夜、その虐められていた女の子はあの白髪の女の子のように強くなりたいと思いを抱きました。
ボサボサと腰より下まで伸びていた緑色の髪の毛を切りショートヘアーにし、蜻蛉眼鏡は外してコンタクトレンズに切り替え、鏡を見る虐められていた女の子は明日からずっと強気に生きると決意しました。
◇
「あー……そんなことあったなぁ……あの後あの女の子見かけなくなったと思ったけど……」
シルフィードはクスクスと笑いこう言った。
「あの数日後に私だと気付いた時の驚いた顔がいつ考えても浮かんで来ますよ本当」
シルフィードは笑っているけどあれは本当に別人だった。
あのモジャモジャしているオタク系女の子がボーイッシュでイケメンになっていたのは何かの間違いかと思ってしまうのは当然だろう。
「だってあれは!……まぁ色々あったなぁ……」
良し、そろそろ帰ろっか!とウィンドはあの時のようにシルフィードに手を差し伸べた。
「そうやって貴方は、輝くのですね隊長」
ボソッと聞こえないように口ずさむシルフィードであった。
第二章
「今日の深夜徘徊寮守当番は私か」
シャワーも浴びて夕食も済ませたウィンドはレイディアント学園の寮室で待機している。
「あれ、シュガー?どうしたの?え、ちょっと待って」
深夜という事もあるので大声は出せない、とりあえずシュガーを追う事にしたウィンド。
「ここの扉、空いてたんだ……誰か中にいるのかな?」
ウィンドとシュガーはそっと中の地下室へと入り込んだ。
中は少数の松明が並べ立てられており薄暗く、少し寒くてカビ臭い場所。
「ん?誰か中で会話している?一旦隠れて聞いてみようシュガー」
ウィンドはそう言って十字路にくぼみがあるところに身を潜めて、奥の二人組みの話を息を殺して聞いた。
「あの白髪の男と同じくクローン実験には成功していますが、唯一の欠陥と言いましょうか。何かしらの後遺症が残るようで、あの白髪の男は戦闘が出来ないのでどこかの惑星へと連れ去りましたが……どうなされますかハデスさん」
少し顔を出して奥の広い空間からちらっと見えるのは白衣のおじさんと姿が良く分からない背中のマント姿くらいだけだった。
「一人だけで構わない、立派な奴を頼む」
そう言って引き返して来たので必死に両手で口を塞いで息を殺したウィンド。
……どうにかそのまま白衣の男とハデスにバレずに通り過ぎて行き。
静かに安堵の溜息が出る。
が、しかし少し遠くの方でまた声が聞こえる。
「何だ……何だか良い匂いがする、これは……女と犬の匂いだ」
暗い声から発せられたのはどうやらウィンドとシュガーの事、結局バレそうになったので裏口から猛ダッシュでその場を離れた。
◇
地上 平原。
「はぁ……はぁ……っ。ここまで来たら安心……よね?」
ウィンドは息を切らして何ともないシュガーに話しかけた。
しかしそうは行かずすぐに謎の二人組に追いつかれてしまった。
「やはりお前か……女。あんなところで何をしていた?俺らの詮索か?」
生唾を飲む。非常にまずい事になってしまった。
白衣の男の戦闘力は無いが不気味な仮面を着けた男から異なる気迫が滲み出ている。
「沈黙でやり過ごすか……ならば仕方無いがここで死んでもらう」
するとハデスの周りから無数の氷の針が出現し、手を振り下げる事によりそれらを全てウィンドに発射した。
「な……っ!?何なのこれ……!!捌き切れない!?」
出来る限りシルバーソードで薙ぎ払ったがところどころやはり人体に刺さってしまうも急所は全て回避した。
「中々の腕だが俺はいつまでもお前構っている時間が無いからな……どうやら命拾いしたようだな?」
それだけ言ってハデスと白衣の男はどこかへ消えてしまった。
「これ全部……急所の部分は全て回避したけど……もし全部命中していたら流石の私もこの地で死んでたかも知れないわね」
