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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-5.エルフィン、いなくなる
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2.黒の十四軍、非納得派と簿記を学ぶ

「はじめまして。谷崎から連絡を受けて税務署から来ました白瀬です」


 大吉と谷崎がテレビを見てから三日後、黒島支店 

 いつもはちょろっと荷物があるだけの一時間仕事場にずらり机を並べて座る皆の前で、税務署の白瀬が頭を下げた。

 主催、谷崎。

 講師、税務署の白瀬。

 受講生、大吉一行と岡本らスーパーおかると労働組合非納得派。

 なぜこんな事をしているかと言うと、ぶっちゃけ収入が見込まれたからである。

 金の動きがある所、税金あり。

 収入があればオカルトだからと手をこまねいている事はない。はっちゃける前にオカルト収入も納税の対象ですと釘を刺すのが今回の目的だ。

 収入が多くなれば、帳簿の作成が必須となる。

 こういった理由で、まず簿記の解説からはじめる事になった訳である。


「スーパーおかると労働組合、非納得派の岡本です」

「黒の十四軍の井出大吉です。よろしく」


 谷崎がスーパーおかると労働組合非納得派に出向いた所、快諾。

 元々貢献を目的に結成された組合だ。納税に関して不満は無いらしい。

 何事も円満が一番と、机を並べた岡本と頭を下げ合う大吉だ。


「青色申告するにしろ、法人化するにしろ帳簿は必須です。井出さんは今は店長なのですから帳簿をつける事もあるでしょう。将来の為にがんばりましょう」

「はい」

「それではまず、複式簿記の説明から」


 なお、オカルト労働組合は労働組合ですと言っているだけで、法的根拠は無い。

 個人事業主で青色申告するか法人化して会社となるかを選択する事になるだろう。

 金が絡むと厄介になるなぁ……と、大吉は心でため息をついた。


「取引というものは何かを減らして何かを増やす交換です。複式簿記はその交換を帳簿に記していくものです。減るものと増えるものを記すので複式な訳です」

「はぁ」

「例えば商品を買ってお金を支払ったとしましょう。どうなりますか?」


 問われた大吉は少し考え、答えた。


「……商品が増えて、お金が減る」

「その通りです。そのように帳簿に書き続ければ良いのです」

「借金は?」

「借金はマイナスの資産、つまり負債なので借金が増えて、お金が増えます」

「なるほど」


 マイナスなので増えれば減る訳だ。


「紙で帳簿をつけていた時代はひとつの取引を複数箇所に記述しなければなりませんでしたが今の簿記はほぼコンピュータソフトで入力も修正も非常に楽ちん。入力が正しければ原価償却や商品原価など面倒な事もぱぱっと処理して申告書類も出してくれますよ」

「へー」


 コンピュータ、超すごい。

 感心する大吉だ。


「こんな事をしなくても輝き帳簿で「帳簿は真面目につけてください」ええっ!」


 エルフィン、輝きを封じられる。


「つまらん! 大吉様遊びましょう!」

「こんな帳簿、谷崎に任せちまえよ。なぁ」

「あそ、ぶー」

「いやぁ、谷崎さんに黒島支店の帳簿つけさせる訳にはいかんだろ。防衛省の人なんだから」


 ブリリアント、ガトラス、ボルンガ。遊びたくて脱線する。

 腕っ節軍団長達には退屈らしい。


「いやはや、これだから脳筋軍団は困りますなぁ」

「こいつら、いつも俺らに取引とかぶん投げやがるからな」

「そうですわね。黒軍に帳簿が無いとでも思っているのでしょうか」


 そしてビルヒム、バウル、フォルテはそんな三軍団長にため息だ。

 黒軍は大組織だ。

 大組織なので取引も毎日大量に行われている。帳簿があって当然なのだ。


「バウルはとにかくビルヒムはこっち側だろう?」

「いえ、これでもフォルテ殿と一緒に帳簿つけてますので」

「てめえちっと頭がいいからって調子に乗りやがって!」

「この、やろー」

「いやはやまったく。我が屍に今日も感謝でございます」


 いつも一緒にバカやってる屍軍リッチービルヒム、妙な所で違いを発揮だ。


「お小遣い帳なら付けてるです!」

「帳簿?」「ちょうぼ?」「つけてないですぅ」

「黒の艦隊も大所帯。当然帳簿はつけている」

「うちもしてるでぇ。酒が減って商品が増えるんや」『『『サケーッ!』』』

「諜報軍にもありますよ」


 他の軍団長達も個人ではあまり付けておらず、集団では付けている。

 まあ、誰かに見せる必要が無ければ現金の使用を記録する小遣い帳で事足りる。

 自分だけで使うか人に見せるかの違いなのだろう。

 と、大吉が一人納得していると隣の岡本が話しかけてきた。


「しかし、黒の十四軍がVOIDの活動を容認するとは思わなかった」

「敵対すると思ってたか?」

「正直な」


 オカルト制限条約に抵触するからだろう。

 大吉は少し考え、答えた。


「世の不正をただすとか言ってそこら中で人間をこてんぱんにしたら敵対しただろうけど、今のところはただの技術開発支援だからな。敵対する理由が無いよ」

「そうか」

「こいつらはこっちに遊びに来てるだけだし、面倒な事に巻き込まれずに楽しんでいって欲しいしな」

「……そうか」


 目の前で騒ぐ黒の十四軍の皆を眺め、そんな会話をする大吉と岡本。

 今のところは貢献。

 それも人類の技術ではとても出来ない事をオカルト貢献。

 オカルト達がやりたいなら良いんじゃないかと思う大吉だ。

 そういえば……と、大吉はVOIDの事を白瀬に聞いてみる。


「ところで、秘密結社VOIDの納税はいいんですか?」

「米国に問い合わせたところ、米国に納税するそうですよ」

「もはや秘密結社でも何でもありませんね」


 納税にうるさいのは他国も同じ。

 大吉が心配するような事は、とっくに行われているのでった。

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