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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-3.オカルト、ぞくぞく
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幕間.黒島オカルト労働組合

「そろそろ、私達も連帯すべきだと思うのです」


 夜、黒島大吉アパート大食堂。

 食事する皆に、エルフィンが告げた。

 皆が首を傾げ、ブリリアントが代表してエルフィンに問う。


「今も我らは連帯していると思うがな」

「それは大吉様を長とした黒の十四軍としてでしょう。私が主張しているのは黒の十四軍の枠組みを超えた、オカルト全体の連帯の枠組みです」

「ほぉ……」


 エルフィンは言葉を続けた。


「この世界には労働組合という、組織を横断する横の連帯があるそうです。この世界に訪れたばかりのオカルトビギナーにオカルトの道を教えねばなりません」


 オカルトの道ってなんだ?

 と、首を傾げる大吉だ。


「それは、我らがする事なのか?」

「現在最大のオカルト組織たる黒の十四軍が適任でしょう。やらなければ谷崎さんや麻田さんがフォルテ経由で大吉様にぶん投げまくる事になります」

「「「「「「「「「「「「ダメ!」」」」」」」」」」」」


 エルフィンの言葉に叫ぶ他の黒の十四軍の皆である。


「麻田の奴め、大吉様をいいように利用しおって!」

「あんな黒もわからねぇ奴に大吉様を好き勝手されてたまるか!」

「これ以上ぶん投げられたら大吉様の貴重なお時間がピンチです!」

「ブリリアントよ、このままでは我らと大吉様との時間が減ってしまうぞ!」

「大変だにーちゃん!」

「くろ、くろ」

「今以上に減らされるとは、いかに温厚な屍の私も我慢なりませんな」

「お散歩時間が減るです!」

「おひるねー」「かけっこー」「おままごとー」

「谷崎に振ればよい」

「谷崎はんはオカルトに実力行使できんからなぁ」『『『サケーッ!』』』

「あははは! 谷崎さん大変ですね谷崎さん!」

「井出さんすみません。本当にすみません」

「こちらこそすみません谷崎さん、本当にすみません」


 皆が騒ぎ、あやめが笑い、谷崎と大吉がテーブルに頭をこすりつけて謝罪する。

 いつもの夕食風景だ。


「谷崎よ! どうすればいい!?」

「私は防衛省ですから詳しくは……まあ黒の十四軍の時と同様結成宣言なさればそれだけで良いのではないでしょうか。オカルトですから」


 そもそもオカルトは人類ルールの外にある。

 黒の十四軍も力で世界にゴリ押した存在。労働組合も同じようにすれば良いのではないかというノリである。谷崎もすっかりオカルトに染まっていた。

 エルフィンは皆が賛成した事を確認し、続けた。


「まず、名には黒を入れるべきでしょう」

「またそれか」


 エルフィンの言葉にやっぱりかと大吉はツッコミを入れる。


「それなら暁、暁も入れて下さい!」

「雄馬様も!」「竜二様も!」「「恥ずかしいからやめて!」」

「それならば偉大なる大吉様の名も入れるべきだなエルフィンよ」


 夕食に参加している暁の艦隊ピロシキ、リリィと雄馬、ノエルと竜二が騒ぎ、負けじとブリリアントが提案する。

 エルフィンが頷いた。


「それでは、『偉大なる黒の十四軍の長たる我らが黒、井出大吉様と黒の暁雄馬竜二労働組合』という事で」

「長いよ! なんでもかんでもくっつければいいってもんじゃないぞ!」

「それでは大吉様がお決め下さい」

「黒島労働組合でいいだろ」

「井出さん、オカルトは入れて下さい。わかりやすいので」

「じゃ、『黒島オカルト労働組合』で」


 命名、黒島オカルト労働組合。

 エルフィンが宣言した。


「私達はこの世界に現れたオカルトに対し積極的に介入し、不当なオカルト利用を戒めオカルトの権利を守る事といたします」


 オカルトの権利って何だ?

 と、また首を傾げる大吉だ。


「そして大吉様と遊ぶ時間を守るのです!」

「その本音は隠しておけよ?」


 建前と本音はしっかり分けてくれ。

 と、先日の黒の艦隊と暁の艦隊のイザコザを経験して思う大吉だ。

 ここを甘く見ると感情がこじれて後が大変なのだ。


「当然、長は大吉様だよなぁブリリアント」

「当たり前だガトラス。大吉様をおいて他に誰が長になるというのだ」


 ガトラスとブリリアントの会話。

 が、しかし……


「待て。俺は管理職だから労働組合には入れないぞ?」

「「「「「「「「「「「「「ええっ?」」」」」」」」」」」」」」


 大吉は黒の十四軍の長なので管理職。

 皆の駄々に振り回されていても管理職。ついでに黒島支店の店長だ。

 まあそれを言ったら軍団長も管理職な気がするが、オカルトだからスルーする。


「労働組合は労働者が団結して会社などの組織と交渉するための組織だからな」

「「「「「「「「「「「「「やめ!」」」」」」」」」」」」」

「おい!」


 すると皆、あっさり掌返し。


「大吉様が入れない組織など言語道断ではないか!」

「谷崎よ! 大吉様が労働組合の長でいいよなぁ、あぁん?」

「いいんじゃないですか? 井出さんが入っていた方が皆がまとまりますし」

「あははは大吉さん、オカルト扱いですよ大吉さん!」


 谷崎、怒るブリリアントとガトラスに慌てず騒がず大吉をオカルト扱い。 

 笑うあやめだ。


「それでは次にスローガンを決めましょう。オカルトのあるべき姿を示し、その為に活動するのです」


 オカルトのあるべき姿って、何だ?

 と、またまた首を傾げる大吉だ。

 これはあっさり決定した。


「「「「「「「「「「「「「食う、寝る、遊ぶ!」」」」」」」」」」」」」

「おい」


 労働組合なのに全力で働かないスタンス。

 しかし労働組合としては大間違いだが、オカルトとしては正しい。

 オカルトなどたたり神のようなもの。何もしないのが一番ありがたいのだ。

 黒島オカルト労働組合のスローガン、これで決定。

 翌日、結成が世界に宣言されオカルトの権利を守る労働組合が誕生した。

 そして、大吉に電話がやってくる。


『黒島オカルト労働組合、うちに加盟しませんか?』

「お断りします!」


 働かないオカルト共を勧誘するんじゃない!

 オカルト労組結成を聞いた労働組合の連合組織からの加盟勧誘を、大吉は全力で断った。

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