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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-5.エルフィン、いなくなる
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3.それは『愛』ですね

「カツ丼定食炭抜きひとつ」

「私はミディアムレアステーキ大を」

「店長、カツ丼定食炭抜きとミディアムレアステーキ大です!」


 平日昼、黒島ボルンガレストラン。

 大吉一行が来店したのは、ちょうど仕事上がりの岡本と騎士アランが店員のリリィに注文していた時だった。

 どぷん、ぺっかー、ぼすん!


「カツ丼定食炭抜きお待たせしました!」


 そしてじゅー、どぷんっ……


「へい、おまち」


 絶妙なタイミングでボルンガから取り出したカツ丼定食炭抜きが岡本の前に置かれ、騎士アランの前にどでかい炭の塊が置かれる。

 二人はまず食事に手を合わせた後、来店した大吉に頭を下げた。


「「いただきます、そしてこんにちは」」

「最近、良く来るようになったな」

「アランがここの炭メニューにハマッちゃいましてね。毎食ここですよ」

「働き疲れた腹にガツンと来るんですよ。黒最高!」

「くろ、わかる、えらい」

「ありがとうございます」


 スーパーおかるとで買わないのかお前ら?

 と、岡本の言葉に少し思ってしまった大吉だがこれも交流。

 スーパーおかるとに勤務する者達はこれまでここを利用していなかったのだが、黒島オカルト労働組合こと黒の十四軍との仲が悪い訳ではない。

 そして先日の簿記講習の大吉と岡本の会話がきっかけで、秘密結社VOIDと米国で働く非納得派が来店するようになった。

 黒島ボルンガレストラン、これまでにも増して大盛況だ。


「しかし初めて来店した時は参ったよ。注文したら炭だったし」

「黒軍はフォルテら惑軍以外は炭食ってるからなぁ」

「大吉様は何になさいますか?」

「俺は牛丼並盛り定食」「私はイカスミパスタを」

「我は……」


 大吉一行が次々に注文する。

 ボルンガレストランは黒軍運営なので基本炭。

 客の九割は黒軍なので炭抜きを明言しないと炭になる。

 大吉一行はリリィと顔見知り。言わずとも炭抜きと炭を切り分けてくれる。

 ブリリアント、ガトラス、バウル、ビルヒムが炭。

 大吉あやめその他が炭抜き。谷崎は先日炭抜き派と認識されたばかりだ。

 軍団長専用席に料理が並び、大吉も皆と共に食事に手を合わせて食べ始める。

 バリン、ボリン、ジャリ、ジャリ……炭を食う音が店に響いた。


「岡本にアラン、充実しているようだな」

「ああ」「はい」


 ブリリアントの言葉に二人が頷く。

 VOIDは先日技術検証用の小型宇宙ステーションの静止軌道打ち上げに成功。

 二人は手応えを感じているらしい。

 小型と言ってもサイズは米国空母並。これまでと比較すれば超でかい。

 日本のH2Bロケットが静止軌道に移行する為の軌道に持って行ける重量が八トン程度。一メートルの鉄のサイコロの重さが大体そのくらいだ。

 そこから静止軌道に持っていけるのが大体五・五トンくらいらしい。

 米国空母は満載で十万トンを超える。そんなものを秘密結社VOIDらオカルト勢力はホホイと打ち上げてしまったのだから世界はこぞってVOIDに商談を持ちかけている。

 もう国際条約も何もあったもんじゃないなぁ……と、思う大吉だ。


「お前らは相変わらず遊んでるんだな」

「私達のスローガンは『食う、寝る、遊ぶ』ですから」


 岡本の言葉にエルフィンが答える。

 そんな事があっても黒の十四軍はマイペース。


「我らもちゃんと働いているぞ」

「そうだぜ。俺らだって大吉様の黒島支店の社員だ」

「俺だってイカをはじめとした養殖に抜かりは無い」

「はた、らい、てる」

「そうですぞ。スーパーおかるとの商品調達は大吉様の黒島支店が担っているのでございます。私もぶるるんも華麗に乗りこなしますぞ」


 働いてる事は確かだが、しかし……


「ま、黒島支店は一時間労働だけどなぁ」

「「「「「ひどい!」」」」」

「すまんすまん」


 だが能力に対して仕事が圧倒的に少ない。黒島支店は現状ほとんど遊んでいる。

 まあ黒軍は農業や漁業、畜産などもやっている。

 そっちが主業務だろう。


「フォルテは交渉だから大変だな」

「ありがとうございます」

「私も働いてます!」

「獣の主だな」


 フォルテは外部との交渉、エリザベスは獣の教育。


「私は接近天体も気にせずのんびり土いじり。地球はまったく良い盾です」

「デカイのは盾に当てる前に弾いてくれよ?」

「遊んでるでしゅ」「遊んでるです」「ですぅ」

「おう、遊べ遊べ」

「わては酒飲んでるでぇ」『『『サケーッ!』』』

「それは分かってる」

「あちゃーっ」

「私は大吉様と共に、そう妻のように共にあるのが仕事です!」

「眩しい! 照れ輝きが兆眩しい!」


 べっかべっか! 

 エルフィン、相変わらず超眩しい。

 しかし大吉も慣れたもの。目がくらんでも食事に支障は無い。

 慣れとは怖いものだ。


「これで凄まじく強いんだもんなぁ……一体、俺と何が違ったんだろう?」

「愛です」


 苦笑いする岡本に、エルフィン断言。


「うむ、愛だな」「愛だぜ」「愛ですわね」「あい、あい」「愛に決まっている」「愛ですなぁ」

「愛です!」

「愛でしゅ」「愛です」「愛ですぅ」

「宇宙には愛が必要です」

「愛、それと酒やな」『『『サケーッ』』』


 そして他の皆も愛を断言。


「愛! あと黒!」

「「「「「「「「「「「「「クロマメ!」」」」」」」」」」」」

「……あやめさん、今日平日ですよ?」


 そしてやっぱりAの席に居座るあやめも愛を断言。ついでに黒も断言。

 この人いつ仕事してるんだろう? と、首を傾げる大吉だ。


「愛……?」


 そして皆が愛を語る様に、岡本は首を傾げるのである。

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