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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-5.エルフィン、いなくなる
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1.黒島は今日ものんびり朝食

『昨日、アメリカが次世代国際宇宙ステーション計画を発表いたしました』

『将来の人口問題や食料問題解決の模索が目的です。注目すべきはその大きさ。全長四十キロ、直径六キロの円筒形で、回転により疑似重力を発生します。組み立てと打ち上げにはオカルト秘密結社VOIDが協力し、来年には打ち上げ、再来年には運用を目指すとの事です』


「うわぁ、でかいなぁ」

「黒の艦隊の標準輸送艦くらいですね」

「うわぁ、でかいなぁ……」


 朝、黒島大吉アパート大食堂。

 テレビから流れる米国の宇宙ステーション構想のスケールの大きさに大吉は感嘆の声を漏らし、直径六百キロのクーゲルシュライバー率いる黒の艦隊セカンドの言葉に呆れた声を漏らした。

 人間基準では超巨大でも宇宙基準だと小粒。宇宙あるあるだ。


「大吉様、これは国際条約違反じゃないのですか?」

「違反だろうなぁ」

「なぜ大吉様も谷崎さんものんびりご飯なのですか?」

「本音のところはみんなオカルトを便利に使いたいんだよ」

「アメリカは大国ですし、ロシアもやってますから仕方ありませんね」


 首を傾げるエルフィンに大吉も谷崎もやっちまった事は仕方無いじゃん。である。

 暁の艦隊は今もロシアに太陽光を反射している。

 すでに真面目に条約守っているのがバカみたいな状況なのだ。よその国だって使えればオカルト使うだろう。


「取り締まりとか、なさらないのですか?」

「オカルトに対抗出来るのはオカルトだけだからなぁ。お前ら取り締まるか?」

「大吉様がお望みならば」

「「「「「「「「「「「「やる!」」」」」」」」」」」」

「それやると、お前ら遊ぶ時間が減るぞ?」

「やめましょう!」

「「「「「「「「「「「「やめ!」」」」」」」」」」」」


 正直でよろしい。

 大吉は苦笑いしながら味噌汁をすすった。


「それに、今のところは良い事の範囲内だし、止めて俺らが叩かれるのも変だろ」

「それはそうですね」

「このプロジェクトのせいで困った事が起こるようなら、その時は頼むよ」

「わかりました」


 これで宇宙ステーション落としが起こるなら止めねばならないが、宇宙でぷかぷか浮かんでいるだけならそこまで問題は無い。

 クーゲルシュライバーだってピロシキだってぷかぷか浮かんでいるのだ。それより小粒な宇宙ステーションに目くじら立てるのも何だろう。

 大吉達が朝食を食べる中、テレビの話題は続く。


『オカルト秘密結社VOIDは黒島オカルト労働組合と同様のオカルト集団です』

「秘密結社と言いながら表に出まくりですね」

「税金払いたくないから本社が秘密って奴ですかね?」


 谷崎、さすがは公務員。


『このVOIDにはあの黒島のスーパーおかると労働組合の派閥のひとつ、非納得派が参加しているとの事です』

「谷崎さん、納税者が見つかりましたよ」

「収入がどれくらいかはわかりませんが、法人化の話をしておきましょう」


 オカルトなのに税金の話。

 まったく世知辛いものである。

 もっしゃもっしゃと炭を食べていたブリリアントが聞いてきた。


「谷崎、我らも納税の必要があるのか?」

「ご安心下さい。皆さんの収入は防衛省が源泉徴収してますので納税済みです」

「「「「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」」」」


 源泉徴収、オカルトを出し抜く。

 支払い元から徴収するこの手法、強い超強い。

 エルフィンが聞いてきた。


「大吉様は、この秘密結社VOIDのようにはなさらないのですか?」

「なんで?」

「収入が増えるではありませんか」

「いやぁ、俺は別に今の生活で十分だし」


 というか店長待遇だから、オカルトの恩恵はもう受けてるし。

 大吉は心で呟き、続ける。


「それにオカルトありきで事業して、いなくなったら後始末どうすんだ?」

「いなくなるなんて!」

「「「「「「「「「「「「ひどい!」」」」」」」」」」」」

「すまんすまん」


 このやりとり恒例になってきたなぁ……叫ぶ皆にあやまりつつ、いつ無くなるかもわからないものをアテにするのは違うと思う大吉だ。

 それにしてもこんなデカいの組み立てたり打ち上げたり出来るオカルトすごい。

 重量数トンの人工衛星を打ち上げるのに何十億円もかかるのだ。物があっても金が足りない。金があっても元が取れない。まさに夢物語だ。


「お前ら、どこからこんなパワー出してるんだよ?」

「日々の食事です」

「俺も同じもの食ってるけどそんなパワー出ないから」


 どういう消化吸収してんだよ?

 と、首を傾げる大吉だ。

 そしてAの席を占拠するあやめは相変わらずのマイペース。


「VOID、と。おおっと間違えた。ひらにしはうちの社長の名前です」

「あやめさん、スマホでその間違いはないでしょ……」


 その間違いは一般的なパソコンのキーボード配列でしか起こりません。

 心でツッコむ大吉であった。

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