膝をついたウィンド。
とは言え頭からは血を流し、肩からも出血している。
「早く……帰らなくちゃ……」
ウィンドはそう言ってその場で意識を失った。
第三章
今朝、レイディアント学園の寮室にて。
包帯を巻かれ治療されているウィンドが目を覚ます。
「は……ッ!?私は……あの後どうなって……」
隣にはずっと看病してくれていたのかシルフィードが座りながら寝ている。
そしてその横の床には背中に血が着いているシュガーが寝ている。
「シュガーが助けてくれたんだね、ありがとう」
起こさないように小声で感謝を伝えるウィンド。
昨夜のクローン実験の事を考えた。
「白髪……男……何だろう、心当たりは無いんだけど……。なんかモヤモヤした感じは何だろう」
しかし思い出そうとすれば頭痛がして結局考えるのをやめてしまう。
「もう食べれま……た、隊長!こほん、おはようございます。それより昨夜は一体何が……その傷跡は……明け方頃にシュガーが血だらけの隊長を運んで来てくれたんですよ?私は必死に治療して……良かった……意識が戻って……」
起きたと思えば焦って内容を全て話してくれたと思えば安心したのか泣き出して本当大袈裟だなぁ……と微笑むウィンド。
そんな時にノックもせずに私の部屋にレイディアント学園の生徒二人が入って来た。
「お邪魔しますわよ!」
喋り方は丁寧なお嬢様だが荒々しく発するその声はまさか。
「爆槍のマリア先輩と制裁者のクロック先輩!?どうしてこんなところに……と言うか先輩方人の部屋に入るならまずはノックくらいしてください」
最初は少し驚いたが正気に戻り頬を膨らませるウィンド。
「あらそれはすみません事。……少しお話がありますの、良いかしら?」
お茶でもどうですか?今朝入った紅茶があるので是非私達の部屋にご案内しますわ。
と優しく微笑むクロック。
「何かしらの大事な事情があるのですね、わかりました。行くよシルフィード、シュガー」
そう言ってすぐに制服に着替えたウィンドはマリア達に着いて行った。
終章
「あらあらクロック。その最後のケーキは私のですわよ?」
「いいえマリア、あなたは半々にしたケーキとは言え何グラムかそちらの方が多かったのでこれは実質私のですよ」
と火花を散らす所かマリアは槍を構えて今にも本気だ、フォークと間違えていなければ良いのだが。
「こほん。それとその場所にあるのはどこにも存在していなかった神槍・爆槍が眠っている場所……廃れた火山、ノド」
ノドと言う場所は授業で聞いたことがある。
あの場所は最初から住めない場所で有名で、今では魔王軍達が占領しているなど噂がある危険な場所だ。
「先輩方はそれを本気で仰られているのですか?我々……私はともかく隊長は怪我を……」
ウィンドはシルフィードに手を差し出して止めた。
「ありがとうシルフィ、マリア先輩。貴方は何故他の誰かに聞かなかったのか、何故私なのか理解出来ます。それは私しかいなかった、私にしか出来ないから。ですよね」
マリアは高く笑い、その後すぐに落ち着いた表情で話し始める。
「えぇ、そうですわ。流石は閃光のウィンドと呼ばれるだけはあります。それに……傷の手当てくらいならクロックが一瞬で元通りにしてくれでしょうし心配は必要ありませんわ」
話は終了し、作戦は決まった。
お母様、どうか私に力を……。
と願うウィンドであった。
あとがき
こんばんは、いちごみるくです。
今作から始まりました白髪騎士の日常日記。
これは読まれた方はもうおわかりになってると思いますが、ウィンドの過去の物語でまだ神界マクスウェルに居た頃のお話となります。
自分でもまさか書くとは思っていませんでした。
がまだまだ続きますので次回もよろしくお願いします!それではごきげんよう。